刀鍛冶の日々

鍛錬は続く

 奉納用予定玉鋼3個を見比べて、炭素量の一番高い第一回目の玉鋼を、奉納する事と決定した。
 これで心置きなく刀の地金鍛錬へ進む。体力的には昼迄の鍛錬が精一杯であり、無理をすると連日の鍛錬が出来ない事になる。
 性質の違う玉鋼を鍛えるのは楽しい。その砂鉄の特徴により、沸き具合や膨れの有無、鋼の粘りが違っている。日本産砂鉄は炭素量が高くても、折り返し鍛錬が出来る鍛伸性が有る。外國産砂鉄は日本産砂鉄に含まれていない物質が含まれているので、鍛伸性も劣り実用性にも劣る。そんな玉鋼で刀を造るのだから、刀が折れて当然である。
 自家製玉鋼を造る事は大変難しくて、先例が少ない事である。伝習所の弟子はたたら製鉄で玉鋼を造る事は出来るが、経験が少ないので中々刀にならない。
 私も年間30~50回位はたたら製鉄を行い、地金の研究をするが面白くて仕方が無い。その成果を今日も鍛錬で一人楽しんでいる。
 午後は明日の鍛錬に備えて炭切。炭の配合と鍛錬方法を変えて、ずっと鋼の下鍛えをしているが、暑くなる迄に5振り程の刀を素延べ迄進めておけば、夏にも楽な火造り、焼入れ迄出来て注文にも応える事が出来る。
 一人仕事になっているので、1週間毎の予定書きを作って順調に進んでいる。
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奉納玉鋼終わる

 今朝は少し遅く4時に神拝、祓詞後送風開始。11時送風停止、たたら炉解体。3日間で3個の玉鋼製作。形としては今日の玉鋼が1番良いと思っている。明日ワイヤブラシで磨いて仕上げたい。
 刀工生活も終わりに近ずいているが後少し現役を続けて、昭和、平成の御世に生きた証を残したい。弟子達も私の元気な内に、私の仕事を見直して技術を高めて欲しい。
 何時迄も親方はいない。たたら製鉄にしても日々進歩はしている。何時迄も同じ場所には居ないと理解して欲しい。「春の連休だ」と人並みに休む事なく、連休だから伝習所で技術を磨いて欲しい。
 今日の製鉄で炭は無くなったが、明日は炭が入荷する。鍛冶場は空いているので、たたら講習会も準備出来ている。

休む暇無し

 午前中包丁2本の研ぎ、梃首3本の製作、梃台2口の製作。
 午後はたたら炉解体と塗り直し。明日は雨で涼しくなるので予定変更をして、夕方迄たたら炭切と降し金3個を造り、これで連休準備は完了。
 明日は瀬戸内市よりふる里納税の返品として、日本刀包丁を出す為の話し合いが午後に有るので、早朝よりたたら製鉄を行い、奉納玉鋼3回目の製作に入る。

玉鋼造り

早朝3時、一人で朝食後鍛冶場へ。昼たたら炉解体。玉鋼は昨日より一廻り大きいが、玉鋼の上部面がくぼみ、品質は良いが見た目が見劣りするので、昨日の玉鋼を奉納候補とする。連休明け奉納なので、追加の炭が届けば2度程製鉄を行えば、もっと良い玉鋼が出来るかも知れない。
 刀の注文は正副二振りを造るが、奉納玉鋼は神様に奉納なので、製鉄の神社に相応しい玉鋼にしたい。
 2日間に渡る早出操業は体力的、精神的に大変疲れたので、明日は刀の鍛錬と包丁研ぎで体を休めたい。性格的に仕事をしていなければ落ち着かない様である。

玉鋼造り

 早朝4時30分、神前に祓詞を唱えて送風開始。5時30分砂鉄投入始め、12時投入終り、12時30分炉解体。8.5キロのやや小振りで纏まった玉鋼が出来る。
 続いて炉の塗り直しをして、夕方迄明日の炭切。
 明日もう1個玉鋼を造り、出来の良い方を奉納して、残りは記念に短刀か包丁を造りたい。
 専業刀工一人と寂しいが後少し頑張りたい。

包丁焼入れ

 早朝より包丁鍛錬、焼入れ2本。午後は見学会を終り明日のたたら製鉄用の炭切を終える。そして午前中の焼入れをした包丁を、ベルトサンダーで荒研ぎ。傷も無く一安心して後日の研ぎとする。
 早朝の早出と残業、少しも休まる時が無いが急ぎの用を済まし、明日は気合を入れて奉納用の玉鋼に取り組みたい。今夜は早く寝て、又早朝に早起きの予定。

春の祭典

 5箇條の御誓文発布の日、金屋子神社は満開の桜で春が一番綺麗である。
 禰宜の御子息から正月以来の罪と穢れをお祓い頂き、心身共に新しき命の甦りを感ずる。93歳になられる安部宮司様の祝詞奏上後に玉串を捧げて、我が身、自らが魂串となって、民族の魂を打つ続ける事が出来ます様に赤き誠を捧げる。
 金屋子神社は鉄の神様である。禰宜様より自家製たたらの玉鋼を分けて頂きたいとの御言葉。刀工としては金屋子神社に玉鋼を奉納出来る事は大変名誉な事であり、一生一代の誉である。
 先日たたら製鉄の用意も終わっており、4月23日に操業予定をしていたので丁度良く、万全を期して後代に残る玉鋼を造りたい。

刀と包丁

 曇天涼しく。朝6時より12時迄鍛錬。これ位の天気なら順調に進むが、包丁も続けての注文が有り、午前は刀。
 午後は疲れて刀造りは出来ないので、体力的に楽な包丁造りの日々。
 昼に岩手県より松炭とたたら炭40俵が届くが、予定外の注文も有り来週は追加注文しなければ、連休の包丁実演会の炭も不足する。
 一人になり少しゆっくりとしたいが、注文が有れば心が浮き浮きしてどうしても鋼の鍛錬が楽しみになる。夕方には刀の鋼の沸かし状態を、種別毎に帳面に記して炭素量を火花試験して、少し低い鋼は包丁用とする。
 折り返し鍛錬毎に炭素量は減るので、仕上がりの炭素量を思い刀と包丁用の振り分けも必要となる。刀程炭素量の高い鋼は包丁に向かず、低い炭素量の鋼で刀にすれば曲がる。包丁は毎日使うので結果は直に判る。
 近代製鉄の合金刃物鋼ではなく、砂鉄よりの炭素鋼なので水焼き。全てが鋼なので刃文が出来て、1日で仕上がる包丁は楽しいものである。

朝食

 涼しい午前中に鍛錬をする為、朝5時起床するが米は炊けておらずラーメンを食して鍛冶場へ。
 その日の天気と体調を考えて出勤時間が違うが、朝5時には炊飯器をセットしておく事を言って有るが。夕食に残ったご飯を冷蔵庫に入れて、朝チンする飯は美味くない。炊飯器で保温をして置けば朝何時に起きて朝食をして鍛冶場に出れる。米を食べて刀を打たねばラーメンやパンでは力が出ない。
 午前中は涼しく湿気が無く順調に鍛錬は進む。午後は風が強く火の粉が飛ぶので、たたら装置を解体して炉の塗り直し。

代休

 昨日は湯治の帰りふる里納税の贈り物予定に話が上がっている日本刀包丁製作の材料集めに時間を取られ、耳鼻科と内科の病院へ行く事が出来ず、午前中は病院廻り。
 午後は注文者への便りと研ぎ上がりの連絡。夜は刀剣商の方との打ち合わせ等が有り、作業は出来ず。
 平田君とは朝アルバイトの予定と作業予定を打ち合わすのみ。
 弟子が居なくなり一人になると実に忙しく、炭切が右手を痛めつける。

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