刀鍛冶の日々

秋山君来る

 昨日一人で対応した見学会の疲れが今日も残り、せんかけの終った昼前には肩と腕が痛む。
 丁度秋山君も5ヵ月ぶりに伝習所に顔をだしたので、平田君と共に3人で昼食を取りながら怪我の回復具合とまだ治らない足の様子を見る。
 完全に元通りには治らないと思うが、若いだけに回復力も早く秋位には刀造りに復帰出来るのではないかと思う。こうして元気な顔を見れた事が何よりも嬉しい。伝習所で実力の有る29歳と30歳の若さの弟子2名がまだ残っている。伝習所は決して無くならない。砂鉄よりの自家製鉄で、日本刀本来の武器としての使用を考えて作刀すれば美術要素も付いてくる。
 二人共入門してもう十年を越える経験を持っている。二人で頑張って次の時代にバトンタッチをして、日本の伝統を守って欲しい。
 私も弟子達が芽を出す迄、もう少し頑張りたい。
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秋山君来る

楽しかった一日

 午前中に前以て降し金をしていた5キロの鋼を、積み沸かし用に水べし。通常は折り返し鍛錬のみであるが、見学予約は4組13名と多いので、梃台に水べしをした鋼を4段に積み沸かしをして、1枚の板状に纏めてから折り返し鍛錬。
 見学者には積み沸かしを初めて見せたので好評。見学者説明も洋鉄と和鉄の違い、そして今日は刀と共に短刀も展示して見てもらった。
 皆さんが日本刀に触れて喜んで頂く事が一番嬉しい。九州、中國、近畿、関東と幅広く見学者も有り楽しい一日であった。

思い

 午後は明日の見学会用に6俵の炭切。見学は3組、9名程の予定。火床の塗り直しも完了。
 久し振りに平田君が刀の心鉄を鍛える。勤務が昼からだったり夕方からだったり不規則なので、刀造りは殆ど進まず。専業の刀工として生きるには注文が無ければならない。全國で刀工資格を持った者も皆同じである。そこを何とか乗り切った者が専業の刀工となる。
 数多い私の弟子も日曜鍛冶で終って欲しくない。37年間何の為に弟子を育てたのだろうかと思う事も有る。私の元気な内に、只一人だけでも専業の刀工として、芽を出して欲しいと思いながら刀を打ち続けている。

見学会

 先日の砂鉄で短刀用玉鋼三振り分を造り、それで試作の包丁一本で様子見。粘りも十分に有り申し分無し。
 弟子も居なくなり、無料見学会も土曜日の午後のみと縮小したので、見学会予約者が大幅に増える。
 見学会は自家製玉鋼の製鉄法。刀剣製作の工程説明と私の刀剣見学。見学者が一番見たいのは、折り返し鍛錬で有り、それ以外は他でも見学出来る。毎週一人になっても火花を散らし、鋼を打ち続けるその迫力を目前に見たくて見学に来て、日本の伝統文化を肌で感じるのである。自らがたたら製鉄で玉鋼を造り、それを必死で鍛えて鋼を育てる母親の行為である。
 刀だけの見学なら博物館に多数陳列されているではないか。見学者の要望は現代も続く刀造りの実施の場である。見たくも殆どの刀工は見せない。あえて見学会を毎週続行するのは、自國の文化に誇りを持って、日本人として胸を張って貰いたいから一人でも続けるのである。

土曜日の夢

 昨日の砂鉄集めの疲れか右手が痛み、やっと昼迄に反り付けをして、内面応力を抜いていた刀の歪み直しと荒削りを終る。仕上げのせんかけは手の痺れが和らぐ迄待つ事とする。
 明日は右手を使わないでも出来る短刀用のたたら製鉄の予定。弟子も居なく今日も一人仕事で全てをしなければならず、右肩は痛みと痺れに悩まされる。それでも刀造りは楽しくてしょうがない。
 一人になって忙しいが、以前の様に鍛冶屋クラブを造って、素人による古代包丁造りで、日本の古い鍛冶屋の伝統を学ぶ場所にしたいものである。土曜日の無料公開見学会と併せれば良いかも知れない。まだ体力もあり一人や二人の面倒位は見る事が出来る。

3月21日の事

 遠く東北地方の方より短刀の注文を受けている。最後を決するのは肌身離さず持つ短刀である。相手を倒すか、自刃するか、短刀の役割は二通りの役目がある。
 國家存亡の時、一般の國民として持てる武器は刀剣以外に無い。その強い不屈念を持つ受注者の短刀を造る為に、片道5時間を要する場所に、粘りが有って斬味に勝れる短刀用の砂鉄を集めに行った。砂と選り分け水洗いをして乾かして近日中に鋼を造りたい。
 納める日数は十分に有るので、造り直しの太刀を先に仕上げてから、ゆっくりと納得のゆく短刀を造りたい。

反り付け

 今月前半頃より非常に硬い玉鋼を急いで鍛錬をした為か、右手が痛み痺れる。
 平田君が荒火造りを手助けしてくれたので、今日は仕上げ打ちと反り付け。研師さんに研ぎの後半になって傷が出た事を知らされ、急遽打ち直しを始めた刀である。一生懸命造った刀であるが、製鉄よりの手造りであるので欠点も出る。
 納入日迄日数はあるが、研師さんは順番が有るので早く造らねばならないし、私も次の作刀予定がずれて来る。
 大きな玉鋼を一人で切断した痛みが尾を引く。以前にたたら製鉄で造った大きな玉鋼の在庫も沢山有るが、平田君のアルバイトが休みの時に手伝ってもらって切断しなければ、右手が痛み仕事が出来なくなる。

来客

 昼迄包丁用の玉鋼造り。
 途中来客有り。山梨県で自家製たたらで、玉鋼を造っている刀工。御名前は知っていたがお会いするのは初めてである。
 今、砂鉄から鋼を造っている刀工は全國で数名。日刀保玉鋼はアルミナを含んでいるので鍛伸性に劣り、硬くて、もろく実戦刀には不向きな事を知っている方である。晩年になって同志に会えた事は嬉しい。僅か1時間程のお話で、時間は少なかったので製鉄の詳しい事は余り語り合えなかったが、長年たたら製鉄をされているので同じ地金であると思う。
 午後3時にたたら製鉄の跡片付け。25キロの砂鉄で7キロの玉鋼が出来る。九州の砂鉄と中國地方の砂鉄の混合で、炭素量は包丁に適している。

見学会

 午後の無料見学会に備えて炭切をするが、連休の為刀剣博物館を目指して伝習所の前を通る人は多くなる。
 午後は次々と予約の方が訪れ、展示場でたたら製鉄と作刀の説明。鍛錬場で私がベルトハンマーを使っての折り返し鍛錬と説明を行う。
 弟子も去って一人仕事での無料見学会なので少し迫力不足である。見学会は今日午後のみであるので、明日に備えて夕方にはたたら炉の解体と塗り直しをする。
 春からは例年包丁製作依頼が多くなるので、包丁用玉鋼も造り置きをしなければならない。全てを一人で行うので忙しいが、直接日本刀造りを見て、日本の文化伝統を肌で感じてもらえたらそれで良い。

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