刀鍛冶の日々

短刀皮鉄

 肌寒い春の雨は降り続く。
 先週の見学会で積み沸かしをして纏めた鋼を、今朝より短刀用に鍛える。切炭は沢山有り、連続して夕方迄鍛えて皮鉄は出来上がる。
 刀に比べて短刀の材料は少なく、僅か4キロの鋼で短刀一振りの皮鉄500gに仕上げる。鍛冶場の暑さも無く、今日位の気温であれば助かる。
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刀身仕立て

 朝8時30分眼科で診察するも異常無し。しかれども目の痛みは続き、鍛錬時の沸かしはサングラス無しでは出来ない。白内障の術後ずっと続く痛みである。
 昨日、刀の曲がり直しをしていたが、刀の刃先0.5ミリ程の厚さで焼入れをしているので、砥石で軽く研げば直に刃が付く。内面応力が抜けていないので、少し曲がっているので直す。
 刃先厚0.5ミリで焼入れをしても刃切れ(割れ)が来ない程自家製鉄は粘い。昨年も今年も1振りの割れも出していない。刃先を真直ぐに直し中心仕立て。
 夕方には炭を割り、火床の手直しをして短刀の鍛錬用意。今日の鍛冶場は私一人なので、1日が非常に長く感じ、今迄途中で辞めた弟子や、刀工資格を取って辞めた多くの弟子は今頃何をしているかと思って見る。折角鍛冶場を造りながら、刀を造っていない弟子も居る。
 信念を通すのが如何に難しいかを思う。

健康管理

 午前中は整体の施術後、平田君の降し金を見学。何時見ても上手である。
 午後は刀の姿直し。一夜明けて再度の点検で良ければ仕上げとなる。この微調整が出来る様になれば卒業となる。
 本当は弟子達も自分の事だから、刀の鑑賞会等に出席して刀を見る勉強をすれば、独立への道も早くなるのだが・・努力は自分でするものである。
 先月は脳梗塞と心筋梗塞のリスクの検査が合格。今日は糖尿病の値 HbAICも6ヶ月振りにやっと6.9迄下がる。癌リスク検査も合格。明日は眼科受信予定。体調もよくなっている。
 いずれは日曜鍛冶をしている山本君と二人きりになる。伝習所で専業刀工は私一人であるので、体調管理に十分気を付けなければ、幾人になるか判らないが、独立して専業の刀工となる弟子の行末が見れない。37年間の弟子育成結果も最後を見たいものである。

70歳焼入れ

 70歳を迎えた事を、亡き父母に感謝。
 目の病と頚椎の病を乗り越えて刀造りを続ける事が出来るのを、鉄の祖神金屋子神社の大神様と宮司様に深く感謝申し上げて、焼入れに臨む。
 午前中は焼入れ用に小さく炭切。午後は土置き、湯沸かしをして焼入れ。外は雨模様で暗く丁度良い。
 刀の地金は三種類の砂鉄混合なので、刃文はどうなるか判らない。焼入れ後急いで荒砥をして刃文を確かめる。頃合いである。
 大変疲れたので、細部は明日に見る。
 それから刀工として生き続ける事が出来たのは、妻の支えが大きかったと感謝している。

69歳終わる

 疲れがたまり過ぎているので、今日は1日を布団の中で浅い夢を繰り返し見ながら寝る。
 明日は刀に土置きをして焼入れなので、尚更心身共に元気でなければならない。休んだのでやっと夕方には右肩の痛みも、手の痺れも消えた。やはり毎週一回は休日を確実に休まなければ、体が悲鳴を上げる。
 気持ちは若いが体が付いてこない年に成った事をつくづと思う。それもそのはずで、今日は60台も終り明日は70歳を迎える69歳最後の日である。
 昭和22年3月28日、南國土佐と言っても大雪の降る四國山脈の中、高知県土佐郡土佐町の寒村で生を受けた。理由あって17歳で故郷を去る。
 学校を卒業後、一時建設会社で働いたが、どうしても刀鍛冶に成りたくて刀工入門。当時は現代の様に玉鋼も無く、江戸時代の古鉄で玉鋼を造らなければならない時であり、古鉄集めも苦労した時代であた。 
 振り返れば長い様で短い年月でもう明日は70歳になる。人間の寿命は判らないが、毎日毎日が今日で終りと思って努力、工夫をした刀を人生に残さなければならない。

秋山君来る

 昨日一人で対応した見学会の疲れが今日も残り、せんかけの終った昼前には肩と腕が痛む。
 丁度秋山君も5ヵ月ぶりに伝習所に顔をだしたので、平田君と共に3人で昼食を取りながら怪我の回復具合とまだ治らない足の様子を見る。
 完全に元通りには治らないと思うが、若いだけに回復力も早く秋位には刀造りに復帰出来るのではないかと思う。こうして元気な顔を見れた事が何よりも嬉しい。伝習所で実力の有る29歳と30歳の若さの弟子2名がまだ残っている。伝習所は決して無くならない。砂鉄よりの自家製鉄で、日本刀本来の武器としての使用を考えて作刀すれば美術要素も付いてくる。
 二人共入門してもう十年を越える経験を持っている。二人で頑張って次の時代にバトンタッチをして、日本の伝統を守って欲しい。
 私も弟子達が芽を出す迄、もう少し頑張りたい。

秋山君来る

楽しかった一日

 午前中に前以て降し金をしていた5キロの鋼を、積み沸かし用に水べし。通常は折り返し鍛錬のみであるが、見学予約は4組13名と多いので、梃台に水べしをした鋼を4段に積み沸かしをして、1枚の板状に纏めてから折り返し鍛錬。
 見学者には積み沸かしを初めて見せたので好評。見学者説明も洋鉄と和鉄の違い、そして今日は刀と共に短刀も展示して見てもらった。
 皆さんが日本刀に触れて喜んで頂く事が一番嬉しい。九州、中國、近畿、関東と幅広く見学者も有り楽しい一日であった。

思い

 午後は明日の見学会用に6俵の炭切。見学は3組、9名程の予定。火床の塗り直しも完了。
 久し振りに平田君が刀の心鉄を鍛える。勤務が昼からだったり夕方からだったり不規則なので、刀造りは殆ど進まず。専業の刀工として生きるには注文が無ければならない。全國で刀工資格を持った者も皆同じである。そこを何とか乗り切った者が専業の刀工となる。
 数多い私の弟子も日曜鍛冶で終って欲しくない。37年間何の為に弟子を育てたのだろうかと思う事も有る。私の元気な内に、只一人だけでも専業の刀工として、芽を出して欲しいと思いながら刀を打ち続けている。

見学会

 先日の砂鉄で短刀用玉鋼三振り分を造り、それで試作の包丁一本で様子見。粘りも十分に有り申し分無し。
 弟子も居なくなり、無料見学会も土曜日の午後のみと縮小したので、見学会予約者が大幅に増える。
 見学会は自家製玉鋼の製鉄法。刀剣製作の工程説明と私の刀剣見学。見学者が一番見たいのは、折り返し鍛錬で有り、それ以外は他でも見学出来る。毎週一人になっても火花を散らし、鋼を打ち続けるその迫力を目前に見たくて見学に来て、日本の伝統文化を肌で感じるのである。自らがたたら製鉄で玉鋼を造り、それを必死で鍛えて鋼を育てる母親の行為である。
 刀だけの見学なら博物館に多数陳列されているではないか。見学者の要望は現代も続く刀造りの実施の場である。見たくも殆どの刀工は見せない。あえて見学会を毎週続行するのは、自國の文化に誇りを持って、日本人として胸を張って貰いたいから一人でも続けるのである。

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