刀鍛冶の日々

故郷を走る

 心臓を体外に取り出しての大手術をした姉も元気で、一緒に生みの親が眠れる地を参拝。御墓の前で二人して両親の離婚前後の事や、自らの生きた道を語る。我等4人兄弟はそれぞれの思いを持って生きた。
 高知県最東部室戸岬に刀の注文者を訪ずね製作の打ち合わせ。高知市から3時間近く太平洋を眺めながら走った。1日目は走行360キロ。夜は弟宅で久し振りに夕食。2日目は200キロ走行。高知県西部の四万十川市の砂鉄を見に行く予定であったが、思わね所から火山系砂鉄が入ったので中止。
 妻が3日間登山で居ないので、一人で故郷へ出掛けた。次回は二人で土佐に旅したいと思っている。弟子も少なくなり、少しながら休日も持てた。やはり生まれ育った故郷は懐かしい。
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落胆

 昨日短刀の下研ぎ砥石4本迄を見て安心して帰ったが、研師さんから連絡有り。
 僅かに刃先に鉱滓を噛んでいたので、刃先を研ぎ減すと傷の続きに又深く鉱滓を噛んだ傷が出てしまい、最後はそれ迄の研代を支払って切断する事とした。
 実用に使った時代と違い僅かが許されない鑑賞の時代なので,涙を呑んで切断しなければならない。これが小型自家製鋼の難しい所で、殆どの刀工はここで諦めて傷の出ない日刀保玉鋼に戻るのである。
 しかし砂鉄からの手造りで有る以上失敗はあるから、予備の影打ちをして出来の良い作品を出すのである。失敗作が出ると何時も心が折れるが、少し気分転換をして又打ち続ける。専業の刀工はその繰り返しである。
 これから独立してゆく弟子がこの痛みに耐え続けなければ、小型自家製鋼をもっての専業刀工にはなれない。
 疲れたので10月迄プログは休みます。

研師宅で

 焼入れをして荒研ぎを済ました短刀を持って研師宅へ。休日なのでゆっくりと下研ぎを見学。
 焼入れが終わると荒研ぎをして、硝酸で大まかな刃文はみているが、細かな出来は砥石を5段階位進めなければ判らない。それに小さな自家製たたら装置で多種類の砂鉄をブレンドしているので、日刀保玉鋼より数倍も傷の出る確率は高く、失敗で有れば又始めから造り直しなので、絶えず予備の影打ちも必要となり、両方共に失敗も有るので下研ぎが終わる迄心配である。
 刀であれば下研ぎが1週間程必要であるが、短刀の下研ぎは1日~2日で終わるので銘を切り工作へ出す事となる。刀は分業仕事なので日数がかかるが、下研ぎが終われば安心して次の注文制作に入れる。
 全國でも数名自家製たたらで刀を造っているが、単品砂鉄ではどうしても鍛え肌が出にくい。
 昨日は日刀保玉鋼2級Aをロックウエル硬さ試験機で150kgfの荷重を掛け、ダイヤモンド圧子の圧痕の周囲に無数のひび割れが出来たのを金属顕微鏡を使って弟子に見せ、日刀保玉鋼が非常に銑に近く実用刀に向かない事を説明。硬さは14~17HRC位であった。

せん造り

 日曜日、弟子も頑張って鍛錬。
 人数も多いので落ち着いて仕事が出来ないので、使い古した鉄を削る道具「せん」を新しく造る。刀の形に火造りの終わった鉄は、酸化鉄の薄い皮が付いているので、せんで光り輝く迄丁寧に削って仕上げないと、刃文を造る為の土置きが出来ない重要な工程に用いる道具である。
 通常は一生に1本あれば事足りるが、仕事量が多いので2本目を造る。これで鎚を置く年齢迄、十分に使用出来る。

包丁

 もう4~5年にもなるだろう。島根県の方に購入して頂いた包丁の研ぎ直し依頼有り。大事に使って頂いたので、早速研ぎ直して送ったので、今頃は使っていると思う。
 今日も奈良県出身の女性に包丁を買って頂く。刀と違って包丁は毎日使うので、評価は早くやりがいもある。
 今日も九州から友人が来て包丁を焼入れる。私は昨日の内面応力の抜けた短刀の姿直し、弟子の指導で一日を終える。
 夜は久し振り盃を交わす。酔も回るので床に着く。

火造り

 朝より平田君、谷口君共に火造り。平田君は夕方刀に膨れが出て少しすり上げ。谷口君は姿に問題が有り、私が姿直しと反りつけをする。
 弟子は常日頃、刀の注文が無いので、包丁造りが主であったが、刀造りに大きく方向転換をしたので少し戸惑っている。
 来春位には全員が自立出来る技術を身に付けて欲しい。

雨の秋分の日

 鍛冶場に降る雨は國旗を濡らす。
 地元産の松炭は火力が弱く心鉄の膨れが抜けないので、岩手県産松炭を混ぜて強く沸かす。心鉄と皮鉄の組み合わせは全て岩手産で沸かし延べ迄進める。
 素延べ仕上げは練習を兼ねて谷口君に任す。弟子は親方の仕事を見、手伝って覚える。これが理想の育成方法である。
 弟子に真剣さが無ければ、注文刀の手伝いをさす事が出来ない。信頼感の問題である。
 降る雨を眺めながら、谷口君の手鎚の音を聞く秋分の日。

イスラエルから

 10日程前に予約をされた日本人の方と外國人が来訪。 御國はイスラエルなのでヘブライ語。
 私の砂鉄から玉鋼を造る説明は、専門用語が多いので通訳は大変。インターネットで私の動画を見て、刀造りの現場を見たくて、今朝飛行機で日本到着。岡山空港から伝習所へ。
 見学会は土・日曜日に限っているが、日本の文化紹介の為に谷口君と平田君が実演で、折り返し鍛錬を見せる。
 今、伝習所では弟子を独立させる方向なので、人員は少なくなっていて平日は機械打ち。土・日の古式折り返し鍛錬も中止して、自由見学として、その時にしている仕事を見て頂く事にしている。
 イスラエルの御菓子を頂いたのと、外國からはるばる私の仕事を見に来て頂いたので、御礼に私のDVDを差し上げる。

鍛錬

 昨日の雨は粗末な私の鍛冶場を濡らす。
 火床の上の半乾きの砂鉄は雨漏りで濡れ、煙突からの雨漏りは火床を湿らし、鋼の沸きは少し遅かったが徐々に火力は増し昼には鍛錬も終わり、午後は傷んだ道具類を直す。
 山本君は短刀の鍛錬、谷口君は炭の補給と膨れが出た時、鏨で切り取る助手。
 鍛冶場は火床3ヶ所なので、3人位で作業を行うのが1番効率が良い。

墓参

 朝市で大高君の1番好きだったニューピオーネと言う粒の大きな葡萄を見つけたので、今日も水戸へ送る。
 台風16号の影響で県北の雨は凄まじく降る。
 中國地方四県より同志集いて墓参。人間の寿命は判らない。生きて息の有る間は刀を造るのみ。
 別れの雨は激しく彼女の涙雨か。知り合って30年の思い出話をしながら3人で帰る。父、母、彼女と一家全員を見送った思い出に浸る。

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