刀鍛冶の日々

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 暑い一日、何とか午前10時迄無理を通す。
 8月の盆休みは例年より早く、10日からにして、1年で1番暑い時期に弟子を安ます。
 盆休みでも涼しい時間帯に、寸暇を惜しんでの作刀は自由。
 注文刀も多いので私は休まず、早朝2~3時間、体の許す範囲の刀造りの予定にしている。
 昨夜は初めて町内会の花火大会に出掛け、心休まり、今日よりは次の注文刀に取り掛かる。
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焼入れ

 夜明けは涼しく日中の暑さが嘘の様である。
 せん、やすりで刀身を仕上げ、土置き。ビニールシートで鍛冶場を覆い日光を遮断して、弟子達にも新しい材料鋼を使っての焼入れを見せる。
 短刀一口毎に手を湯船に浸し、感覚で水温を感じ取る。三口の短刀は思い通りの刃文になる。
 午後は姿直しをして、西日の当たる仕上げ場で刀身、中心仕立てをして、夕方に終わる。
 夜は頂いた冷酒で一人乾杯。

感覚

 三口の短刀を鍛える途中、スプリングハンマーで叩くも、硬さと粘りが違い、素延べして切先を切って焼入れをするが感度も違う。この三口の短刀を午前中に平田君が火造りをしたので、鋼の違いを尋ねるが、同じ感じで差はなく感じた様である。
 しかし砂鉄の種類も炭素量も違うので、僅かの差はある。そこが難しい所。同時に焼入れを行うが、刀身の硬さと粘りに明らかな差が出て、斬味も違って来る。
 この差を考えて、焼温度を肉眼で判断して、焼入れを行う感覚は経験が必要であり、焼戻し温度をどこ迄戻すかによって、斬味が大きく違って来る。
 短刀を使う時代ではないが、自刃に際して遅れを取らない様な、短刀を残して置きたい。

素延べ

 刀用に鍛えた鋼と、短刀用の試作鋼を混合して上鍛えを終わり、短刀三口を素延べ。
 朝8時には鍛冶場の温度計は50度に達するので、爆冷スプレーをシャツにかけて心臓を守りながらの作業。刀剣用の鋼を鍛え出してもう3週間程になる。包丁での試作も終わっているので、明日より短刀の火造りを終えて、今週中には焼入れをしたい。暑いのでゆっくりしたいが、順次注文刀が入るのでそうも出来ない。
 外國からの見学予約も2ヶ國から入る。日本の暑い夏に真白く沸かされ、火花を飛ばして打つ熱さに外人は驚く事だろう。日曜日には東北からも見学予約。弟子の人数も少なくなるので、古式折り返し鍛錬も何時迄も続ける事は出来ない。
 刀工数も14名と國内最大の人員を出した。せめて5名位は独立して次世代へ、小型たたら製鉄による刀剣造りの技術を伝えて欲しいものである。

試作始め

 昨日午後研師宅で研いでいる刀の表面の状態を見て、鍛接面の非金属B介在物の影響と思われる場所を見て、今日の鍛錬は強い沸かしをかけ、鉱滓を除き、厚い金肌は削り、取れない場所はホウ酸をかけて部分的に融点を早く高める。
 たたら製鉄時に於ける介在物の混入は出来るだけ少なくと思っているが、不明の部分も有る。砂鉄によっても異なり、鍛錬によっても違ってくる。諸々の資料を見て、それを製鉄に結び付け、どの様な刀にするかを考える。
 こんな事が何十年も続いている。資金と時間を惜しみ、見るだけの刀を造って、日本刀本来の「折れず」と言う一番大事な事が忘れられている。
 急速冷却した日刀保玉鋼の断面のマルテンサイト組織を見た刀工はいるのだろうか?それに比べて小さな小型たたらで、極低い温度で還元された組織ーマルテンサイトーを見れば、折れない古代製鉄の良さも判る。
 今日から午後は休みで資料勉強を始める。小さな短刀でサンプルとして秋よりは刀造りに結び付けたい。その前に雨が降れば、新しい砂鉄で玉鋼を造りたい。

平日仕事は午前のみ

 昨日は休んで寝たので、今日の体調は良く午前中は短刀の鍛錬。平田君も鍛錬をするが、11時には共に止める。余りの暑さに息苦しく限界。
 午後は研師宅へ見学。大小合わせて私の刀六振りが研がれている。研師の仕事は音もしなく、冷暖房完備なので体には良い。
 刀鍛冶は暑い中で熱い鋼を鍛え、もう余り長くない刀工生活を考えると少しでも仕事をしたい。老いても注文は次々と入るので、自分の都合に合わせて刀造りを進める。
 教える弟子もいなく、谷口君が私の作業に合わせた大きさの炭を切ってくれるので大助かりである。伝習所では26歳と1番若く最後迄残って欲しい。私の仕事を手伝いながら、技術を盗んで欲しい。
 明日から午後の仕事は無しとして、涼しくなる迄は遠のいていた書物に目を通して、体をいたわり秋に備える。

寝て過ごす

 最近は鋼が面白く少し頑張り過ぎた様で、朝起きる事が出来なく1日を寝て過ごす。今日は休日なので弟子も休みで気を使わずゆっくりと寝て過ごした。
 8月3日に県庁文化課と刀剣登録審査員が来所して、刀工試験に合格した最後の弟子平井さんの仕事観察の当分延期を、文化課に電話する。
 私の知人にも頚椎の手術で半身不随となり、車椅子生活になった者もいる。脳と頚椎は大事な場所であり、大きな専門病院を回り診察を受け、手術は最後の方法と考える。
 私も1年4ヵ月前、頚椎に多くにひび割れが見つかり、激痛と手の痺れで強い薬を使用しても夜半は激痛で眠れず。手鎚は 
使えず火造りは秋山君、平田君に助けてもらった。注文を受けた以上はプロで有る。やり遂げねばならぬ。
 今は少しだけ親指に痺れは残るも、体調が良いので仕事量が増える。
 私は幸いにも金屋子神社の宮司様に祈って頂き、私も毎日御願いをして、後少しの所迄回復した。医学の進歩は素晴らしいが、それで全ての病気が良くなる訳ではなく、神様を信じて拝む事も必要と思う。

短刀へ

 昨日のたたら製鉄による玉鋼は水中に入れ、冷却してベルトハンマーで叩くと大きく5個に割れ、断面は銑鉄。午後には低い温度で纏めて折り返し鍛錬へ。可鍛銑鉄も面白く、刀の鍛錬は中止して短刀試作へ。
 石原君も自家製鉄で玉鋼を造っているので、砂鉄を御土産に。
 金沢君も刀の素延べをしている。
 たたら製鉄を2度も行い、長時間作業で肉体は疲れ切っているが、神経は研ぎ澄まされて敏感。鍛冶場は既に室温50度に達しているが止められず。熱中症にならない様に水分補給をするが、火床の前では汗も直に乾き、息苦しく午後4時半終了。

早出

 午前2時半、送風開始。日中の暑さと、弟子が朝から鍛錬をするので、鍛冶場の室内温度が上がるのを避けた。
 8時、弟子達が仕事にかかる前に炉を解体。銑気強し。これで今日は休みたかったが昨日、鍛錬の包丁を谷口君が火造ったので土置き、焼入れ。炭素量は高く膨れも多く、刀に向かないと思っていたが、傷一つなく綺麗な地金で焼刃も非常に高いが、粘りが強く焼割れも無し。 炭素量が高く銑気分が多く、鍛錬による目減りは多いが十分使用出来るので在庫にする。
 今日の玉鋼も見かけの火花試験よりも粘りが有るのではないかと思う。明朝は鍛錬をして様子見。これ以上は暑くてたたら製鉄は秋迄休み。
 菊池君も伝習所で最後の刀を造り終える。明日は故郷に帰るのに、9年間に増えた荷物を積み帰る車の予約に大阪へ出掛ける。伝習所の生活も残すは後1ヶ月となる。

 昨日の鋼を鍛えるが、膨れが出続ける。粘りは十分に有る。取り敢えず6回鍛えて、包丁に素延べをして、焼入れをして見たいと思うが、刀には少し不向きの様であり、午後は再度炉を塗り直して、明日違った砂鉄でたたら製鉄を行いたい。
 夕方には平井さんが来て、頚椎の手術を行う方向に。病院の診断が次々と変わり、病院も変わる。折角刀工試験に合格したが、刀工に成れるかは不明。
 今日は私も首、肩が痛み、手は痺れるが作業は続行。明日は良い鋼を造り、来週は又、刀の鍛錬に戻りたい。

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