刀鍛冶の日々

造り込み

 高知県から電話が入り、 姉の入院原因が判る。心臓の大動脈の血管は3層になっているが、既に2層が破れ大動脈破裂の一歩手前で有った事が義兄より知らされて、良く手術が間に合ったものだと思う。 自宅でも鍛冶場でも神棚に手を合わせ、金屋子の大神様に姉が助かる事を祈っていた。
 手術成功で心の重荷も取れて、心鉄を鍛え、皮鉄と合わせ一尺八寸迄荒素延べ。刃渡り三尺を越える刀が出来る。荒素延べを終ると、火造りは弟子が練習を兼ねてするので修正は私がする。
 明日よりは5月、やっと1月に注文の子供の御守り短刀の用意に入らなければならない。注文は目白押しであるし、外國人の来所予約が多く、テレビ出演や企業の撮影予約も多くなった。
 中小企業庁より全國で44社が優良企業として、閣議決定をもって4月22日にインターネットで紹介され、夏位には市販本「企業白書」が出る。
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一安心

 朝、鍛冶場に國旗を掲げ、午前中は谷口君の手伝いで、皮鉄を鍛え終わる。精も根も尽き果てたので、午後は古式折り返しの鋼を纏めて、折り返し鍛錬の用意。さらに体験会用の鋼の選別をして下準備。
 朝から姉の事が気掛りであり、夕方高知県へ電話をすると昨日長い麻酔から目覚め、手術は一応成功したとの事。医師は毎年30~40例の心臓手術をしており、四國トップの医師との事。連休明けの週に面会許可が出れば、徳島県へ兄弟と行く事として長姉と弟に連絡をする。長く感じた3日間であった。
 明日は心鉄を鍛えて皮鉄と組み合す造り込みへ。一安心して作刀に打ち込める。

膨れ

 刀の鍛錬は上げ鍛えに入る。谷口君が鏨を用意して、膨れの削り取りに備える。
 下鍛え時の膨れは鏨で切り、強い火で大沸かしをかけて空気を抜くが、上げ鍛えになると膨れも小さくなるので、谷口君が万力で挟んだ鋼を1ミリ程削り取る。
 たたら製鉄時還元され、粒状化して落ちた砂鉄が球状になり、それに羽口から空気が吹き込まれ脱炭して鋼になるが、その時の酸素が鋼の中に入っている様である。
 最近は球状化が大きく、時には直径3ミリにも達する事があるが、大きい時は空気があまり入らないので膨れも出ない。これは砂鉄の種類にもよると思われる。日刀保玉鋼は高温で造られているので、膨れの出は非常に少なく、その点は楽である。
 少し前、江戸時代の玉鋼を見たが、日刀保玉鋼よりもよく詰んだ高炭素鋼であり、今の玉鋼とは比べ物にならない位高品質であった。しかし送風装置もレベルの低い平安期から鎌倉期は、江戸時代とは製鉄方法も鋼も違うと思われる。

雨の一日

 姉の心臓は手術され、体内に戻され今日午後迄眠っている。順調に回復に向かって欲しい。
 両親の離婚前、姉と遊んだ幼い頃の思い出に浸りながら昼過ぎ迄下鍛えは続く。今回は14キロと大目に皮鉄を鍛える。合計35回の折り返し。
 昼食後は疲れて起き上がれず。夕方谷口君のたたら製鉄解体を見る。歩留りは20%と少ないが、高炭素で良く締まった鋼に出来ている。
 雨は1日振り続く。

下鍛え

 鍛冶場の室内温度が45度を越えると、もう汗が流れ落ちる。自家製鉄は低温還元なので鉱滓量が多く、下鍛え温度は高く湯玉が飛び散り、シャツは穴だらけとなる。
 丁度12時で温度計は50度。明日午前中で下鍛えは終わる。午後は炉の上で乾いた砂鉄の選り分けで体を休める。
 夕方姉宅へ電話を入れて手術の様子を聞く。心臓を取り出して手術中との事。無事を祈っている。

12キロ強

 昨夜高知県に住む姉(次女)宅に半年振りに電話すると、26日に心臓の大手術をするので入院をしている。早速兄弟達に電話。 姉は10年余り前にも目の奥に卵大の腫瘍が出来て、頭を開いての大手術。私達は四人兄弟であったが、親の離婚で別れて育つも兄弟である。長女79才、次女75才、私69才、弟67才と、何時誰が倒れても不思議の無い歳になった。人間の寿命は神様以外判らない。姉の手術成功を神様に祈っている。
 姉の事を思いながら休日出勤して、刀工試験を受ける弟子の脇差火造りに目を通しながら、たたら製鉄をする。菊池君の玉鋼歩留り10%、金沢君の歩留り15%と極めて悪く、3日目は私が製鉄。砂鉄40キロで総量15キロ、谷口君がベルトハンマーで玉鋼の廻りに付いた鉱滓と小粒の玉鋼を落としても、12キロ余りの大きく纏まった玉鋼に残る。
 砂鉄の種類によって分析内容が違うので、それを考えて作業をしなければ良い玉鋼は出来なく、良い刀も出来ない。科学的知識と経験が大切であり、それは努力と工夫に尽きる。

NHK海外放送決まる

 午前中刀の地金を鍛える。
 午後は訪問予約2件。 金沢君のたたら製鉄で終り、明日は連休中の包丁体験で使う鋼を造るのに、炉を塗り直して終る。
 もうすぐ中小企業庁より「企業白書」が出るので、友人が”長船包丁店”の金属学的に見た、何処の包丁店にも無い映像を掲載してくれる予定。
 NHK海外放送は26日に英語版で世界100ヶ國に放送され、翌27日NHKBS1で午後2時から日本語版で全國放送される。
 外人の目から見た日本と日本刀はどう映るのか。DVDもNHKから自宅に送って下さるとの事。楽しみである。

真実

 今、金属に関する本を毎夜読んでいるが、金属学に関する工学博士以外の人が製鉄、特にたたら製鉄の部に於いて、自らが刀剣として使用出来る鋼を造った事も無いのに、誤記の有る江戸期の古文書等や、刀鍛冶の用いない造語を使って素人に誤れる鉄の発信をしているので、それを信じている方が多い。
 又、知識が有っても、知識のみではたたら製鉄が出来なく、鉱滓の中に一部鉄が出来ただけで喜んでいる。知識が有ってたたら製鉄で刀に使える鋼が造れる人の言が信用できる。
 鉄に関しては工学博士が金属顕微鏡で組織を見て、刀の成分迄導き出している。この様な研究発表の本を読んで、鉄の真実を学んでもらいたい。
 今日は菊池君のたたら製鉄、明日は金沢君の製鉄と鋼造りは急ピッチで進む。

刀造り始め

 前回造った刀は注文の寸法より少し短く納める事が出来ないので、再び注文主の寸法の刀を造り始める。梃棒2本の造り直しをして玉鋼を鍛え始めたので谷口君が見学。
 私が造った玉鋼は今回鉱滓が少なく、地金が非常に綺麗であるが、実はこの鉱滓が殆ど無く鍛錬しても地肌が鏡の様に無地なのが、新々刀から現代刀迄の特徴である。
 近代製鉄は高温還元であり、古刀期は低温還元なので鉱滓を多く含み、鉄に粘りが有り、折り返し鍛錬時の鍛目に鉱滓が残り板目、木目等の鍛肌が良く出る。しかし江戸期より鉄の需要が増え大型のたたら製鉄方法になり、還元温度が高くなり、製鉄時に鉱滓は十分に抜けるので、地金は鉱滓も残らず綺麗であるが、地肌は見えにくい。
 日刀保たたらは古代製鉄の低温還元と、近代製鉄の高温還元の中間にあり、非常に硬く粘りが無い。工学博士は鉄を分析出来ても刀鍛冶の経験は無く、刀鍛冶は刀を造れても金属学の知識が無く、据え物斬りを学んでいないので斬味の比較が出来なく、見るだけの美術刀剣で終わる。
 こんな刀は武士の魂ではない。こんな刀に命を懸ける事が出来るのだろうかと思う。居合道、教士、範士と言っても斬る事の出来ない方も沢山いるし、斬試道を学んでいないので刀の斬味、刀の比較が出来ない。
 時代は変わっても刀は武器である。一旦緩急有る時は腰の一刀に命を懸けなければならない。そんな刀を造るのは古刀期と同じ低温還元で鋼を造らなければならない。いくら品質の良い砂鉄でも、製鉄方法が間違えば「折れず、曲がらず、良く斬れる」刀は出来ないと思う。
 使う事の出来ない刀は登録証も不用であり、居合刀は合金製のオモチャの刀で良いだろう。武術を学ぶのは武士になる事である。武士道の精神が判らなくて刀を振るのは板の間のダンスである。武術とスポーツを同一視する事なかれ。
 右肩と右手の痺れが強く、大学病院の強い神経の痛み止めで今日を乗り切る。

金屋子神社春の祭典

 雨は朝より時間を追って激しく降る。被災地九州を心配しながら金屋子神社へ。
 春と秋の祭典には、御年92才の御高齢ながら御元気な安部宮司様の祝詞奏上を低頭してお聞きし、玉串(魂串)を奉りて拝礼。
 参拝の方々の参拝方法の無知が気になる。拝殿では膝を組むのではなく正座であり、玉串の受け取り方法と、玉串の捧げ方と、二礼二拍手も、正座で両手を付き低頭が神道の作法である。正式な儀式方法に感謝の誠が生まれる。
 大雨、強風の中を自宅に帰り、神棚に無事帰宅の御報告をして、今日も終りぬ。

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