刀鍛冶の日々

月末の見学会

 午前中は兵庫県より商工会の方々が訪れ、製鉄、製作の説明を30分間する。意外と質問は無く古式折り返し鍛錬へと進み、最後は見学者による向槌体験。小さく軽いハンマーを用意するが、弟子達の使う大きな向槌を使い器用に打つ方が多い。秋田県からの予約者にも折角の機会なので、向槌を打ち思い出を造って頂く。終了後の話で商工会の方は鎌や剪定鋏等を造る方々なので上手なはずである。
 午後は分散して火造りの続き。ほぼ刃先の打ち出しを終え、後一日で火造りは終り、せん、ヤスリがけをして来週中には焼入れを終る予定。
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土曜の一日

 朝、来客有り。御互いに20年近く会ってなかったので年寄りになったなと思う。昨年は同職業の刀工も、同級生も沢山鬼籍に入った。私も親の歳を過ぎている。残った人生はおまけである。今年6月の刀工試験で合格すれば、弟子の手も離れやっと自由になれる。一人になって研究したい刀造りに打ち込める。後少し。
 午後はスプリングハンマーと手打ちで苦労した分を今日は谷口君が手打ちで素延べ完了。今二尺四寸三分だから火造れば二尺五寸強の長さになる。一生使う刀なので、50代以降は刀が重たくなるので、その点バランスを考えなければならない。同じ目方でもどこに重心を置くかで手持ちが随分変わるものである。
 据え物斬りと演武用では長さも違って来るし身長によっても違う。武術を学んだ刀鍛冶でなければ出来ない分野の部分である。
 明日は15人の見学予約なので半日は仕事にならない。2月、3月は予約や体験会が多くなって来る。
 弟子も注文が入るので炭の追加を注文する。

一日雨

 昨夕からの雨は続く。昨日間違って短く切った刀用の残った鋼を包丁に素延べする。
 土、日曜日に古式折り返し鍛錬に使う梃の補強3本と、玉鋼を纏めて積み沸かすと昼。隣の公開鍛錬所で刀用の玉鋼2個を焼いて切断の終った谷口君は、腹痛なので大事を考えて昼で仕事を止める。
 午後はドコモショップに出掛け、その後工具店でハンマーの部品を探す。雨は一層激しく降り続くので、刀の鍛錬で疲れ切った体を早めに帰宅して休める。

荒素延べ

 朝1番に知人が京都より砂鉄を持ち寄り、午前中はたたら製鉄談。午後は造り込んだ刀をスプリングハンマーで荒素延べ。本来は2時間程で終える予定であったが、刀身の長さを間違って鎚から切断した為に長さが不足するので手鎚とスプリングハンマー併用で、3時間半をかけて所定の長さ迄余分な肉を抜きやっと出来る。
 始めから仕事を止めて置けば良かったが、刀製作を進めたいので話しながら素延べを進めていたので、差し金の寸法を間違えていた。やはり来客時の作業は気が散るので注意を要する。
 それでも100キロの砂鉄を頂いて嬉しい。他の砂鉄と混合すれば10回分の材料となる。砂鉄を京都迄集めに行く事を考えれば、2時間位のロスは大した事ではない。
 炉の上に置いた砂鉄も乾く。

技術講習会

 昨夜遅くテレビで大牟田市内全域で水道管が凍り断水した事を知る。知人が居るので水を送る積りであったが、テレビで明日は水道が通じるとの事で安心する。
 実は知人から頂いた砂鉄を水で2回洗って、火床の上で乾かしたが塩の塊が多い。有明湾の締切で塩分濃度が上がっている事と思う。川からは土砂が流れ込み、死んだ貝が多いのはその性だと思われる。 この地方の砂鉄は炭素量が高くないが、東北のチタンの多い砂鉄と混ぜて吹けば丁度良い炭素量の玉鋼となる。配合を数回変えて刀の皮鉄に使用出来出した。
 朝から弟子3名に3種類の鋼を鍛錬して広げ、皮鉄をU字型に曲げ、心鉄をスプリングハンマーだけで整形する方法と造り込み、沸かし延べ迄を見せる。ハンマーが直ったので手鎚の修正も無く幅も重ねも弟子の手打ちより正確に出来る。
 鍛錬の炭は岩手産を使ったが、明日の素延べは岡山産の松に切り替え、少しでも良質の松炭は残して置きたい。

積み沸かし組合せ

 鍛錬を始めて6日間、14キロの玉鋼を7回に分けて合計30回折り返す。残った鋼3個、2.5キロを火花試験をして炭素量を調べる。元の玉鋼の炭素量が高く余り脱炭はしていなく、同等なので砂鉄の種類を考えて3段に鋼を積み、纏めを弟子に見せる。
 鍛肌を良く出して焼刃に変化を持たせるには、日刀保玉鋼の様に同種の鋼だけでは古刀の様な鍛肌が出ない。自家製鋼でも一種類の砂鉄だけでは鍛肌が出にくい。
 最後に積んだ異種の鋼を3回程折り返した位が、肌の良く出て自然の雰囲気のある古調な刃文に成り易い。この組み合わせの積み沸かしは、余り極端な炭素量の違いが有ると嫌らしい地金になり沸えも大小となり、匂口の大きさも大小の差がつき余り上品ではないが見た目には面白い所も有る。
 如何に沢山の種類の砂鉄を有するかが地金の面白さに繋がる。日刀保玉鋼の砂鉄は地元で山を削り、かんな流しをして砂鉄を取っているか、外國から砂鉄を輸入しているかは知らないが、何時も同等の鋼でアルミナを含み、硬いのは炉の粘土にアルミの酸化物を含んだ炉材の性と思われる。
 以前ニュージーランドから砂鉄を取り寄せ丁子を焼いた時、日刀保玉鋼と同じ位の焼刃となるが、鋼はタングステンを含んでいたので研ぎ師さんも「柔かくて粘りの有る地金ですね。何時もこの様な鋼が出来れば、試し斬りに良いですね」と言われた事がある。

納税用意

 朝、外は雪が薄化粧。団地は高台にあるので水道も凍っている。幸い今日予定の取材も中止となり、夕方迄一年間の支出を月毎に30項目に領収書を仕分け。これだけで1日を要する。毎年1千万円を超える領収書を電卓で分けるのに5日間を要す。収入の仕分けを入れると1週間仕事なので、休日は春迄休み無しとなるが、遅れると平日でも休まなければならなくなる。
 今年は刀に加えて包丁の注文も多く昼休みも満足に無し。それでも体調が戻って来たので作刀は進む。
 先週の疲れで右肩が痛むが、大学病院処方の神経の強い痛み止めが残っているので、激痛で眠れないと言う事は無い。指先はまだ痺れているが、握力も目に見えて強くなり手鎚も真直ぐに打てる。後一人最後の弟子を刀工試験に合格させば良し。若い弟子にも伝習所で独立をさせる話もしている。
 一人になれば収入も食べるだけ有れば良いので、毎年の納税準備も楽になる。旅行を兼ねて遠く迄砂鉄集めに行きたいが、注文刀の納期が遅れては困るので週一の休みが限度。

見学体験

 日本列島は寒波一色。心配した大阪からのツアー15名来所予定は、岡山県南部に雪が降らず午後1時より見学会に。米國より家族4人も到着。外は寒いが鍛錬の火で鍛冶場は熱気に満ちる。
 飛び散る火花を見て向槌を打つ体験者は一人であったが、撮影出来るので次々と体験者は増え最後は米國人も参加。女性は日系四世、日本語を堪能に話す。主人と子供には英語で話している。顔立ちも日本人と同じなので話をしても日本人的な考えをしている。反日的な朝鮮人や支那人は見学に来ないが、それ以外の親日的な外國人は、日本の伝統文化である日本刀製作の現場を自分の目で見てみたいと思う。
 外國からでもネットで予約は直に出来る時代で便利になった。最近は向槌の打てる無料体験を予約する方が増えた。刀剣博物館でも月1回の公開鍛錬では、向槌希望が長蛇の列をつくるそうである。これ位のサービスで日本の伝統工芸の素晴らしさを、日本の誇りとして受け取って頂ければ主催者として幸いである。各週末はずっと予約が入っている。
 その分平日に刀造りを進めなければならず、今日も午前中に下鍛えを終り上鍛えに入る。春分位には2尺5寸の刀に小互の目丁子を入れたいと思っている。

一日の工程

 刀の皮鉄を鍛えているので1日気が抜けない。切炭が有る限り夕方迄鍛え続け帰宅は平均6時頃。それから産経新聞を30分程読み食事をすると7時。プログを書き終え風呂から上がると8時、そして1時間近くせんねん灸を体中にすえる。やっと1日の日課が終わり、昼間の疲れで眠る。
 朝は早く目覚めるので全員の作業を考える。土・日の見学者の多い時は私も説明に出るが、少ない時は弟子に任せて鍛錬を進める。同時期の注文が多いと納品も重なり忙しくなるので連日刀造りとなる。
 今日も予定通り鍛錬は進むが、注文の刀は長寸なので後2キロを追加して沸かし、明日午前中には14キロの鋼の下鍛えが終る予定。春暖かくなる迄に昨年の注文を終える予定。

順調

 2キロの鋼2個を、10回折り返し鍛錬。岡山県内のゴルフ場の松を切って焼いた炭を、200万円程買った最後の炭で刀一振りを鍛えている。岩手県産の松より火力が有り、沸かしも鋼が真白くなる程沸き、スプリングハンマーも力強く打つ。火力が強いので、炉の上に置いた25キロの砂鉄も半日で乾く。
 夕方には玉鋼を潰して切断する時に、高炭素の部分が鋼片となり、分離した銑に近い部分を積み沸かして、24日に来所する15名の団体と外國人4名に古式折り返し鍛錬を見せるのに(弟子には処理が少し難しいので)私が下鍛えして用意する。

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