刀鍛冶の日々

完成

 谷口君の火造りをした包丁をベルトサンダーで荒研ぎ。焼刃の高い土置きをして焼入れ。硝酸で見ると厚く置いた土の中迄も飛び焼きが入っている。
 フェマタイト砂鉄鋼は炭素量が高いので敏感である。しかし日本産のフェマタイトは外國産の鉄鉱石と違って粘りが有る。急いで荒研ぎを済まし、谷口君に研ぎを任し夕方にはやっと研ぎ上がる。これで注文の包丁は全て終る。明朝は荷造りをして九州に送る。
 今年の7月は暑かったので熱中症を恐れて、後半は包丁造りでフェマタイト砂鉄鋼の焼入れ試験が出来た。
 谷口君は会津のМ君にずっとつきっきりで包丁製作を教えた。人に教える事で自分も技術が上達する。
 いよいよ8月からは刀造りに入る。
スポンサーサイト

限界

 昨日の包丁造り直しの鍛錬に入る。1時間後には室内温度が50度に達するが鍛錬は終わらず続行。昼前に鍛錬が終わり7寸の素延べ迄進める。
 今日は朝から暑く心臓の鼓動は高まり汗は流れ落つ。着替えは4回に及ぶ。広報担当者に電話をして、包丁の注文は秋・涼しくなる迄中止を伝える。昼食後2時半迄休むが暑くて火造り、焼入れは明日朝に延期。
 長年続けた夏場の鍛錬も体力的に限界を知る。何とか最後の注文包丁を仕上げ夏場の鍛錬を最後にしたい。
   ”コメントについて”
 金屋子神社月参りは決まっていません。刀鍛冶として独立出来る迄は10年は必要です。その間の生活は無給です。
 独立しても刀鍛冶で生活できる者は一割。私が貧乏しても刀鍛冶を続ける事が出来るのは、日本の文化伝統を守る民族精神に立っているからです。
 刀で得た収入は殆どが弟子育成に使われて、赤貧洗うが如しの生活でした。全てを捨てなければ出来ない事です。

包丁切断

 昨日から研いでいた最後の注文包丁に傷が出て切断。疲れが一気にふきだす。
 最後の最後に切断とは思っても見なかった事であるが、昼食後の一休みで気を取り直し、明日からの包丁造り直しに向けて谷口君が炭切。
 途中大雨に見舞われるが、午後3時には炭切も終り、暑い中での鍛錬に備えて今日は早めに終わるが、砂鉄よりの手仕事なので、失敗も有るのは致し方ない。

あい取り

 今年から磁性の無い砂鉄・フェマタイトで包丁造りをしている。元々は高炭素の銑鉄になる物を細工して鋼にして有るが、やはり硬く粘りが少ないので斬味が重たく、砥石の1000番位の中間になると火にかざして180度位の温度をかけて、鋼に粘りを出す”あい取り”作業をしなければならない。もう包丁は刃がつき薄くなっているので、少しでも温度をかけ過ぎると焼が戻り過ぎ斬味が落ちる。”あい取り”をして斬味を見て鋼に粘りが出ていなければ、再びあい取りをして斬味を見る根気のいる工程部分である。
 このフェマタイト砂鉄に替えてから注文者から斬味に関する苦情は全くないが、高炭素の鋼の為に鍛錬は難しく、勘によるあい取りにも手間が入り、弟子はフェマタイト砂鉄でたたら製鉄を行わない。外國産鉄鉱石の玉鋼よりも斬味も優れているので日本でも見直される砂鉄だと思っている。
 あと1本研げば包丁の注文も終わる。

炭待ちの日

 週末の賑やかさが今日はなく、一人で包丁を研ぎながら松炭の入荷を待つ。
 1年余りの炭焼練習を兼ねて私の所に、2週間毎に200~250キロの松炭を焼いて納めて来たが、前回やっと問題の無い松炭が入荷された。岡山県の木材市場には松が無く、刀匠会も松炭の確保が難しい様である。
 私の場合も苦労の挙句、数カ所の中から相場の値段と継続性を考えて、3ヶ所の炭屋さんに注文しているが3軒でやっと必要量を確保しているのが現状である。殆どの炭焼き屋さんが高齢化しているので、弟子が独立する迄炭焼が続くかは不明である。県内では吉備高原が一番の松林であるが、賃金が安く専属で松炭を焼く者が居ない。
 今は何とか私の使う炭は事足りているが、弟子の炭は不足気味で弟子に分ける炭も限界に来ている。

全員包丁

 注文の包丁は終わったが鋼が残っているので、2本の包丁を造って焼入れ。
 恐る恐る2本の包丁を4ヶ月振り鎚で曲がり直しをしてみた。包丁は薄いので曲がりも直ったが刀ではこうも行かない。少し回復したようである。その後ベルトサンダーで刃を付けて谷口君に廻す。 今日は弟子達も注文が多いのか包丁の火造りや研ぎをしていた。
 7月中に溜った包丁を研ぎ上げ早く刀の火造りを始めたい。谷口君用に刃の打ち出しに使う鎚が届いたので、3キロの鎚を切断して軽くしたので女性の体験会にも使用出来る。
 鎚の重さも1.5キロ・3キロ・6キロと増え、体格に合わせて使える。

真昼の鍛錬

 明日の見学用に梃棒の補修。フェマタイトとマグネタイト鋼を合わせて積み沸かし、折り返し鍛錬を1回すると日中の鍛冶場は温度計最高の50度に上がり、それ以上の温度は不明。
 もう日中の鍛錬を止めなければ熱中症になる。それでもスプリングハンマーで沸かした鋼を打つと、真っ赤になった火花が左右に飛び散るさまは花火を見る様で綺麗である。時折胸や手に火の玉が飛んで当り火傷をするが、火傷跡は鍛冶屋の勲章である。
 週末は7人の作業。賑やかな日であった。

包丁焼入れ

 私の鍛えて置いた地金を谷口君が火造り。ベルトサンダーで研ぐが上手に打って有るので鎚跡も無く楽である。焼刃土を塗って焼入れ。再びベルトサンダーで削り落としてバランス調整をして刃を付ける。
 これで包丁注文最後の2本を終え、来週は研ぎ上げて発送予定。午前中に包丁2本とナイフを県外発送と次々に2人で片づける。

休日

 昨日のナイフ造りで少し無理が有ったのか、右肩の痛み痺れが激しい。病院で神経の痛み止めは出ているが、最近は痺れる事が多い。仕事を休み焼酎35度を飲み昼迄痛みを忘れて眠る。
 今日は右肩の痛みが特に激しく、この痛みが無くならなければ鎚が打てない。昼から又焼酎を飲んで床に着くが眠れず。依頼されていた原稿を推敲する。

ナイフ焼入れ

 整体リハビリ後谷口君の手助けで、昨日用意した地金を谷口君が火造り、私がスタイル調整。
 普通の皮剥ぎナイフは13cm位が標準で使い易いが、今回は17.4㎝と長く反り具合が難しい。焼入れ後のスタイルを考えて、焼入れ前のスタイルと焼入れ温度の調整は経験が必要。鍛えた地金の炭素量を火花試験と断片の焼入れをして水温調整。焼入れ温度は勘と目。小さなナイフだけに短刀焼入れ以上の技術を要する。
 短刀は鑑賞であるが、ナイフは使用するので斬味と耐久性を求められる。金属会社の刃物鋼は用途によって合金されているが、当方は砂鉄よりの炭素鋼なので砂鉄の種類迄考えねばならず、弟子には難しい部分が多いが、見て覚えるより方法はない。
 刃物鋼と違って鍛肌は出るし、日本刀と同じ刃文も入るし、息抜きには面白い仕事である。ベルトサンダーで荒研ぎを済まして今日も疲れて終わる。

 | HOME |  »

FC2Ad

プロフィール

上田

Author:上田
FC2ブログへようこそ!

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する

訪問者