刀鍛冶の日々

憂い

 刀工試験に合格した弟子達は最低1年以上から最長20年を越える者が総数13名を数えるが、誰一人として世の中に通用する者が居ない。教える者の実力不足か、習う者の努力不足か?
 明日は愛媛県立科学博物館より45名の見学者が2時間来訪の予定で、朝から折り返し鍛錬用の炭切、たたら製鉄用の炭切と砂鉄選鉱を行いながら弟子の折り返し鍛錬、せんかけ、何時迄経っても姿直しの出来ない弟子の仕事に手を取られる。
 私の元気な内に早く技術を上げて欲しい。私も何時迄も元気ではない。私が倒れば伝習所は解体となる。もっと本気で、命懸けで、刀造りに取り込んで欲しいと強く望んでいる。
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焼入れ成功

 昨日火造った刀を午前中にせんで削り整形。火造り途中では鍛肌がマダガス刀の様な人工的な肌で、配合が失敗かとも思っていたが恐らく表面的な事かと思い、出来るだけ薄くすると鍛肌も見えなくなる。
 午後は谷口君が土置きを見学。暗くなるのを待って焼入れ。水温は28度。思い通りの焼刃であるし地肌も変化無い事に一安心。一月一振り、二月一振りと今年になって二口製作。三月に古墳時代の鉄分析を元にした玉鋼を刀に造れば終り、その中の気に入った刀を長野県の注文者の方に納めたい。
 私の注文刀は予約が多いので弟子作を欲しい方も有るが、今の現状ではまだ注文刀に応じる事の出来る弟子は居ないのが残念。
 焼入れ後片付けをして金屋子の大神様に感謝の頭を深く垂れて今日も終わる。

谷口君製鉄

 朝5時20分より一人でたたら炉を解体して塗り直し予熱をかける。まだ暗く弟子3名は寝ている。砂鉄投入7時40分開始。今日は初めて谷口君に任す事にして9時20分最初のノロ抜き後は昨日の刀を火造り、反り付けを済ます。菊池君も脇差のせんかけをして週末には焼入れ予定。
 昼前に炉内に空気を送る送風口が割れ、空気が漏れるので中止。砂鉄28キロで7.5キロの銑気を帯びた玉鋼が出来る。水冷後ハンマーで割ると断面は白く光り輝いている。谷口君の初めての一人仕事としては満点である。
 こうして少しずつ私の師である今泉刀匠から教わったたたら製鉄を受け継いで欲しい。

火造りへ

 スプリングハンマーのモーターは新調されて強力に成り、クラッチペタルのコイルスプリングも10年振りに新調。40年間あちら、こちらと修理されながら打ち続けた私の分身。素延べ途中の刀を打ち延ばす。機械での荒打ち、手打ちでの仕上げ素延べを弟子に見せる。
 来客の帰った後に平井さんに刃の打ち出しを見せて、残りの火造りは明日にし平井さんのせんかけを見る。刀工試験はやはり十分に実力が出来てからの方が良いと思い、受験は一年先伸ばしにして技術を高める事とする。
 弟子として刀工試験迄の5年間は短い。それから専業で独立する迄の時間の方が長い。専業に成れず殆どの者が日曜鍛冶で終わるのが常である。伝習所の弟子達が早く専業刀工になれる事を願っている。

静岡県から

 谷口君の体調は良い様で鍛錬。平井さんはやっと脇差の反り付けへ。私は先日の包丁を研ぎ上げて発送。
 午後は1年3ヶ月前に注文をして頂いた短刀の受け取りに静岡県から来所され、9年前に納めた刀を外装されて里帰り。当時は1ヶ所の砂鉄で造った作であるが、地刃の働きも良く出来ており備前伝が主体の刀であったが、それから砂鉄の種類も増え、分析等も進み今では相州伝と備前伝を半ばした相伝備前伝となり、今日の短刀は全くの相州伝である。
 金属顕微鏡で出来た玉鋼の内部を見ながら鍛錬を進め、途中で鋼を切り取り1000倍で組織を確認しながら続け、最大限思う地鉄に成る様に進めるのは面白い。
 最近では又新たな分野に進もうと挑戦しているので時間不足。夕方にはスプリングハンマーの部品も届いたので明日から刀の素延べ、火造りへ。週末には焼き入れて3月からは磁鉄鉱と砂鉄で造った古墳中期の地金鍛錬へと進みたい。

一人仕事

 谷口君が昨日から体調不良。昨年も刀工試験前に尿路結石で手術。今回も同様なので午前中病院へ連れて行くと直径4ミリ程の石が尿路に出て腫れている。
 スプリングハンマーの部分をFAXで注文したが、2日程刀仕事が止まるので先日の体験会で造った包丁を午後は2本下研ぎ。弟子は休日で親方は仕事と他の刀工と反対だが、時間を惜しんで努力をした者だけが一人前になれるのはどこの世界でも同じである。
 刀工として専業で生活をしている者は人並以上の努力と工夫をしている。それを弟子達が気付かなければ、一生を日曜鍛冶として終わる事だろう。
 中途半端な気持ちでは日本の文化伝統は守れない。

今日も体験会

 体験開始時間を過ぎたので、鍛錬を進めないと夕方5時迄に仕上がらないので始める。1時間程遅れて体験者が来所。昼前に鍛錬は終え、素延べの時間短縮に私のスプリングハンマーを使用中にペタルのスプリングが金属疲労で切断。思えば10年近く使用している。取り合えず臨時補修。
 午後は火造り、焼入れ、研ぎをして銘切。丁度5時に終わる。
 2日続けて3本の包丁体験は初めてなので大変疲れる。おまけにたたら製鉄の体験会も行った。

体験会

 県外より2名の包丁体験会。昼迄に鍛錬、素延べ、午後は火造り、焼入れ、夕方迄にやっと銘切で後日研ぎ上げて発送とする。同時進行でたたら製鉄、35キロの砂鉄で13キロの玉鋼を得る。もう倒れる寸前迄働いた。
 今日の製鉄の玉鋼で短刀を合作する。
 明日も県外より包丁の体験会有り。

体験会準備

 午前中体験会の用意に4キロの鋼を下鍛えして2日分の用意をする。
 午後はたたら製鉄体験会の用意。刀の素延べをしたかったが体験者、見学者が不快な思いをしない様に鍛冶場の大掃除を3人でする。明日は10名が作業なので炭も15俵を切って用意。
 今から体験者を駅迄出迎えに。

強風

 土、日の体験会とたたら製鉄の準備の為先日入荷の松炭を使用するが、完全に炭に成っていないので木材が燃える様に炎が高く上がり、炭は崩れ煙突からは多量の煙がSLの様に出て折からの強風にあおられる。直に中止して別の炭屋さんの松炭に切りかえるも、風は止まず鍛錬は中止する。
 水道から2ヶ所、放水ホースは常に用意をし消火用バケツと消火器も備えているが、2年程前に近所で出火して全員で消火した事が脳裏をよぎる。

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