刀鍛冶の日々

多忙な毎日

 見学時間にたたらを解体して大きな玉鋼を取り出して見せる。折り返し鍛錬も終えて、試作の包丁に焼入れ。後日研いで確認する事にして研ぎ師宅へ。
 明日も見学予定が県内外と有り、弟子達の仕事も見なければならず、1日12時間労働も老いた体には堪える。
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順調に進む

 雨垂れの音で目覚めて鍛冶場へ。連日の鍛錬で疲れるも午後は大きな玉鋼を切断して最後の下鍛え。合計12キロの鋼を5回鍛えて下鍛え完了。松炭の火力も有り予定通り進む。
 明日は弟子達も多く出るので鍛錬は休み、たたら製鉄をしながら弟子の指導。今週は毎日仕事が忙しく帰宅も遅くなり疲れ果てる。
 それでも混合したマグネタイトとフェマタイトの鋼の様子が気になり、余鉄を以って包丁を鍛え、焼入れをして下鍛えの状態を見てみたい。その結果で上鍛えを考える。

炭問題

 午前中鍛錬。昼過ぎ岩手県より松炭到着。これで当分私の刀造りは安心であるが、弟子達の炭も必要となる。中途半端な時間になり土、日のたたら製鉄に使う砂鉄の選鉱をすると、マグネタイトとフェマタイトが丁度2回分有るので見学者用に使用出来る。炉も塗り直し当日を待つ。
 今年たたら製鉄時に操業始めの温度が上がらず海綿鉄になった物を、谷口君が降し金にして公開鍛錬用の鋼を造る。今日もフランスより見学の予約が入り、県外からも45人の団体予約が入ったので、折り返し鍛錬用の鋼と公開鍛錬用の県内産松炭も予定以上に要る。
 今回の降し金も松炭倹約の為岩手県のたたら用一級炭を使うが松炭と火力が同等であり、マグネタイトの砂鉄には良いがフェマタイトの砂鉄には火力が強過ぎて、銑になるかも知れない。県内産の安価なたたら用炭も昨年秋から入荷が少なくなり、県外産になると運賃が高く鋼の単価も高くなり弟子には頭の痛い問題である。

混合

 今年の第一作は内面応力を抜くのに寝かし第二作に入る。
 水べしはしないがマグネタイト1キロ、フェマタイト1キロの計2キロの鋼を合わせて積み沸かし、下鍛え5回の終った物を今日は2個造る。元々の砂鉄が違い、出来た鋼も違う物を鍛接するのは難しい。フェマタイトの鋼は炭素量の多い銑に近いので膨れは殆ど出ない。余り鍛えると同質化するし、少ないと異質化して変わり鉄となり醜い。 
 以前に著名な方に納めた脇差は非常に古刀に近い出来であり、博物館に展示した時は見る人の目を奪った作域であった。その作を再現しようとしている。当時の砂鉄資料は有るが沸かしの温度感覚が思い出せない。
 隣の鍛冶場では今日も谷口君が脇差の地金を鍛えている。平井さんの鍛冶研ぎも上手になる。刀工試験迄後4ヶ月。

金属顕微鏡

 昨夜焼入れをした刀の反りと曲がり直しを済まし、玉鋼の断面と焼入れ前の心鉄、皮鉄の組み合わせた断面を見る。肉眼では研ぎ上げた断面は光り輝き、美しい金属光沢を見せるが500倍、1000倍と顕微鏡で見ると針の先で突いた様な丸い黒点が多少見える。、これは砂鉄が鋼になる時に不純物として流れ出る鉱滓が、僅かに鋼の中に存在している証拠である。
 これが長い帯状になると刀身に傷として出る。これを少なくする方法を考えると製鉄時が大事である。
 古刀期の刀に傷が多いのはここに問題が有るが、戦に使用する第一は折れず、曲がらず、良く斬れる事が大事であった。戦の無くなった新刀期には傷を防ぐのに、水べし法が始まったので刀の傷は少なくなるが、折り返し鍛錬時に残る鉱滓だけでは肌が出にくいし、水べしによって炭素量や材質が均一されているので刃の働きも出にくい。やはり古い地金を目指すには製鉄を科学して現代の目で探るしかないと思う。たたら製鉄の度に金属顕微鏡が役立つと思う。

たたらと焼き入れ

 本来は休日で税金申告準備の予定であったが、県内産松炭25俵が午後入荷するので鍛冶場に出て、予定外のたたら製鉄をし弟子の鋼造り。出来た鋼を水槽に入れて湯を作り、昨日せんかけの終った刀に土置きをして焼入れ。
 朝から雨で鍛冶場は一人で静かであり焼入れも落ち着いて出来る。急いで研ぎ、刃文を見ると良く出来ている。明日は姿直しを済ませ鉄片を研ぎ上げて、早く金属顕微鏡で今日の刀の地金を見たい。

多忙な日曜

 弟子達はたたら製鉄、鍛錬、姿直し、包丁研ぎ等をしているので時折目を通し、空いている仕上げ場で先日荒削りをしていた刀のせんかけを完成させる。気分の良い日に焼入れ予定。たたら製鉄の解体を待って炉を塗り直し次の製鉄に備えて置く。 金属顕微鏡で見る為に、過去3回分の製鉄と刀の断片を荒研ぎをした所で今日も終わる。
 東北の炭も多量に買い付ける事となり、夏近く迄は炭の心配も無くなる。県内産松炭も順調に入り包丁製作にも事欠かなくなり弟子達は安心している。

フェマタイト

 午前2時30分目覚めて今日のフェマタイト(非磁性)砂鉄のたたら操業方法を考える。一番の問題は銑にしないで鋼にする事。近代製鉄方法で出銑する時に酸素を与えて脱炭させる事も出来るが、和鉄製法には無い事でその点が難しく、流れ出る鉱滓を見ながら砂鉄と炭、送風の量を考えながら進むしか方法が無いと思い、明け方長船鍛錬所で日の出を迎える。
 山の稜線の木々が備前の丁子の足となり、長船を取り巻く山並がのたれる。今日は鉱滓の出がマグネタイト(磁性)の2倍近くも流れ出るが出銑は無く、夕方には炉床に鋼が残る。非常に粘いが銑気のせいか取出し時に3個に別れる。火花試験も良く新しい材料の皮鉄として利用出来る。一日緊張の連続。菊池君も岩手産松炭を使うので沸かしも最高の状態である。
 宗近君が写真集の見本を持って来て、来月よりの短刀製作の打ち合わせをする。

谷口君たたら製鉄

 一昨日反り付けをした刀を午前中荒削り。仕上げ場では山本君が中心仕上げをしているので、せんかけを来週にする事とする。
 谷口君は脇差用の鋼を造っていて、夕方解体すると11キロの鋼が出来、刀も出来る目方である。本格的にたたら製鉄も行うので、なかなか上手になりもう兄弟子に追い着いた。
 平井さんも日刀保玉鋼製脇差二振りに土を置き、日暮れを待って焼入れをすると土置き通りの刃文になる。日刀保玉鋼の焼入れは炭素量が高いので焼入れは楽である。
 明日は弟子も多く鍛冶場は忙しく自分の仕事が落ち着いて出来ないので、フェマタイトの砂鉄を鋼に還元作業の予定。

九州砂鉄

 昨日火造った刀を作り終わると次の刀を造らねばならない。注文刀は数振り造らねば納得行かないのが、手造りの難しさである。
 昨秋北九州日本海側の砂鉄を頂いていたので、雨も降り来客も無く丁度である。出来た鋼は炭素量が低く降し金にして吸炭、火花試験では1%位に成っている。朝鮮半島から製鉄が伝わった最初の材料は地元産だと思う。
 二作目はこの鋼を使いたい。

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