刀鍛冶の日々

平成26年を振り返りて

 平成26年も間もなく終わる。目の痛みから解き放たれた秋より、作刀意欲は増々強くなり今泉先生の様に94歳位迄長生きをして、刀造りに燃え尽きたいと思う様になった。
 人間の寿命は誰にも判らないが、東吉野の親方を見ると73歳になってもあれだけ元気に鍛えている。これなら自分も当分打てる。4年間も痛んだ目も良くなり何の障害も無くなった。
 長年続けた砂鉄の研究も各方面の御協力、御支援のお陰でやっと終了した。来年は金属顕微鏡を活用して弟子達の為にもう少し勉強したい。
 本当に短く早く過ぎ去った一年間。皆様方の御厚情に深く感謝を申し上げますと共に、平成27年も御指導、御鞭撻の程を宜しく御願い致します。
       歌一首
  すめくにの   民と過ごせし   ひと年を
        剣打ちゆく    楽しき日々よ
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三人仕事

 昨日迄の五人仕事が今日は焼入れ前の刀をせんかけする山本君と、脇差の火造り練習をする平井さんと私の三人になる。
 気になっていた乾燥砂鉄の選鉱を片付け、全日空撮影時の焼入れをしたままの刀を姿直しする。2時過ぎより京都より注文で昨日焼入れをした、千種鋼と餅鉄鋼の7寸文化包丁を荒研ぎをして今日も終わる。
 父の命日に神前に供えていた御年賀用初絞りの御酒を、酒好きだった父親を思いて妻と二人で頂く。金屋子神社の宮司様よりの正月用御菓子も供えて、迎春準備を妻が用意。
 刀鍛冶は元旦初詣以外は殆ど休みなく刀造りが続く。先日河内師匠よりの便りで吉野は真白とある。若かった昔は年末、年始も刀造りで、親方や奥様それに隆平さんにもお世話になった雪の東吉野を思い出す。
 刀造りには刀造りの信念が有るので努力、工夫は毎日続けたい。それが刀鍛冶で生き残る方法である。明日は今年最後の包丁注文を仕上げ、新年の刀造りに心おきなく臨みたい。

刀用鋼試作

 たたら製鉄で出来た鋼を一部サンプルに切り取り、包丁に鍛え終わった鋼もサンプルに取る。この2つの鋼片を1,000倍の金属顕微鏡で鉱滓の残量を見る事とする。たたら炭により鉱滓量の違いと、木炭による残留量の違い等を来年からデーターを取って弟子達が独立した時に役立つ様にして置きたい。
 古刀は恐らく出来た鋼をそのまま鍛えたので鉱滓が鍛接面に噛み、地肌を出し刃の働きを出している反面古刀は傷が多い。鉱滓が傷に成っている事は500倍程にすれば瞬時に判る。
 新刀期になると使用する事は少なく武士の権威として腰に差す美術面が重要となり、水べしを始めて傷を無くしているが鍛え肌が出にくくなっている。現代刀は鉄板を磨いた様になる。これは玉鋼製作時の砂鉄に大きな問題が有る。たたら製鉄で鋼を造れば良いのではない。刀工関係者はそこが判らなければならないし、刀工も買った鋼を刀の形にすれば良いのではなく、多くの砂鉄の分析から刀剣材料の研究迄しなくてはならないと思う。
 そこには近代科学が必要となり、多少なら刀剣の科学的資料も本になっているので、一度目を通すれば認識も違って来る。

弟子の置き土産

 年末で世間は休みであるが刀鍛冶は義務で造っているのではなく、刀を造っていれば人生は満足である。
 弟子2人が鍛えた地金は最初の積み沸かしが十分に鍛接されてないので膨れが止まず、包丁にしてみたが傷だらけで切断。金床の角は鎚跡が3ヶ所も大きく残っている。弟子は1人前に休みを取っているが、こんな置き土産はいらない。
 包丁の注文が後1本残っているが包丁用の鋼が無いので、正月明けからの刀用の鋼で試作を兼ねて鍛えて見たい。

最後の砂鉄

 昨日たたら製鉄で刀用以外の松炭を使い切ってする事がないので、弟子に鍛錬所の留守番を任し今年最後の砂鉄集めに向かう。12月は雪も良く降り川の水も多く出たので砂鉄も多く出ている。
 集めてもらっていた砂鉄を持って帰るが、高い山々は雪が積もり綺麗な稜線を描く。先日に車検を受けた車は冬用タイヤに履き替えていたので雪道でも安心して走る。

今年最後の鋼造

 秋よりたたら炭は82俵しか入荷しなかったが、夏迄に一年間の鋼を造っていたので何とかなったが今月も未入荷。
 正月より刀造りの鋼が無いので久し振りに刀用たたら製鉄を松炭で操業。火力が強いので鉱滓は、1300度を越え水道の蛇口を捻った様に流れ出たので鋼は良く纏まり炭素量も高い。これで一振の刀が出来る。来年になれば炭も入荷するだろうが、包丁用は雑木炭、刀用は松炭で製鉄をしても良いと思う様になった。

たたら炭

 たたら炭入荷の予定も危うい状態。鋼の在庫も尽きる。後出来る事は焼入れしてある包丁4本を研ぐ事のみ。 どうしてもたたら炭が入荷しなければ手持ちの松炭で製鉄をする。
 元旦の初詣以外は例年の如く仕事である。注文刀も沢山入っているので、刀を造らなければならない。長かった砂鉄の研究も秋には終わったので、その結果を刀に現わしていかねばならない。

包丁研ぎ

 毎年年末は錆びた包丁研ぎ直し依頼が増える。最近の家庭には昔の様に砥石が無いので、鋼製は錆びるしステンレスは斬味が直に落ちる。新年を迎える料理作りは位は綺麗に研いで、良く斬れる包丁にしたいのは何処も同じである。
 刀造りも今年は終わったので包丁を研ぐか、たたら製鉄で来年の鋼を造るかである。1月の包丁体験会も次々と予約が入るし、弟子の注文刀製作も入り岩手県に予約を入れる。2日後の岡山県産たたら炭も入荷予定が少ない様である。

天皇陛下誕生日

 天皇(スメラミコト)有りて日本國有り。日本國有りて皇民有り。朝自宅と共に鍛錬所に國旗を掲げ奉る。テレビに映る皇居で打ち振る日の丸に胸は熱くなる。天皇陛下の増々の御健康、御長寿を神前に祈願。
 佳き日、大阪より登録の終った刀を受け取りに来所。刀の刃中の働きを見て再び脇差を注文して頂く。一年待って頂ける。11月・12月と注文は続く。
 午後は英國よりの予約客待てど来らず。注文の9寸牛刀を火造り、焼き入れる。たたら炭の入荷を待ちわびる。

注文刀

 年末になって刀の注文を受ける。2年前も2振りを造ったが、良い砂鉄を入手出来なく予定より大きく遅れて砂鉄が入り製作を始めた。出来た作は登録審査員も目を見張る出来。待って頂いたが一生持つので少しの遅れは何も言わず待って頂けた。
 分析結果の良い砂鉄が丁度多量に頂いた所であり、年末年始に吹いて1月製作を始める。刀用の玉鋼と一緒に造れば良い。弟子達の休む間に在庫を造りたい。今全日空國際線で放映されており、沢山の問い合わせが有るが注文者の方は刀が直に出来ると思っている。日刀保玉鋼なら鋼が出来ているので刀の形にするだけなので、1ヶ月三振り位は刀工であれば簡単に作れる。しかし砂鉄からたたら製鉄で玉鋼を造るのは容易ではなく、砂鉄集めから苦労する。
 日本刀は分業であり、研ぎ、鞘、白銀、塗り等どこで手間取るか判らないので、どうしても急ぐ。急ぐ注文を受けると眠れなく良い刀が出来ない。注文者の銘を入れた為打ちの刀だけを残したいと思うのである。

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