刀鍛冶の日々

荒素延べ

 午前中スプリングハンマーで刀の荒素延べ、2尺6寸は十分に有る。10月は沢山鋼を鍛えていたので余分の短刀の地金も出来る。12月はこの刀を焼入れすれば十分、無理はしない。
 午後は予約者2組、4名と1名の5人が見学。時間も有り向う鎚の体験もして居間で地金について話をする。夕方は雨も降り各自の作業に戻る。総員6名の1日。
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姿直し

 早出で菊池君がたたら製鉄。玉鋼の炭素量は少し低い様である。昨日焼入れをした刀の姿直しを手順を追って弟子に見学さす。焼入れ前の刀姿を押し型に取り、焼入れ後の変化と姿直しの終った刀の押し型を取らして刀の姿を学んでもらう。
 刀工試験は短い脇差で有るが刀は長くて刀剣会で、刀を手に取って勉強していない限り難しいので初歩として親方の刀姿を真似るしかない。刀の姿は時代と戦闘様式を表しているので、無料パスを利用して刀剣博物館の陳列が変わる度に見学して姿を覚えなければならないが、その様子も無い。
 刀工は努力と工夫をした者しか生き残れない。専門書を開いて学び、砂鉄、鉄鉱石を還元して古代製鉄を工夫して古い刀を知らねばならない。それをしないから日曜鍛冶で終わるのである。刀の第一は姿で、第二は地金、第三は刃文である。この三点が判れば弟子達は自立出来る。私の元気な内に独立して欲しいと願っている。

焼入れ

 今年秋以降4振りを鍛え、3振り目の焼入れ。午後は曇天で暗く早目に土置きをして焼入れ。刃文も面白い。
 最近は急ぎの注文を外しているので気分的にゆっくりと刀造りが出来る。急ぎの注文は早くしないと他の工作が間に合わなく失敗に繋がる。ゆっくりと心の余裕が有る時は比較的に失敗が無く地刃の働きが出易い。来週は刀と脇差の鍛冶研ぎを済まし研ぎ師宅に出す予定。
 年内に後一振り頑張ってみたい。たたら炭も有るので土曜日のたたら製鉄も再開する。体力に合わせて適量な注文にして置けば楽である。

せんかけ

 反り付けの終った刀の表面には酸化鉄が付いているので、せん、ヤスリを使って黒皮を削って、表面を細かな砥石で研いだ様に仕上げて行く。この工程が終わって土を置いて焼入れとなる。
 平井さんが日刀保鋼を積み沸かして一段落したので、谷口君と交代してせんかけを見学する。日刀保玉鋼は自家製鋼と違って鉱滓も余り噛まず非常に綺麗なので水べしも必要なくそのまま鍛錬出来るので、傷は出にくいし楽であるが地金の働きが出ないので良い地金を造るには自家製たたら製鉄以外は無いと思う。
 今年は多くの方より砂鉄を頂いたので当分は砂鉄に困らない。

火造り・反り付け

 昨日休んだので今日は体調も良く刀の火造り、仕上げ打ち完了。焼入れ前の反り付けをして焼きなましで内面応力を抜き、僅かな曲がり直しをして後は弟子の仕事を見る。
 3日前に谷口君が東北地方と九州地方の砂鉄で鋼を造っており午後は鍛錬。単一の砂鉄でないので多少膨れも出るが地金の変化が出るので面白い。
 刀工試験用に平井さんは日刀保玉鋼で梃台造りをしているが、鉄板の様な地金にしかならないので少し私の鋼を入れて見る。 
 夕方研ぎ師宅に立ち寄り仕上げ研ぎをしている私の刀を見る。日本海側で古墳時代からたたら製鉄がされていた地区の砂鉄の特徴が良く出ている。注文主もきっと喜ぶ事と思う。

一休み

 昨夜より雨。今朝も降り続く。全ての年間行事は終り、年末迄注文刀製作に集中できる。
 外装製作の梅の脇差金具も手に入り、残すは刀用の金具のみとなり一安心。鍔は大小揃っている。指の痛みも仕事には影響しなくなる。
 雨で物音もしない。今迄の頭と体の疲れを取る為に思い切って一日を寝る。昨夜は読書も早く止めて朝迄十分寝るが日中も寝る。まるで一年間の疲れをとっている様である。

三島祭

 44年目の三島由紀夫、森田必勝の命の慰霊祭。あの日私は学校を卒業して入社8ヶ月の新入社員であった。以来祭典に出席しているが、今だあの時の事は記憶に鮮明に残る。
 鍛冶場に帰りて焼入れが上手に行かない金沢君の焼入れ土に替りて私の土を使用して焼入れ。結果は上々である。やはり焼入れは日暮れて暗くならなければ本当の焼入れ温度が判らないものである。
 今日一日大変疲れたので、明日は少し朝寝をしたい。

相談

 朝7時より谷口君がたたら製鉄。夕方には10キロの玉鋼を得る。
 午前中に刀の荒火造りを済まして、午後は来客有りて刀製作の打ち合わせ。先月は多くの製作注文を受けるが、納期の問題が有り全てを製作する事は、手造り仕事の為不可能でありゆっくりと待って頂ける注文主の方と相談している。
 年齢と共にどうしても体力が落ちるので製作日数が長くなる。特にたたら製鉄は5分毎の砂鉄、炭投入の繰り返しで、1日休む間が無いので非常に疲れ、最後にたたら炉を解体し真っ赤に焼けた重く熱い玉鋼を切断するのも苦になって来た。刀を求める方は早く欲しいが手造りである以上、短期間の製作はとても無理である。弟子が沢山居るので早く出来るでしょうと言われるが、弟子が手伝うのは炭切位で刀製作の手伝いは無い。
 歳を取ると一振り一振りが最後の作と思うので、玉鋼製作からどうしても納得のゆく刀を求め今迄以上に時間を要する。注文を無制限に受けると後が困るので、一年位は待って頂ける方になる。
 法律では1ヶ月に2振り製作の枠が認められているが、私にはとても無理である。

朝から

 朝より夕方迄25名の来客ありて今日は多忙で火造りが出来なかったが、御土産に九州から山砂鉄を頂いた。年内には製鉄をしない。
 又四国からは神道の失われた祭祀方法が今だ残っている旧家から来訪されて、種々の御話を聞いて大変勉強になる。改めて日本伝統の古くて長い事を知る。その中で生きる事は一瞬の時間である。残りの人生も短くなったが後少し刀を打ち続けたい。

非磁性

 砂鉄にも鉄鉱石にも磁力の有無が有り、マグネットに付く物と磁力が無くてマグネットに付かない両者が有る。近代製鉄に使われる赤鉄鉱は磁力が無いが、鉄になるとマグネットに着く。20年も昔に鉄鉱石で実験して刀にした。
 今回は日本産非磁性砂鉄混合でたたら製鉄。非磁性は還元温度が低いと鋼に成りにくく、酸化鉄が鋼の中に多く残る。先日頂いた帆立貝を割り、沢山混入して火力の強いたたら炭で吹くと、鉱滓は炉底から勢いよく流れる。出来た鋼の炭素量は高く、包丁よりは刀に適していると思う。後日一部を包丁にして鋼の質を見てみたい。
 今日は谷口君と2人だけの製鉄であり、非磁性砂鉄が炉の中にへばり付き炉を解体する事が出来ない事を恐れていた。非磁性の砂鉄も鉄鉱石も品質が毎回違うので難しいが、時折面白い地金が出来るので楽しみな材料である。
 私の年齢になると、刀工生活があと何年かで、何十年はないので自分の刀を残す事を考え、同一の現代刀の地金で終わりたくない。手持ちの材料をどの様な地金に変えるかは、材質と製鉄方法である。
 たたら炭が入荷したので弟子達は其々の砂鉄で製鉄を行う事だろう。独立に備えて研究をして欲しい。

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