刀鍛冶の日々

谷口君の事

 28日の米國人見学、体験会で折り返し鍛錬をした心鉄を纏めて、皮鉄と合わせて造り込む。初の日米合作の脇差となり素延べ、火造り迄進める。
 谷口君がたたら製鉄の炭切を済ましてたたら炉を塗り直す。たたら製鉄を行うには、還元距離と温度が十分有れば鉄は出来るが、砂鉄投入量の20~30%の歩留りと刀に出来る玉鋼を造るのは炉の型が大事である。炭素量十分の玉鋼を造るのは趣味のたたら製鉄では無理である。作刀申請書が下りたのでこれから鋼と刀造りが始まる谷口君。金属材料科を卒業しているのだから基礎知識も有るので分析、金属学を勉強して行けば自分だけの刀が出来る。
 今日谷口君に初めての給料を渡す。6年余り続いた夜のアルバイトも今夜で終る。しっかり勉強をして来春には卒業試験を受けて、真の刀工としてスタートして欲しい。
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鍛冶研ぎ

 県内よりの松炭が入荷するので、休日ではあるが鍛冶場で刀の荒研ぎをほぼ研ぎ上げたが、刀身は焼入れによって内面応力が働いているので、少し寝かせてから研ぎ師さんに出す。短刀、脇差等焼入れをして寝かせているが、1ヶ月もするとわずかに動いているので、もう1度手鎚で叩き修正をし鍛冶研ぎを仕上げねばならない。
 今日入荷の炭は良く焼けている。10月2日は大安吉日であるのでこの炭で、今秋初めてのたたら製鉄で鋼を造りたい。
 今日も米國より20人程のツアーが、日本の伝統文化に触れたいので見学を予約したい旨の電話が有る。週末にも急だが見学予約有り。大和民族の宝・日本の伝統文化を紹介したいので、出来得る限り予約は受け付けているが、刀剣の注文が多く鋼が不足しているので包丁の注文は少し控えている。
 涼しくなったので山では炭焼きも始まるのでたたら製鉄も毎週出来る様になり、包丁用に鋼を造る事も可能になる。

日米友好

 予定通り米國より男性7人、女性4人の11名が通訳の女性と来所。展示場でたたら製鉄と近代製鉄の違いと製作工程の説明を済まして、折り返し鍛錬の実演後全員が向う鎚体験。そして11名が一人ずつ私の刀を持って私と記念撮影。御土産にペティナイフ1本を全員でジャンケンをして1名に進呈。
 折り返し鍛錬に炭2俵を使ったが、米國人全員に喜んで頂き、個人の小さな日米友好に役立った半日。

鍛錬続く

 昼迄鍛錬を続けると下着迄汗にまみれる。天気予報では後4.5日すれば岡山県も日中温度が26度位となりそうである。朝夕は随分と涼しくなり疲れを感じなくなる。
 目の痛みも止み、長かった4年間を振り返る。自分でも刀工生活は余り長くないと考えていたが、医者の「一生痛みは続きます」との言葉に反して目の痛みは消えて来た。金屋子神社に参拝の度に目の痛みが消える事を4年間お願いして来た。
 幕末に金屋子神社が再建されて150年、この記念すべき年に4年間続いた目の痛みも消えて来た事は、もう少し元気で後継者の育成に励み、日本の伝統を守る使命が残された人生と解する。

作刀申請書届く

 千種鋼を5回折り返す。赤目砂鉄で炭素量も高過ぎるし、6回より出羽鋼を混ぜると急に鍛接が悪くなり膨れが出る。材料が減るのを覚悟で高温沸かしで3回折り返すと、2種類の鋼がなじみ膨れが止まり10回迄折り返して昼食。
 異なる鋼を組み合し短所を消して長所を引き出す鍛錬には、いつも手間取り苦労をするが、美術的と工芸的の二面を合わせ持つ日本刀造りは単独の鋼では難しい。
 今日は平井さんも休みで谷口君と二人昼寝をしていると、文化庁より作刀申請書の許可が届く。これで谷口君もやっと短刀製作に入る事が出来る。初の作を期待している。

今だ認可下りず

 8月に谷口君が作刀申請書に1ヶ所印が抜けていた書類を、文化庁に再提出して1ヶ月経るが通知なく毎日待ち続けている。この申請書が下りなければ勝手に刀剣を造る事が出来ない。法律違反は出来ないので今日も包丁造りで研究をしている。
 脇差予定の皮鉄を短刀に変更して素延べ後、明日の炭切。鍛冶場を片付け千種鋼の最後を脇差用に切断。もう30年も前に買った砂鉄を吹いた残り物。この千種鋼を使った刀が東京都、長野県の刀剣店で販売されているので購入したい旨の問い合わせが今年有った。斬試用に造った赤目砂鉄製で斬れ味も良かった事を覚えている。当時は砂鉄1キロが500円と高価であったが、もう入手できない砂鉄である。

用意

 台風16号も温帯低気圧となり岡山県は朝から曇り空。
 28日に米國より12名が鍛錬所見学の予定が入っているので、折り返し鍛錬に使う鋼を昼迄かけて造る。1ヶ月程先でないとたたら炭が入荷しないので、製鉄時に出来た小粒の鉄を卸し金にして炭素を吸炭させて鋼にする。
 15キロの鉄を5回に分けて降ろす。歩留りも良く1ヶ月程は公開鍛錬に使用出来ると思う。丁度12時となり昼食後昼寝して早めに切り上げて帰宅。

火造り

 昨日平田君が刀の火造りを終えたので今朝見る。後は少し修正をして反り付に入る。谷口君も私の鍛えた包丁の地金を火造るが前回と違って面は良く出ているので、焼入れ後の荒研ぎは非常に楽であった。山本君も刀の荒素延べ迄終わる。卒業試験5名中2名は終り、後3名は今年中には出来上がる予定。肩の荷も軽くなる。
 県外より大小揃い注文の梅模様鍔が手に入る。
 涼しくなったので刀身造りも楽になる。昔の人は「暑さ寒さも彼岸まで」と良く言ったものである。涼しくなると体調も戻り体重も増え始める。

砂鉄

 休日ではあるが時間が空いているので、鍛冶場で炭を用途別に切る。ラジオで台風16号が接近しているとの事で、大雨が降って谷川の砂鉄が流されない内に、今年最後の砂鉄集めに向かう。
 今年は8月に雨が多く山肌は崩れて赤目砂鉄を流している。地層は同じでも数キロ離れると真砂砂鉄も出る。その性質の違う物をどの様に鋼にするか、刀にするか、最近は思いと違う地金になり考える事も多い

寿包丁

 県外から寿包丁製作に来所する迄下準備。10時30分より5人で古式折り返し鍛錬で昼迄に終わる。弟子3名の沸かし、向う鎚(菊池・谷口・金沢君)は最近急速に伸びる。初めての体験者も頑張る。
 午後は火造り、土置き、体験者と2人で焼入れ迄進み、後は私が研ぎ上げる。限られた時間に終わらなければならないので、絶対に失敗は許されない緊張の一日である。
 御客さんに合作の包丁をお持ち帰り頂いた後は全員疲れが出る。それでも新しい人生の出発に記念すべき寿包丁を造った思い出は一生残る事と思う。
 秋山君も私の塗り直した火床での火造り。涼しくなり見学予約も増えて来る。

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