刀鍛冶の日々

5日目

 菊池君と2人で県境の村へ50俵余りの松炭を受け取りに。他の弟子は鍛錬、素延べ。谷口君も連日の暑さに疲れて帰る。
 昨日の造り込み、素延べの点数が不足して2名の受験者が不合格となる。受験開始以来の暑さが集中力を失わせたのか?昼からは全員が火造りに移り明日の昼迄に提出との事。明日が一番難しく不合格者が多い工程である。
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4日目

 日中は毎日今年最高温度が出るので、今朝は6時から鍛錬を始めると平田君も少し遅れて始める。良く乾燥させた松を焼いた松炭なので、火力も強く谷口君が出掛ける8時には室温も50度に達する。平田君の使っている鍛冶場は広く瀬戸内海からの南風が年中吹くので、室温は35度止まりで楽である。2人共に正午で鍛錬は中止。
 連日の暑さの中で受験生8名は皮鉄、心鉄を合わせての造り込みと、それを脇差の長さに延ばして今日も終わる。文化庁と日本美術刀剣保存会の仲が良好な時は、涼しくなった9月下旬に島根県で刀工試験を行っていたので、体調も良く試験に臨めたが両者の喧嘩別れで、文化庁は備前長船刀剣博物館を借りて、毎年暑くなったこの時期に試験を行うが一番の被害者は、刀工試験を受ける弟子達ではなかろうか。刀剣界も刀工集団も割れて何一つ得る物はなかったはずである。

3日目

 一人だけの鍛冶場になったので今朝も6時30分より鍛錬開始。8時には谷口君も試験会場へ行く。今日も暑いので午前中のみの鍛錬。午後は平田君が明日の鍛錬用の炭切。その後に私も炭を切り砂鉄の選鉱、そしてスプリングハンマーのグリスアップをして谷口君の帰りを待つ。多少問題も有った様だが全員積み沸かし、折り返し鍛錬を済まし皮鉄と心鉄を整形して明朝提出との事。落伍者も無く進んでいる様である。この調子で全員が合格へと進んで欲しい。
 谷口君は高卒後6年間一生懸命に頑張ったのだから、後5日程は体調に気を付けて欲しい。今日は蕁麻疹も少なくなって来た。

2日目

 谷口君が出掛けた後は鍛錬。もう体力的に持たないので室温50度に達した所で止める。刀の鍛錬は梅雨入りでなければ熱くて出来ないので、それ迄は包丁の地金を鍛えて夏場の仕事を造って置く。
 受験生は8人なので3人のチーム2組と谷口君と相方2人の3チームで、積み沸かし用に小割された玉鋼一式と積み台(梃子台)を梃子棒に鍛接した所で2日目を終える。明日からは積み沸かしになるのでいよいよ実力の差が出る仕事内容となり、早い者は不合格となる第一の難関。
 谷口君の仕事は別段心配していないが、昨日より蕁麻疹が大きく沢山出ているのでその事が気になる。

一日目

 刀工試験一日目。種々の講義後玉鋼の配布と炭切をして二日目の準備。支給された2.5キロの鋼を4回折り返して1尺3寸の脇差を7日間で完成させなければならない。朝河内國平師匠の弟子の金田君来所。
 夕方谷口君帰るも蕁麻疹が多く出ている。あれ程病院へ行くように言ったのに行かなかった。ひどくならなければ良いのだが・・

一人仕事

 谷口君も研修会最後の日となり出掛けたので静かな鍛冶場で、先月に二口焼入れをして寝かして内面応力を抜いていた短刀を取り出し、荒研ぎ、中心荒仕上げを二階の仕上げ場で一人仕事をする。5月は連休も有った、包丁、ナイフの体験会も二度行いその間に注文の包丁も製作。本当は休みたかったが弟子が鍛冶場に居なくなるので、留守番を兼ねて短刀の荒仕上げをする。平日は谷口君と2人きりになり他の弟子の面倒を見なくて良いので、体も楽になり仕事量も増えた。
 明日から始まる刀工試験に谷口君が合格すれば親方としての責任がやっと果たせる。他人の人生を預かる事は疲れる。それでも日本の伝統文化を受け継ぎたいと求る青年が門を叩くので、12名と数多くの刀工資格者を出した。34年間は長かった。過去の出来事を振り返りながらの一人仕事であった。

研修会2日目

 谷口君も相当疲れて帰る。研修会には受験予定者の殆どが出席して積み沸かし、火造りの練習をしている様であるし、審査員名も判る。
 町内会の大掃除には菊池君が出たので、金沢君の鍛錬と秋山君の皮鉄と心鉄の組み合わせ、午後は平井さんの鍛錬と鍛冶場は熱気に満ちる。今伝習所では全員が刀に取り組んでいるので、炭の消費量も多し。

アフガニスタンから

 パキスタン人の通訳を伴って遠くアフガニスタンから玉鋼を使って、古式折り返し鍛錬で8寸のナイフを造りに来日。一番難しかったのはビザが直に降りない事であった。下鍛え5回は私が事前にして置いたので、平田君が横座で沸かし、力の有る菊池君と金沢君が向鎚、それにアフガニスタンよりの体験者が入り8回迄鍛えて素延べは私がする。予備の2本目は体験者にも横座に入ってもらう。昼迄に鍛えは終り今だ行った事のないアフガニスタンの御國の事を尋ねる。
 午後は続いて平田君と体験者が2本のナイフを火造る。外國人でも十分に向鎚は打てるし、火造りも中々上手である。土置き、焼入れは体験者と2人で行い私がナイフを研いでいる間に刀剣博物館を見学。2日後はアフガニスタンへ帰國するので共に記念撮影をして無事1日を終わる。
 谷口君も研修一日目を終わる。刀工試験は全國から8人が受験と少ない。

研修会前日

 平田君が午前中刀の地金鍛錬、やはり弟子の中では一番上手である。刀を五振り造れば卒業しても良いと全員に伝えてある。競って卒業して欲しい。卒業してもまだ残って修業したい弟子はそれでも良いが、一応区切りとして刀五振りを造れば卒業していつ独立しても良い。注文さえあれば生計が成り立つ腕になる。
 谷口君の蕁麻疹も今朝は体中に出ていたので、明日からの研修会に備えて今日はゆっくりと休ます。私も連日目が痛むので今日は焼き入れて置いてあった包丁を研いで体を休め、明日の熱い体験会を思いのんびりと過ごした一日であった。

健康

 この数日は耳鳴りがひどく頭痛続きで電話の着信音も頭が痛むし会話がしずらい。耳栓をしてスプリングハンマーで打つと音がしないので鋼の感触が掴めない。音とは大事なものである。
 谷口君が昨日は病院に行ったので今朝結果を聞くと、まだ血尿が出ているし体には蕁麻疹が出て口周辺は大きく腫れている。それでも講習会と刀工試験の用意をしてやっと準備が終わる。試験を控えて非常に緊張している様である。しかし人生には一度や二度意を決しなければならない事は多々有る。6年間も専業で刀造りの修行をしたのだから健康に留意して平常心で臨めば良い。
 夕方には土佐の高知の義兄より鰹が届く。又九州の友人からは肥後グリーンも届く。海外からの来客をこれで歓迎したい。有難う御座いました。

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