刀鍛冶の日々

今年も終わる

 夕方迄火造りを続けて今年も終わる。達成感に満ちた一日である。目の痛みに悩まされたが最近は痛みも和らぎ、体調も良く来年に向けて作刀意欲も高し。
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二人だけの日

 弟子も帰省して大高君と2人だけの静かな鍛冶場。午前中は来客も有り手打ちで素延べ完了迄。午後は2人で正月二日のたたら製鉄に備えて炉の塗り直し、たたら炭切と砂鉄の選り分けで一日を終る。
 刀工受験の大高君はどうしても完全に出来ない火造り練習の為帰省せずに頑張っている。入門9年になるので何とか合格して欲しい。

仕事終い

 午前中スプリングハンマーで素延べ終了。明日に手打ちで細かく打って火造りへ進む事にして、午後は弟子の練習用に鋼造り。隣の鍛冶場では交代で弟子が鍛錬をして今年最後の刀造りを終わる。
 1年間使用したハンマーを油落としで綺麗に洗いグリスアップを終わる。弟子は休みでも年末31日迄は作刀を続ける。総員8名で久し振りの賑やかさを取り戻す。

荒素延べ

 昨日の鉄量では不足するので単独の鋼を使い下鍛えをするが、この砂鉄が膨れの原因だとやっと判明。10ヶ月を要した。普通たたら製鉄は数種類の砂鉄分析表を見て地金、刃の働きを出す様にして殆どが今日の砂鉄製玉鋼の単独使用は無かった。折り返し鍛錬は鋼を燃やしながら内部の膨れを出して行き、5回鍛えで材料が半分を切るが完全に膨れは抜ける。下鍛えの終った2種類の心鉄を10回鍛え、午後から皮鉄と組み合して二尺の長さ迄荒素延べを終わり弟子の仕事を見る。
 昨年の刀剣注文の仕事は全て納品して一区切りがつく、本格的に平成25年の注文刀に取り掛かる。今年は冒険をして多くの種類の砂鉄を使用して悩んだ部分も有り、多く学んだ部分も有る。来年からこの点を生かしてもっと良い刀造りをしたい。
 正月は元旦初詣以外はたたら製鉄をして鋼を造りたい。今年も多くの注文を頂いているので答える作品にしたい。

上鍛

 昨日の疲れも一夜明けると元に戻る。最近は血糖値も落ち着いたので体調も良い。谷口君が親方の上鍛を見学させて欲しいと申し出たので弟子の中で初めて見せる。昨日は膨れがあれ程出たが昨日に出尽くしたのか、今日は膨れに悩まされず順調に進み、皮鉄も出来上がり昨日の悪戦苦闘が嘘のようである。
 午後は3時迄心鉄を鍛えるが切炭が尽きて今日の鍛錬を終わる。菊池君も始めて刀の鍛錬で上鍛迄進む。
 今年最後の炭が岩手県より到着。

悪戦苦闘

 三種類の砂鉄製玉鋼5キロ、餅鉄製玉鋼2キロ、合計7キロの鋼を組み合わせながら上鍛えを進めるも、膨れに悩まされながら今日も一日鍛え続ける。松炭も岩手県産を使用して沸かし温度は申し分ないが膨れが止まらない。万力に挟み鏨と手鎚で膨れを切り取り、再度沸かし直しの連続で夕方4時には疲れて続行不能。
 明日午前中に皮鉄の鍛錬は終わるがこれだけ膨れが出た皮鉄が無傷の刀になるだろうかと思う。多くの鋼と炭を使用しても失敗すれば何も残らない。強いて言えば疲れが残る位である。一生懸命の努力が成果として残らないのが手仕事の難しさである。

弟子の仕事

 谷口君は皮鉄と心鉄の造り込みで少し温度が高過ぎ材料が減る。大高君は刀身が大きく捻じれ夕方6時30分で終わる。乾いた砂鉄を片付け、明日の砂鉄の水洗いを済ます。
 来客有りて帰れば9時30分。

 下鍛え完了

 朝6時火床の上で乾いた砂鉄を片付け、新たな砂鉄の水洗いを終えれば夜も明ける。追加の餅鉄2キロを鍛えて下鍛え完了。

科学の目

 朝、急遽歩留りが悪く膨れの多く出る砂鉄を1,000倍に拡大した顕微鏡で見る。目視すれば綺麗な砂鉄であるが顕微鏡で見れば砂鉄の周りには黄水晶が絡んでいる。山から川に砂鉄が出た時は耐火性の強い土や不純物が多く付着しているので、必ず洗い不純物を取り除かなければならない。山中から河口迄の長い距離を砂鉄が流れると不純物は自然に少なくなるが、浜砂鉄になると塩分が多く付着しこれも結果的に悪い。いずれにしても水洗いして砂鉄吹きをする事が大事である。科学の目を通さなければ判らない事である。
 不純物を分離させる為に火力の強い炭を用いるのが重要である事が判り、次回に備えて弟子に砂鉄を水洗いさせて火床の上で乾燥させながら鍛錬を行なう。夕方迄かけて秋山君がナイフを研ぎ上げてくれたので近日中に仕上げたい。
 この2日間は日本刀に必要な砂鉄、焼入れ後の刃文を科学の目を以って全員が学んだ貴重な時であった。ご協力に深く感謝申し上げます。

歩留り35%

 昨夜からたたら炉に予熱をかけ朝7時より金沢君が砂鉄を吹き歩留り35%を出す。私より良い成績である。この鋼で短刀を製作の予定。夕方は顕微鏡を用いて焼入れ後の状態を見る。1000倍で見ると餅鉄、砂鉄両方の沸粒迄良く見える。
 近代製鉄が進み古代たたら製鉄は殆ど無くなるが、古代製鉄を守るにはやはり科学の力を以って追体験も必要である。

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