刀鍛冶の日々

準備

 昨日の砂鉄に東北、近畿地方の砂鉄を混入して注文の刀の地金造り、たたら製鉄をして鋼を造る。先日研ぎ上がった刀の地金を見てこの刀の鍛肌と同じ砂鉄の配合比とする。砂鉄のFeの含有量が少ないので鋼量はFe含有量の多い砂鉄に比べて半分であるが、鋼の歩留りよりも如何に古い時代の地金に成っているかである。
 砂鉄は全國の愛好者の方に頂くので余る程あり材料には事欠かない。今夜も二口の短刀が研ぎ上がり刃文が面白い。これは地金が焼入れに反応しているのでこの様な刃文になる。近日中に刀剣博物館に展示の予定。
 年末迄注文の刀造りに忙しくなる。包丁の注文は刀造りの合間になるが材料は来春迄有る。日中の気温も下がり体も楽になり鋼に心配しないで造れるが、炭の供給には多少不安も有るが今月は150俵の入荷。弟子が無駄炭を使いすぎる様である。
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砂鉄

 昼前に包丁完。昼食をすまし妻と中國山地の紅葉を見に出掛けるが少し色着き始めた所。今年は暑かったせいか山は緑で、県境の高原も晩秋の景色ではなく川の水も多し。二人して磁石で砂鉄を集める。日暮れには150キロを軽四に積んで100キロの道のりを帰る。刀三振りの材料となり1ヶ月分の鋼が出来る。先日の台風27号で真砂土の山肌は雨に流され、磁鉄鉱系砂鉄は多く流れ堆積している。次に雨が降れば流され無くなるだろう。

試作刀失敗

 火造りが終わった刀をせん、やすりをかけの前に表面の酸化鉄(黒皮)を取るのにベルトサンダーをかけると、刀身全体に鍛接されていない傷が出るので日暮れ迄、皮鉄部分を研ぎ減すがどこかに傷が出てついに刀にならず切断。原因は日刀保玉鋼の炭素量が高過ぎ、銑状で有り自家製鋼と鍛接しなく膨れが大きく出た点に有る。鍛錬中からその事は予想していた。今年の日刀保玉鋼は例年より銑気が強すぎるので使いずらい。
 送られて来た二級Aの玉鋼も例年より炭素量が高いので、自家製鋼への混入は止めた方が良い事を弟子に伝える。改めて自家製たたら製鉄の良さを思う。使用鋼は皮鉄12キロ、心鉄2キロ、炭30俵。製作日数8日間全て消えるが、この時点で失敗が判ったので精神的には余り疲れない。
 一番疲れるのは研師宅で研ぎの途中に傷が出て切断する事である。明日は焼入れの終っている注文の包丁を研いで気分転換。

素延べ完

 皮鉄と心鉄を合わせ、造り込みの終った状態を刀の長さ、幅、重ねを調整して素延べ完了。左足が痛みて止まぬ。
 受験生の卸し金練習迄見るので目が痛む。金沢君の短刀焼入れは成功。菊池君は今週も思い通りの焼は入らず。土曜、日曜日は以前の様に賑わう。涼しくなり全員の作業時間も増え連日炭の消費量も多くなり追加注文。来客も増え刀の注文も二日続く。秋山君も一日で短刀の鍛えを終わる。伝習所では4年前に刀工試験に合格した秋山君が全てに先んじている。その次は先日脇差を上手に焼入れした平田君、この2人はぼつぼつ世の中に打って出ても良いと思っている。今春合格の3人はあと少しの所であるので頑張って欲しい。
 今回の日刀保玉鋼混入の試作刀は良い砂鉄の入手先困難になって来た弟子達が、これから先不足してくる自家製鋼を補う為の研究であり、包丁製作にも用いていない。砂鉄、鉄鉱石共に日刀保砂鉄より勝れているが、刀工試験は日刀保玉鋼で行われるので受験生には使用させている。

多忙

 弟子のたたら製鉄応援、火造りの点検、中心仕立等に一日費やす。弟子が居た時は包丁の火造りや研ぎを手伝ってもらっていたが、日中のアルバイトに出掛ける様になったので全て自分でしなくてはならなく多忙になる。こんな時に限って注文が多くなるのである。包丁の注文が溜ると刀を造っていても落ち着かないので明日は包丁を鍛える。
 刀の注文は高価なので定期的であるが、包丁は注文の波が有るので一人仕事になると注文を捌くのに苦労する。

台風27号

 昨夜来の雨は激しく県下には大雨警報が出続けている。鍛冶場は煙突の隙間から雨が流れ落ち火床の上の鉄板は水浸しであり、こんな大雨が続く事は珍しく火床の火を入れ鋼を切断して余熱で乾かす。今年は台風が多く雨も降るので炭が湿って困る。粗末な鍛冶場は一年も経つと雨漏りも始まる。これ以上台風災害が出ない事を願っている。日本の気候も変わりだした様である。
 受験生と3人で明日のたたら製鉄の炉を塗り直し、研師宅に刀を受け取りに行きて今日も終わる。

造り込み

 心鉄は餅鉄を14回鍛えて皮鉄と共に造り込む。沸かし温度を高めにするが極小さな膨れが2個出たのみ。案外傷は出ないかも知れない。一尺程迄沸かし延べをして中止。受験生の火造りとせん、やすり掛けの指導。2人共大分上手になった。岩手県から炭も届き一安心。
 今回の刀は鋼を12キロも使用したので火床の底に沸かしの際に鋼の表面が溶けた鉱滓を、鎚で割って磁石で集めると3キロも有る。これは後日卸し金にして鍛錬時の梃子棒に鍛えてリサイクルをするか、受験生の鍛錬練習にする。昔はこんな質の落ちた鉄で釘等を造っていたものである。こんな古い釘を卸し金にして刀を造っても、良い刀は出来ない。

上鍛完

 日刀保玉鋼を混入したので歩留りも良く、刀と短刀の二振りが取れる目方である。グラインダーで火花試験をしてみるが鋼の硬さに比べて、それ程炭素量も高くは無いが日刀保玉鋼は感度が良いので、刃切れが起きやすいので心鉄は極柔かい方が良いので、貯めてある鋼の中から選びたい。日刀保玉鋼と自家製玉鋼は僅かに融点が違うようであり、極端に大きな膨れが出て悩めるが地肌は面白いと思われる。しかし膨れが多く出る事を思えば傷も出易い事である。心鉄に餅鉄を用い造り込み、素延べに沸かし温度を高くして膨れを抜くしか方法が無いと思われる。
 あえて人のしない方法で苦労するが、一振りの刀が出来上がった時が楽しみである。今日もチタン系砂鉄が入手。非磁性であるが鍛肌も目立つので面白い砂鉄である。時折砂鉄の入手ルートをきかれるが、これは企業秘密であるので欲しい人には分けて差し上げている。しかし刀に使える鋼にするのには難しいと思う。

修理

 火床の羽口が壊れて空気が漏れ出し火力が落ちるので全面的に塗り直す。スプリングハンマーもベルトが切れ始め、とても鍛錬が続けれない。ハンマーも旧式を40年前に改造したもので一人では取り換えが出来なく谷口君に応援を頼む。彼が最後の卒業生となるので修理方法を覚えていて欲しい。
 砂鉄は500キロを分けて頂き当分の間鋼には不自由をしない。今日は修理に時間を割かれ上鍛えは明日になる。

中鍛え完了

 下鍛え6個を2個に纏めて5回の折り返し鍛錬を午前と午後の2回に分ける。昨日の気温と違って今日は室内温度が45度と高く2度も下着を替える程汗は流れる。
 15%程の日刀保玉鋼を混入したので地鉄は硬く、異質の鋼の為膨れは大きく出て鏨で切り鋼内の空気を抜き、沸かし直しの連続。上鍛5回は松炭で鍛錬の予定。夕方には平田君が平身脇差に土置き、日暮れて菊池君も帰宅して焼入れ。土置き通りの刃文も入り平田君の技術も進歩する。後は刀が出来れば卒業だがいつの日になるか。

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