刀鍛冶の日々

静けさの中で

 受験生の休日だが脇差造りが大幅に遅れているので午前中だけ火造り、せんかけをさせて仕事を進める。その間に砂鉄の選り分けをしてたたら製鉄に備える。炭も今月は4度目の注文をするが代用の炭は問屋に在庫が十分有り助かる。
 午後は休日として仕上げ場で刀二口の中心仕立てを行ない研ぎに出す用意をするが、鍛冶場は弟子もいなく静かであり心落ち着く。
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小包丁製作

 平日アルバイトを始めた弟子が土、日曜日の休日に揃って出る。休日は多少の違いが有るが基本的には週2回の休日に刀造りとなる。炭切、鍛錬、研ぎとそれぞれに別れる。刀工許可の有る弟子なので心配なく自分の仕事が出来る。包丁造りの体験会で残った鋼を貯めていたので火造りをして焼入れ、研ぎ。体験会で残った鋼で造ったので、材料代さえ有れば良いので安価に販売出来る。展示場での販売とオークションに出品して多少なりともサービス品としたい。
 近代製鉄の包丁と違って100%砂鉄の古代製鉄の包丁と寿命を比べて頂きたい。一生使える包丁で古代の日本を体験するのも楽しいものである。良し悪しは別としてこれが古い日本の包丁であり我々の祖先が使った包丁に思いを寄せる。

機械ハンマー

 刀工として独立する為にはどうしても機械ハンマーが必要となる。江戸時代の様に刀が必要でなく刀工を目指す人間も殆どいなくなり、玉鋼を練って鍛える折り返し鍛錬に向鎚を打つ人間がいない。他の工程は全て一人仕事だが折り返し鍛錬には2~3人の向鎚がいなければ出来ない。そんな向鎚を打つ弟子を数人も抱えている刀工は数軒しかなく、殆どの刀工が機械ハンマーを利用している。
 親方の生活が出来ないのに弟子は養えない。ハンマーは新品で150万円、中古なら10万円位から有る。一日の電気代は100円位で弟子を持つ事を思えば非常に安い。今日は弟子が購入したハンマーの運搬に出掛ける。
 受験生が炭切と明日の公開鍛錬予約用に玉鋼を纏める。刀工許可の出た石原君がやっと脇差を造り終えて中心仕上げ銘切り迄終り、第一作を完了。

姿直し

 午前中に昨夜焼入れをした刀二口を研ぐ。地金の砂鉄は全く違う材料であったが、刃文の出来は良く似ていて、匂口は締まって見えるが研ぎを進めて見なければ判らない。兎に角刃文の調子が良いので一安心して、午後は焼入れ時の曲がりや反り直し、中心の焼き戻しをして終る。
 時間も有り受験生の仕事を見るが2人に共通している事は、控えの帳面をとってないからいつも失敗をする事であり、いくら言っても聞かないから失敗の連続で有る。
 夕方は研師宅に脇差を受け取りに。大小セットの注文なので同じ刃文にしたが材料の違いで全く違う出来である。地金と刃文がワンパターンでない所が面白いのと難しい。平日は弟子がいないので自分の仕事もよく進み、赤坂鍛錬所で一人仕事をしている様である。

刀焼入れ

 初夏迄に鍛え、火造りをして置いた刀二口に土置き。彼岸も過ぎたのに日中はまだ暑く刀身に置く土も乾きが早く忙しい。受験生以外はアルバイトに出ているので鍛錬所はひっそりとして寂しい。。日暮れを待って焼入れ。アルバイトから帰った弟子が久し振りの見学。明日は研いで刃文を見たい。

進まず

 受験生の予定は秋迄に火造り、仕上げを終える予定であったが今だ終わらず。こんな状態が2.3年続き実力不足で毎年刀工試験を見送って来たのが実情であった。毎回々同じ失敗の繰り返しであるが本人達に真剣に学ぶ気持ちと行動が無いので、いくら言っても技術の向上が無い。今日から始まる講習会に出席しても無意味なので欠席させた。昨年の講習会から一年経つが一年前と同じで合格する技術の無い者だけが残った。
 刀工資格を持った弟子達は今日からそれぞれアルバイトに出掛ける。しっかり独立資金を貯めて欲しい。刀の焼入れに備えて火床の塗り直しと掃除を済まし今月3度目の炭を注文する。仕事の出来ない者は炭ばかり使うので炭の仕入れに苦労する。兄弟子もアルバイトに出、仕事時間も増えたのでしっかりと勉強して欲しい。

痛み始める目

 最近は弟子の沸かしの温度を良く見る。3名の者が刀工として初の作に取り組んでおり、どうしても目が離せない。おまけに自分の仕事でも鍛錬が増えたので、目の痛みとぼやけが出て目の焦点が以前の様に合いにくく運転もしずらい。 今日も見学が有り弟子が横座に入り沸かし温度を見たので目が痛む。
 暑さ寒さも彼岸迄と言うが最近は真夏日が続くので、刀の焼入れも少し見送り今週後半気温、水温が下がるのを待つ事とした。急いで失敗よりは遅れても良い焼入れをしたい。
 明日よりは弟子達が昼間のアルバイトに出るので日中は受験生2名となる。少しは目が休まる。

思い

 遠く1300キロを帰る客人を見送る。弟子亡くして気重たいけれど共に過ごした8年間を同志共に懐かしむ。独立33年の間2名を病にて失う。師弟に情は親子以上に深し。
 大和男子と生まれ民族の魂を守る道に生きんと欲する伝習員は、先達の屍を乗り越えて進む以外無し。

遠路

 1300キロの道のりを走行して伝習所へ朝到着。早速たたら炉の説明、そして餅鉄を以って製鉄。非常に粘りの有る鋼で包丁10本分程の鋼が出来る。後日鍛えて見たい。
 今だ温度が高く送風機を冷やしながらの操業であった。今夜は宿泊して明日又1300キロの遠路を帰宅の予定。好きでなければ出来ない事である。

献詠

 一握の 遺骨となりて 我が弟子は
   母のみもとに 帰りたまえり

 刀工の 資格取らずに 帰す君
   悔やみてならず 我が胸の内

 我が吾子の 遺骨背負いて 駅頭に
   悲しみこらえ 別れを告げる

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