刀鍛冶の日々

体験会

 台風15号を心配したが熱帯低気圧となり直撃を免れ朝より古式鍛錬で包丁体験会。午前中鍛錬、素延べ午後火造り、土置き、焼入れ、研ぎ完了。高額な体験料を頂いているので失敗は絶対に許されない。注文の包丁であれば造り直しの日数も有るが、体験会はその日に仕上げて渡さなければならなくいつも気を使う一日である。全員の心が一つにならなければならない。総員九名で文化包丁を造り暑い八月も終わる。
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金床修理

 スプリングハンマーを据付けて一年も経つと金床の表面がどうしても凸凹になり、三段重ねの金床を取り外してグラインダーで削り曲尺(カネジャク)を当て、手で確認しなければならない。しかし金床を止めているピンが外れなく弟子の応援を求むる。下段の金床は150キロの重さ。40年も使用すると打撃で3ミリも陥没。二段目は5ミリ陥没、三段目表面は2ミリの凸凹となりグラインダーの震動で手の感覚鈍る。新たにピンを造り直して終わると午後4時。台風15号の雨が降り蒸し暑く手間取るもこれで安心して鍛錬が出来る。
 日々朝夕は涼しくなる。早く刀の鍛錬を始めたいものである。昨日火造りした刀の姿直しを済まして今日も終わる。

本刃付けについて

 市販の包丁研ぎは機械研ぎである。ふつう家庭で使用するにはこれで十分であるが、職人が使うにはさらに細かな砥石で手研ぎを行なって斬味を高める。要点は研石の粒度である。日本刀の研師に頼めば10万円程で研いでもらえる。
 今日も4人が刀と脇差の火造りをしているがかなり手間取り炭と時間を使い過ぎる。今の技術では当分先の卒業になる。

卒業試験

 今2名の弟子が私の卒業試験を受けている。たたら製鉄より刀を全て自分の手で造る事が出来れば合格である。松炭が入荷すれば順次卒業試験を受けて欲しい。私の大きな失敗は今迄卒業試験をしなかった事である。その点を省み試験は厳しく行っているので卒業迄は二、三年を要するかも知れない。幾人が刀工として残れるだろうかと思う。

あきらめの気分

 今朝も涼しく昼前迄梃子棒の修理。弟子に公開鍛錬で横座をさすと梃子首が溶けて細くなりひどい時には温度を上げ過ぎ鋼が燃えてなくなる。本当の所は未熟な弟子に仕事はさせたくないのだが、刀工試験を来年に控えているので仕方なしでさせる。炭と鋼が消えてしまうので懐も痛し。無雑作に炭も使うので他の弟子の使用する炭も無くなる。注意点をいくら言ってもノートに記入しなく同じ失敗の繰り返しで八年になる。世の中、こんな人間も居るものである。

松炭予定

 弟子3名の作刀申請書は許可が出たが松炭の入荷予定が全く立たず、松炭の注文より四ヵ月間再々の督促にも入荷予定の返事は無し。仕方がないので松の代役炭を使用する事にしていた所山本君が県境をドライブをしていた折、道の駅に展示していた炭に目を付けて電話をすると松炭も焼くとの事。夏は暑くて炭焼きが出来ないが秋からは焼いてもらえる事になったが、炭の質が判らないので不安は有る。包丁を造るのであれば多少は我慢が出来るが刀であれば火力が有り、炭が崩れない松炭でなければ刀に成った時傷が出る。日中はまだ暑く彼岸迄は刀の鍛錬が出来ないので丁度良い。注文してもいつ入荷するか判らない岡山の炭問屋より直接焼いてもらえる方が話が早い。昨日の鍛錬で左足関節が痛むので無理をしないで休む。
 弟子達は仕事探しにハローワークに出掛ける。朝から夕方迄毎日仕事が有り週休2日制であれば独立資金も出来て2日間刀造りも出来、技術も上がる。あれこれ考える必要は無い。どんな仕事でも夜のアルバイトから考えると預金は出来て独立に結び着く。

地金

 「清く捧ぐる吾等十四柱皇魂 誓って無窮に皇城を守らむ」との共同遺書を残して割腹、自刃、介錯。その日から六十八年を迎える。介錯刀延壽國吉は刃こぼれ一つ無しであるが、大慶直胤の刀は鋸の刃の様にぼろぼろに刃こぼれ。改めて刀の地金を考える。
 砂鉄によるたたら製鉄では新刀,新々刀の枠内に終わる。磁鉄鉱によるたたら製鉄を行なわない限り古い地金と同じ分析値には近づけない。昨夜より雨は強く降り涼しいので大雨の中、磁鉄鉱の玉鋼を以って試作を始むる。この地金を以って仏人の体験会に使用したし。

雨降る日

 昨夜から久し振りに降る雨は今朝も続き、県北津山市は雨強く慰霊祭は場所を移動。烈士の國を思い、身一つを魂串として捧げた戦後日本を憂うる涙雨かと思う。18年降りに御会いした烈士の御息女。随分と老いを感じ懐かしむる。
 夕方伝習所に出るも弟子の仕事は決まらず。鍛冶場に置かれた谷口君の素延べを手に取りて、五年間一生懸命に励んだ成果を見る。

梃子棒

 折り返し鍛錬に使用する梃子鉄は炭素量の低い鋼を3キロ程、5回の折り返し鍛錬をして梃子棒にする。その先に刀になる高炭素の鋼2キロを鍛接して下鍛5~7回の折り返し鍛錬をする間、持たなければならない。朝から3本鍛えると室温50度となり終了する。土、日曜は見学の予約も入っているので準備は出来た。
 午後からは小粒の鋼を谷口君が卸し金にして大きな玉鋼にし、明日の折り返し鍛錬に使用する鋼を造るが今日も暑し。

暑き一日

 朝一番に短刀の銘切を済ましてベルトサンダーの取り換え。注文していた翻訳機も入り使用方法を習いフランスよりの体験会に備える。午後は秋山君が早速私の造った包丁をベルトサンダーで平面出し。再度見ると匂口も少し広く明るい。後は研ぎ終えて斬味を見るのみ。
 岩手県より炭も到着したので体験会の下準備で、鋼を纏めて置きたいし鍛錬用の梃子棒補強もしなければならないが、毎日暑く予定通りには進まない。雨が欲しいものである。

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