刀鍛冶の日々

弟子の火造り

 朝早く出るが左足が痛み鍛錬は中止。整体の先生が入念にリハビリ。痛みも軽くなり足も十分動き出すが大事を取って見学。菊池君がフラットバーで刀の火造り練習をしているが、短い脇差と違い悪戦苦闘している。脇差の火造りをしている大高君も随分上手になるが、合格点には達せず工夫の余地はまだ有る。谷口君の火造りは問題多し。しかしながら兄弟子もいるのでアドバイスも有る。私は私なりの仕事も有るので弟子が終わった仕事を見るのみであるが、少しながらも向上していると思う。
 明日よりの刀の鍛錬の用意に地金の玉鋼を5種類選び目方を計り少し早めに終わる。気分的には少し楽になったので、夜は又製鉄に関する書物に目を通す。
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菊池君村下

 30年それ以上の昔、今泉刀匠よりたたら製鉄時に砂鉄を糊で練って乾燥させると良い事を教えて頂き、時折していたが手間が入るので止めていた。Fe含有70%、チタン含有25%、非磁性60%の砂鉄でたたらを練習さすには少し無理が有り、糊で練って炉の上で乾燥させて細かく砕いた砂鉄40キロで鋼7.2キロを造る。中々の上出来である。この砂鉄は買う事が出来る数少ない砂鉄であるが、歩留りの悪いのが欠点である。砂鉄が無ければ小型たたら製鉄も行えない。利用方法で立派な日本刀が出来るが操業方法を覚える迄に時間を要す。炭素量は低いが初めての村下職としては合格である。
 朝から日射しは強く鍛錬は出来ない。昨夜降った大雨が今朝から降ってくれたら鍛錬も出来たが、空梅雨に終わらず災害の無い程度の雨が続いて欲しい。天気予報は明日も高温で雨も降らないので、早出して涼しい時間帯に鍛錬をしたい。

目の手術より3年

 研師宅で目の手術後より目が見えにくくなったせいで、小さな刀の傷が見逃されているのではと言われた。確かにその通り目の手術より右目は3年、左目は1年経つが真黒な赤外線防止の眼鏡は必要無くなったが、サングラス無しでは鍛錬が出来ない。折り返し鍛錬時1㎜の鉱滓の噛んだ所を見逃せば1㎝の傷となる。折り返し時は水打ちをして入念に鍛えているが、刀に仕上がると1㎜や2㎜の鉱滓を噛んだ傷が出る事が3年程前から多くなって来た。玉鋼に鉱滓を噛んでいるのか、それとも折り返し時に酸化鉄を噛んでいるのか、それとも両方なのか?自家製鋼は日刀保玉鋼と比べて小傷の出易い事は承知しているが、現代刀の鏡のような地金と違うので小型たたらは続けたい。傷の出た刀は潰せば良い。傷の無い部分は刺身包丁にもなる。
 年月が経てば現代刀でも古い時代の地金を造っていた者が居た事を評価されると思う。現実に日刀保玉鋼とは全く違うので注文者が続く。全國でも殆どいない自家製小型たたらの技術を弟子に残したい。
 明日は初めて菊池君がたたら製鉄村下を行なう。この技術を覚えて帰省しなければ伝習所に入門した意味が無い。今日は心鉄と皮鉄を合わし荒素延べ迄進める。室温50度となり仕事は中止する。無理は禁物である。

外泊の疲れ

 皮鉄完成。心鉄を平田君が5回鍛えて交代。既に室温は50度を超えている。私が新たに心鉄を積み沸かすと12時。午後も心鉄の鍛錬を続ける積りでいたが室温は40度と高く、体力の限界を超えるので中止して心鉄用の砂鉄をペレット化させた30キロの砂鉄を火床の上から取出し、新たに30キロの砂鉄を乗せて仕事を終わる。
 鍛冶場に居ると時間制限が無くなりどうしても疲れる。弟子達は火造りをしているが若いので体力も有るが、初老の身には暑さが一番堪える。今日も雨が欲しかったが当分雨は降らないようである。

弟子のたたら製鉄

 来年の刀工受験者練習用に日刀保玉鋼を購入。2級Aの玉鋼は悪く通常の2級Bの玉鋼でスラグを噛んで低質である。弟子のたたら練習も兼ねて日刀保玉鋼の砂鉄が採れる同地域の砂鉄で吹くが綺麗な玉鋼が出来る。砂鉄の違いでなくて操業方法の違いで出来る玉鋼の質の問題であろう。今年は愛好者の方々から数種類の砂鉄を頂いたがほぼ玉鋼に変えてしまった。昨夜焼入れの刀の刃文も良く研師さんに依頼して3日振りに帰宅湿った洗濯物も多し。

鍛冶場にて泊まる

 昨日は一日砂鉄を運び帰宅後、夜はたたら製鉄と疲れ伝習所にて泊まる。
 朝は半月前に転倒して痛めたひざが痛み激痛の為正座も出来ず今日は休みにしようと思ったがせめて火造りをした。包丁二本の焼入れをしたく左足を引きずりながら焼入れを済ますと昼。
 昼休みを長く取り午後は刀の鏟(せん)やすり仕上げ。ここ迄進めば焼入れもしたくなり土置きをする。
 今日も夜、暗くなるのを待って焼入れの予定。体の調子が悪くても足が痛むのみで頭は冴えている。やはり自宅と鍛冶場が一緒でなければ仕事は進まない。
 休日でも秋山君は降し鉄をして材料を造っている。降し鉄をすることによって自家製鋼は粘りが非常に出るが日刀保玉鋼は降し鉄をしても硬い。刀の地金は粘りが無ければ折れ易い。
 同じ島根県内でも砂鉄の分析は大きく異なる。同じ場所の砂鉄をどの様に処理しても玉鋼の質は変わらない。もし、外国に勝れた砂鉄が有ればそれを購入してたたら製鉄をするのも一考である。
 古来より江戸末期迄外国製の鉄は日本に輸入され日本で処理をして玉鋼として流通していたのである。ひょっとするともう外国製の砂鉄を使用しているだろうか?

電気工事

 朝、電気工事店より状況を見に来て夕方まで時間が必要だと言われ合間をぬって中国山地の砂鉄を集めに行く。この辺はチタン系砂鉄と磁鉄鉱系砂鉄の地域が有り難しい。夕方帰ると工事は終わっていたので早速、炉に火を付け6時砂鉄投入開始。夜半にはたたら製鉄も終わる事であろう。忙しい一日である。

三段階吹き

 昨夜は11時過ぎに寝るも今朝は4時前に目覚め、たたら製鉄の方法を考える。5時20分着火6時砂鉄投入。3時間もすると炉内の温度は上がり1300度になった鉱滓は水の如く流れ出る。そこからペレット化した1㎝角の砂鉄を投入。本来であれば松炭でなければ餅鉄は上手く纏まらないが、5ミリ角の大きさにした餅鉄を投入して楢炭で還元、炉を開けると9キロと大きな玉鋼と2キロの小粒の玉鋼で硬く炭素量は高し。歩留り30%。人間物に不自由をすると考えるものである。
 受験生3人は朝から夕方迄手打ちの古式鍛錬を繰り返す。飛び散った鋼が電気のブレーカーに焼き付きショートして三相電機は使用出来なくなる。電気工事店は休みであり、電気が使えないので明日は何をしようかと考える。

伝統を受け継ぐ者

 朝一番に仕上げ打ちを済まし反り付け、焼きなましをして内面応力を抜く。刀身を手鎚で叩き刀の形に火造りをするが表と裏はどうしても打つ回数が違っているので真っ直ぐ打てていても内面応力は違っているので、刀身を焼いて焼きなましをしなければならない。刀身を冷却後にもう一度叩いて曲がりを直す。忙しいので今朝はこれ迄にする。
 全員の仕事を見た後包丁の地金を鍛える。昼食は茨城県のお客様の実家から頂いた御米と焼き肉。非常に美味しい御飯でした。有難う御座いました。
 夕方石原君のたたら製鉄が終わると、今回合格した3人の弟子の祝賀会、金沢君、石原君は入門十年、菊池君は七年とそれぞれに三回目の受験であり思い深い合格である。日本全國日刀保の玉鋼を使用する中で、砂鉄よりの自家製玉鋼は全く別の鋼であり、日刀保玉鋼を使用しない弟子は苦戦を強いられただけに合格は嬉しく今日よりは又自家製鋼に返る。刀鍛冶自身が造った玉鋼は産地特有の面白さが有るし、特質が全く違うので地金で評価される。33歳、36歳、48歳と弟子はまだ若い。たたら製鉄が出来るので将来が楽しみである。ささやかな祝賀会であったが美酒に酔いもまわる。

IMGP0389.jpg

工夫

 朝から涼しく心鉄を鍛え、皮鉄と合わせて素延べ。右肘が痛むので平田君に荒火造りをしてもらう。明日は刀の線を整えて反り付け迄進める予定。台風4号も消滅し長船町はそれ程雨は強くない一日であった。
 明日のたたら製鉄は初の作品を目指す石原君の予定。たたら用の炭は十分に有り包丁用にも利用出来る。菊池君は早速刀の素延べ練習を始める。刀工試験の脇差よりは数倍の難しさがあるが、来春卒業迄は刀造りが続く事である。
 松炭の倹約の為たたら用炭を使い心鉄を鍛えたが、鋼の沸く時の火花が見えないのでかなり鋼が溶け落ちる。暫くは松炭の入荷予定が無いので代役出来る部分は代役の炭を使い、松炭の消費を抑えたい。大所帯であるので少し工夫をしても大きな節約になる。夏のボーナスも近いので包丁の注文が予想される。早く松炭100俵が入荷すれば良いのだが・・岩手県にも予約は入れてあるが待ち遠しい。
 中国山地は大雨である。雨は真砂土を洗い流して谷川には砂鉄が流れ出す。楽しみである。

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