刀鍛冶の日々

試験4日目

 受験生は皮鉄、心鉄の造り込みから素延べへ進んでいる。一昨日の合格出来なかった者は四國の弟子との事。明日の昼迄に素延べを提出して採点、以後は火造りへ進む。全國よりの受験生も素延べあたりから技術の差が出始める。当方の受験生も二回火造りで不合格になっているので、一年間火造りを練習させてあり受験生も今年は鼻息が荒い。二日間程で必ず1~2名の不合格は出ると思う。若い時は落ちるのも勉強である。1回の試験で合格した者が必ず刀工になるとは限らない。落ちても落ちても勉強して実力を付けて独立する者もいる。要は志操の問題であり日本人としての自覚の問題である。
 昨日の刀の荒仕上げも終り研師宅へ持参するも留守であった。明日は広島県から9人も鍛錬とたたら製鉄の見学者の予約が有るので帰宅前に炉を塗り予熱をかけて帰る。岩手県にはたたら炭と松炭が丁度有り注文。
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試験3日目

 今日より弟子は臨時の休日とする。受験生が出た後は仕上げ場で刀のせん、やすりかけをして弟子に見せる。午後は再調整を細かにして土置きを見せ、火床の修理後刀身を乾かして受験生の帰りを待つ。
 残った受験生8人は皮鉄、心鉄の鍛えが終わり明日10時迄に造り込み前の状態で提出して採点との事。炭で真黒になった受験生は風呂に。残った大高君だけが焼入れを見る。結果は明日研いで見る。長い一日であった。

試験2日目

 朝弟子を送り出してから火造りを行なう。夕方弟子が帰る迄に時間が有るので寿包丁製作体験会に使用する包丁用鋼4本分をたたら製鉄で造る。還元しにくい砂鉄は炭素量も低いのを利用して兵庫県産の炭素量の高い鋼と混合すれば丁度の硬さ、粘りが出る。6月は結婚記念に包丁製作希望の方が多く申し込んでいる。忙しくなりそうである。
 夕方受験生が帰りて報告、既に今日一名が不合格となる。三人の受験生は3度目の受験であるので要領は判っているので落ち着いて完全な仕事をして欲しい。2日目で不合格とはよほど焦っていたのか・・技術不足なのか?

刀工試験始まる

 体調の悪かった弟子も良くなり3人揃って8日間の試験に臨む。昨年は3人共に最終日迄頑張ってあと少しの点数不足であった。それから1年間一生懸命に頑張り技術も向上している。体調に気を付けて頑張った1年間の成果を出し切って欲しい。
 朝より涼しく心鉄と皮鉄を合わせて組合せ素延べ迄進む。週末見学者も多いので折り返し鍛錬の用意もしておく。午後は砂鉄の選鉱。秋山君のたたら製鉄も大きな玉鋼が造れている。やはり還元のし易い砂鉄である。夕方には受験者の報告を受けて帰宅。

早退

 砂鉄集めの疲れと午前2時に目覚め眠れなかったので頭痛。午前中に鍛錬をして午後は帰りて横たわる。無理をして失敗してするよりは休んだ方が良い。体の調子が悪いと全てに影響する。岡山県も梅雨入り、これで作刀も楽になる。

砂鉄

 午前中にたたら製鉄を済まし午後は妻と2人で梅雨入り前最後の砂鉄集めに大きな磁石2個で砂鉄を150キロ集める。小さな軽四の乗用車には重たく長い坂道はアクセルを一杯踏み込まなければ標高500メートルの峠は登らない。Fe含有90%の砂鉄は中国地方で最高の値である。これで明日より心おきなく鍛錬に入れる。砂鉄、鋼、炭が揃っていないとどうも気になる。砂鉄の在庫量も種類も日本一であると思う。
 夜遅く整体の先生に来て頂き強行軍の疲れもとれる。昨日から研修会に出ていた弟子が鼻血を多量に出し今日は休む。刀工試験は二日後に始まる。体の調子が早く元に戻れば良いのだが・・折角一年間頑張ったのだから元気になって受験して欲しい。
 インターネットで探すと砂鉄を扱っている方や業者もいるが分析表がないので、迂闊に注文すると全く刀に不向きな砂鉄を送られてくる時も有る。やはり使い慣れた砂鉄が良い。砂鉄が鋼になるか、鋼が刀になるのかが問題である。

研修会始まる

 今日より弟子5人が研修会に出席。残った3人で卸し金とたたら製鉄を行なう。両肘が痛むので力のいらないたたら製鉄で鋼のストックを造る。
 来週から雨も降り曇天の日が続くので体にこたえる鍛錬はそれからにして明日も鋼を造る予定。日本の景気回復の実態は良い方向になっているだけであるが注文は増えている。刀剣会も潤わなければ今年刀工試験に合格する者も刀工を続ける事が出来ない。伝習所の刀工資格を持つ弟子も注文がいつあっても受注出来る様に包丁で鍛錬、地金、焼入れの勉強を続けているが今だ注文も無し。全國で長く刀工生活をしている者でも刀工で生活が出来ないので、他に職業を持って日曜鍛冶をしなければならない時代である。刀工を続けるには刀工の技術を利用した鍛冶職で炭代、鋼代を稼ぎ毎日々の仕事が刀造りと関係の有る事をして刀から離れない事である。
 刀工以外玉鋼を自由に使いこなせる鍛冶職はいない。この技術を生かせる事を考えなければならないし、いつ迄も与えられた鋼でなく自家製鋼も考えなければ刀工として生き抜く事が出来ない時代になっている事に気付かなければならないと弟子にはいつも言っている。

たたらに変更

 昨夕、今迄と違ったコーヒーを飲んだせいか眠れず朝には右肘が痛み今日は休みたい気持ちで鍛冶場に出る。折り返し鍛錬で鏨を使用するのは無理なのでたたら製鉄に仕事を変える。明日よりの講習会の準備が必要ない平田君が炭を入れる番子を手伝う。砂鉄30キロで8.5キロの大きな玉鋼が出来る。今日の3種類の砂鉄は全て分析されている還元されやすい砂鉄であるので操業は楽である。
 夕方には両肘が痛む。明日は一人でたたら製鉄をしようか?無理をすると刀が造れなくなるので明日の具合を見て決める事とする。毎日こんな暑い天気が続くなら早く梅雨入りをした方が楽である。

疲れる

 連日猛暑が続き朝早くから鍛錬を始めるが3時間も続くと、炭火の照り返しの熱さで上半身はやけて顔のみ汗が流れる。少し曇るか雨が降れば鍛錬も楽であるが、どこかで鍛錬の無い日をもうけなければ体がもたない。
 弟子も火を使う事は午前中のみとする。全員が一日仕事をしたい様であるが少し暑さが和らぐ迄は体を大事にしなければならない。来年の受験生はまだ時間が有るので無理をしない事である。
 今朝はあまり疲れていたので6時迄寝る。疲れたら無理をしない事にした。刀が失敗すれば全ての日数が無になるだけでなく炭、鋼を失い損失と心の痛みと疲れが残る。注文予約も最近は多いので無理をしないで疲れる迄働かない事にする。

全國一位

 昨日も岡山県内では全國最高気温を出し、今日もそうである。少し早く6時には鍛冶場へ出る。既に平田君がたたら製鉄を行なっている。準備をして6時30分鍛錬を始めるが10時には室温が38度となり暑さでこれ以上の鍛錬は出来ず梃子の補強等を行い無理をせず午前中で止める。火造り練習をしている谷口君も大高君も中止。炉内は1300度程になり鋼も真白くなり溶け始める寸前の場所にいるので、暑くて麦茶を飲みながらの鍛錬には限界がある。4~5年前なら平気であったが目の手術後は体が弱ったようで老いて行くのが判る。鍛錬は朝の3時間程にして日中は無理のない仕事をしなければ今年は乗り切れない。梅雨迄が正念場である。それ迄に鍛錬の仕事を終わりたい。夏は総仕上げ仕事ならまだ体が保てる。
 午後は明日の用意に稲藁をやいてあくを造る。夕方迄室内温度は38度を切らず。急に暑くなりすぎて急ぎてストーブをしまう。体の調子も良くなり食欲も出、体重も2キロ程増え一安心である。それにしても今日の暑さは病み上がりの身には厳しかった。

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