刀鍛冶の日々

休みならず

昨日たたら炉の羽口が駄目になり今日は明日からの鍛錬に備えて弟子の指導のみとして体を休める予定であったが、鉄工所で羽口を製作してくれる事になり最後に残った見本を用いて修理する。たたら製鉄を行なう予定であった平田君は砂鉄が乾いていなく明日に予定を変更したので谷口君と大高君の3人で製鉄。5時間の操業で玉鋼7キロ、海綿鉄5キロを造り包丁の注文用の鋼とする。
疲れの為と思われる頭痛が半月も続きどうしても休んで頭痛を治したい思っていたが生来の働き好きで思い通りにはならず。7時半過ぎ帰宅。今夜は読書も止めて早く寝る事とする。
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メキシコから

朝5時に鍛冶場に出るとたたら炉の火は消えている。急ぎて火を付け予熱開始。6時砂鉄投入始め11時解体。2組の予約者の前で古式折り返し鍛錬と玉鋼の取出し、切断にて終わる。以後受験者の皮鉄、心鉄の組み合わせ、素延べ、火造りと進む。
今日は太平洋の彼方メキシコよりテキーラの入ったチョコレート持参で当所に見学に訪れる。私の日本刀製作のDVDが海を渡り複製でメキシコでも好評らしい。会った瞬間にDVDの本人だと喜ばれる。記念撮影も多く撮り非常に親日家で楽しかった。メキシコに行った事はないが映画ではメキシコを良く知っている。大らかで明るい國民性の人そのものである。かつて日本に留学していたとの事で日本語も大変上手であった。突然の訪問であったがメキシコと日本の友好に役立ったような気分になれた。スペイン語は全く判らないので日本語で通した。
日本来訪、友好を記念して私の小包丁を贈呈。

卸し金の事

卸し金には二つの方法が有る。まず(一)は炭素量の少ない鉄、鋼を火中に入れて炭の炭素を吸炭させて高炭素の鋼として刃物に使用する方法で、日本刀や包丁等の物を切ったり削ったりする材料にする事である。
その(二)は銑等の高炭素の物を酸化物を使って火中で炭素を抜く脱炭作用の方法である。
江戸後期迄は一部外國から銑を輸入して日本で脱炭して鋼として販売されていた。今日は(一)の方法でたたら製鉄で出来た鋼を火床で吸炭さす。目方は4.2キロを一回降ろして3.8キロの刀用鋼にする。二回目も同じで3.9キロの鋼となる。伝習所では谷口君が卸し金の技術は一番上手である。谷口君に一年ぶりに私の方法を見せる。明日はたたら製鉄の日である。予約も二組県外からあるので砂鉄を乾燥させて選別し炉に炭を入れ予熱をかける。大高君に平田君を一日つけて火造りの指導をさす。「平田君の言う事は親方の言う事だ!」と強く念を押す。水戸は強情を張る性格だろうかと思う。

卸し金用意

早出して包丁2本を火造り焼入れ。兵庫県の砂鉄は吸炭が良いので硬くヤスリを全く受け付けない。それは承知していたので真中に粘りのある餅鉄を割り込んでいた。今8種類の玉鋼の在庫が有り火花試験で炭素量の低い玉鋼を取り出して真白くなる迄炉で高温にしてスプリングハンマーで6ミリ程に薄くして小さく切断する事を午後3時迄続ける。たたら製鉄で同じ炭、同じ風量で操業しても砂鉄の種類により玉鋼の炭素量は異なる。今全国でたたら製鉄は流行しているが、その使用する砂鉄を分析して置かなければどの様な鋼になるのか判らない。還元炎に適する炭も必要である。たたら炭の在る内に多くの材料を造って置きたい。今日は8人の出席で忙しかった。秋山君が剣鉈を研いでくれるので助かる。刀工試験迄あと2ヶ月。受験生の面倒も見なければならず忙しい一日であった。体力の限界はすでに通り越している。少し意識に問題が出始めている様である。

春雨

朝より雨が降り気温も低いので一気に包丁2本の鍛錬を終える。昨日焼入れした剣鉈も重ねを落とし手持ちを良くした。懸案の弟子も痛みが無ければ仕事をしても良いと告げられ一安心する。

元WBC世界フライ級王者徳山昌守氏から

先日元プロボクシング世界チャンピオン徳山氏が当日本刀伝習所で自家製玉鋼を使い、鋼を沸かし向鎚を打ち弟子と協力して一本の包丁を仕上げる。結婚十周年の記念に奥様には内緒で岡山に来訪された。包丁が成功するか、失敗するか一発勝負であり御夫婦の為に絶対一日で打ち上げねばならなく、全員が頑張りサプライズプレゼントは大成功に終わり、本日徳山氏から御礼の葉書きを頂く。当日はサインも頂き包丁を持って記念撮影。ネットでの包丁注文は失敗すれば又打ち直すだけの時間的余裕があるが、結婚記念等の包丁は当人を混じえて当日限りの勝負であるので失敗は許されない。緊張の一日であるが出来上がった時の達成感は何物にも代えがたい。有難う御座いました。
チャンピオン来所

剣鉈

肉体的には朝体中が痛くて起きるのがやっとであったが、どうしても剣鉈の事が気になっていたので早出して鍛える。精神的には気力十分である。三種類の玉鋼を積み沸かし鍛肌を意図的に出してみたいと思っていたので、鍛錬回数を減らし大板目、柾目流れると部分的に鋼の鍛目が出て面白い。しかし焼入れ時鍛目が割れて傷になる事もあるので焼入れ温度が大事である。注文主は斬れ味と共に鍛肌も気にしているのでそれに応えた作である。刃渡り30cm 身幅5cm強 重ね8mm。刀を造るだけの材料を使う。何とか夕方迄に焼入れをしたかったが間に合わず明日午前中となる。
秋山君が関東地方の砂鉄45キロを吹いて15キロ余りの玉鋼を造る。他の弟子は鍛冶研ぎと脇差の火造りを行ない一日を終える。
土日と腹痛で寝ていた弟子が病院で腎臓結石と診断され明日は専門の病院に行く事となる。刀造りに影響が無ければ良いのだが・・

ニューヨークから

午前中脇差の焼き入れを行ない荒研ぎをしていると傷が出て失敗作となる。手間暇かけてやっと出来たと思ったが気分は一転落ち込む。手造りであるので失敗も致し方ないが気持ちの切り替えの為明日は注文の剣鉈を造る事にする。午後は予約の有った方が来訪され昨日と同じく一時間半に亘り製鉄と工程説明を行い、弟子による古式折り返し鍛錬を見学。やはり今日も語学力の無さを痛切に感ずる。かつての敵は今日の友「アメリカと日本は友達です」と述べると日本語で「アリガトウ」と返事が有る。今やネットを通じ全世界から日本刀製作の見学者が訪れる様になった。これから若い弟子達は学校に残して来た英語を思い出して欲しい。明日は書店で英会話の本を求めたい。

言語

予定通りにたたら炉解体前にフランス人御夫婦と日本人御夫婦が来所。早速解体して玉鋼を取り出して切断。その後展示場で近代製鉄とたたら製鉄の違いや砂鉄から日本刀が出来る迄の全行程を説明。日本人御夫婦が同時通訳をして頂くがフランス語は全く判らず、判るのは固有名詞のみである。一時間半に亘り折り返し鍛錬迄見て頂き御別れ後、次々と夕方迄来客があり脇差の焼入れは明日に廻す。近年は外國人来客も増えて来た。やはり世界共通語として英語が必要となって来た。まだヨーロッパからの来客予定もある。少しだけでも英会話の勉強をしなければならないが、手っ取り早く翻訳機でも買わなければならない。どうも私の発音では全く通じない。もう少し言語の勉強をしておくべきだった。今や日本刀は世界の鉄の芸術品として見られる時代になって来た事を感ずる。

見学

どうしても時間内にせんかけが出来ない弟子が半日私の仕事を見学。問題解決は手鎚で刀身の平面を正確に出しておく事である。日本刀の断面を半分に切れば相似形になる。他の受験生も火造りをしているが刃の打ち出しは必ず表裏同じ角度でなければ相似形にならない。午後は受験生の火造りをゆっくり見学する。明日まとめて指摘しなければならない。殆どが工業高校出身なので理解出来なければならないはずだが出来ない。説明して見せても出来なければ私も打つ手が無い。

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