刀鍛冶の日々

全国放送

昨夜BSジャパンで「備前長船刀匠」として30分番組の中で20分程伝習所の紹介があり、たたら製鉄や弟子の日常を見て頂き、全国の皆様に刀にかける思いを知って頂き、今日は多数の方々よりH・Pにアクセスや御電話で、問い合わせや刀の注文を頂き、日本経済新聞社に深く感謝を致すと共に、取材陣の方々にも厚く御礼を申し上げます。

番組では刀造りの一部分の放送でありましたが、日本で唯一手抜きのない作刀順序をたたら製鉄から一貫して焼入れ迄70分に渡り、収録したDVDをH・Pで販売しています。各工程の説明から私の見解を伸べていますので、仕事の事を御電話等で伸べにくい点も多々有りますので、是非御覧頂ければ刀の製作方法全てが判ると思います。

今白内障で刀や包丁造りには時間を要していますが、6月の手術が終われば以前通り又作刀に頑張れます。二番目の師は94才迄刀を打ち続けました。三番目の師も70才で現在も作刀を続けています。

私も師の年齢を越え、砂鉄よりの刀造りを続けて行きたいと思うし、修行に励む弟子が一人前に成って巣立つ迄はなんとか現役を続けたいと願っています。

今日も弟子は火造りの終わった脇差にせん、やすりかけをして焼入れ間近に迫って仕事をしています。弟子達の親子さんも久し振りに成長した子供をテレビで見た事と思います。刀工資格を得た弟子はもう少し勉強させて、一人前の刀工としたいし、残った弟子はなんとか刀工試験に合格する様元気で頑張っていますので、御安心の程を。

今だ両親に合った事も無い弟子もいますが、合格したら又一人前になって卒業する時は一度御会いしてみたいです。
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造り込み

朝より炭素量の低い降し金を鍛えて心鉄として、出来ていた炭素量の高い皮鉄をU型にしていた中に、組み入れて沸かして鍛着して伸ばす。(甲伏せと言う方法)

日本刀は折れず、曲がらず、良く斬れなければ武器でなく、戦の途中に刀が折れるのを最悪とする。折れれば命がなくなる。折れるのを防ぐ為に日本刀は硬軟の鋼を各伝法により、組み合わせ強度を保ったのである。

しかし使われる事のなくなった現代では、心鉄を入れない刀も沢山出ている。低い炭素量の心鉄を入れると高い刃文が焼きずらく、又炭素量の違いで鍛接面で棟割れも出やすいので、どうしても手抜きの刀が出る。心鉄があるかないかは、レントゲン検査か切断しなければ判らない。

製鉄方法の変化でどうしても、鋼は時代が下る程粘りが失われて来るので、市販の玉鋼を使用する刀工は心鉄を入れなければ折れる確率が非常に高い。

文化庁の試験では鍛えた鋼を二つに切り、心鉄も皮鉄も同一の鋼で造り込みをさせているので、焼入れ後の姿直しで脇差が多数折れているのである。こんな試験を行うよりは心鉄は自宅で鍛えて持参したほうが良いと思う。

今日は組み合わせて1尺8寸迄伸ばすが、炭がなくなり早めに仕事を置く、県内産の炭が間に合わないので岩手県に炭を注文。4月2日位には到着の予定。


白内障で左目も痛みが取れず、白いカーテンが掛かるようで見えずらく、眼底検査のレントゲンをとって手術の予約を入れる。弟子の刀工試験が6月5日迄あるので、6月11日にする。右目は一年半前に手術をしているが、火の玉が目に入り、大きく角膜を傷つけて垂直な線が歪んで見えるので困っていたが、糖尿病の血糖値も最近は下がり、手術の条件は整っている。

糖尿病が有るので正常には戻らないが、サングラスをかけなくても鋼を鍛える事が出来るようになれば、あと五年位は刀を打ち続ける事が出来るのではないだろうかと思う。

健康第一

私のかぜが治らず、毎日咳が出ていたので、昨日は妻が喉の痛みを訴えて寝こむ。今朝迄咳が出たり息苦しい、眠る事が出来なく、頭痛激しく昼迄休む。午後は長船へ出て受験生の火造りを見る。試験迄あと2ヶ月となり、受験生も頑張っているので、上手になって来る。早めに帰りて眼科へ出掛けるが、午後は休診、目の痛みは治らず。

本日生を受けて65年、昨年末には父の歳も超えた、体力も気力も十分である。あとは目を大事にして、残す刀を多く造りたいものである。

降し金

一ヶ月余り県内産の炭が入荷しなく、受験生の使用する炭が少なくなっているので、炭を多量に使用するたたら製鉄が出来なく、刀の心鉄にする鋼が無くなり、今朝から降し金をして心鉄を造る。大きな玉鋼を切断する時に小粒の鉄片が飛び散ったのを磁石で集めて置くが、小粒でも砂鉄から造った鋼である。

しかし大きくまとまっていないので、使いずらいので、火床の中に炭を入れて羽口(通風口)上に炭を3糎(1寸)の厚さに敷き、その上に小粒の玉鋼を1キロを敷く。これを3段重ねとして着火。

送風開始して約15分もすると小粒の玉鋼が炭の中の炭素を吸収して、2キロ程の玉鋼が出来る。皮鉄用に炭素量の高い物にするのか、心鉄用に低炭素にするかは長年の経験を用する。

昼迄に心鉄用に6キロの鋼を造り、ワイヤブラシで磨いて準備は完了。弟子が岩手県産の上質な松を切って鍛錬の用意が出来ているが、かぜが治らず体調が悪く、失敗するよりはしない方が良いので止める。

先日も世間では有名刀工と言われる刀工試験官が心鉄は悪い鉄を使用するとDVDで伸べていたが、決して悪い鉄ではなく炭素量の低い物であって、鋼は上質の物を全んどの刀工は使用しているのが現場である。

DVDでは江戸期の古釘や金物を降し金にして、市販の玉鋼に混入しているが江戸期には日用鉄器や釘は最低の材料を使用している事を知っているのだろうかと思う。もし知っているのではれば、心鉄に悪い材料を使用しているのが正解である。

江戸期の鉄を降し金にしても、それは自家製鋼ではなく江戸期の人の作である。もし現代の市販の玉鋼が良いならば、その玉鋼でのみ刀を造るであろう。欠点が有るので古鉄を混入しなければならないのだろう。

市販の玉鋼はたたら製鉄時に使用している土壁に、アルミの酸化物であるアルミナが鋼の中に溶け込むので、もろさや鍛伸性が少なく、自分でたたら製鉄が出来無いので、玉鋼以外を求めて古鉄を使用しているのだろうと弟子に語る。

弟子は伝習所以外の仕事を全んど知らないので、他刀工のDVDを求めて見ているのであろう。昨年の刀工試験でも模範演技として短刀を造って弟子に見せたが、槌で打たずグラインダーで削ってみせたそうであるが、弟子がそれで当り前だと思ったら誤解を与える。試験官は自分に甘く他人に厳しくは、反対ではないか。

刀工の使用する材料は多岐にわたっている。いつも自分が使用する鋼を持参して試験をして、出来上がりを窓明けして見て、技術を判断するべきである。市販の同一の玉鋼は誰が造っても金太郎飴である。文化庁はこの事を判って刀工試験をしないから、刀工試験に合格しても専業の刀鍛冶が残らないのである。

市販の玉鋼に問題が有るならば、それを降し金にして鉄質を変えるのも、降し金の技術であるが、出来合いの鉄を降し金にするのと、砂鉄を吹いて鋼を造るのは技術に雲泥の差が有る。戦後刀工で始めて砂鉄より刀を造った今泉俊光先生に教えて頂いた技術を、今いる八名の弟子に受け継いでもらわねばならない。教育とは後継者を育てる事である。

スイスより

今日は休日であったが、遠くスイスより予約があったので、休日を振替えて脇差の皮鉄鍛錬と心鉄を合わせる造り込みの実演を見て頂く。スイスは地方により英語、独語、仏語と違うので、言葉を心配していたが、幸いに女性が青森県出身であったので、刀造りの説明も速く、二人揃って刀の勉強もしているし、日本人顔負けの知識である。

展示場で工程の実物の説明、仕上がりの太刀も見て頂き、記念撮影。私の刀造りの全行程のDVDを心ばかりの御土産に。最近は伝習所に訪れる外国人の全んどは日本人女性と結婚して、日本の伝統文化に関心を持っている。

毎週無料公開をしているのは、全国で当伝習所だけである。全国にせめて五カ所位は無料公開をして日本人にも、外国人にも日本の伝統文化を紹介出来る場所が欲しいものである、そうすれば日本人にも外国人にも長い日本の歴史と文化を理解してもらえるし、誇りも出て来る。

文化庁は古い文化財を守る事に重点を置くだけではなく、現代も続く日本刀製作の学校を造り、後継者を国で育てるのも、文化事業だと思う。

予約制

昨日も今日も私のブログを見ている御客さんが訪れ、砂鉄や製鉄、刀造りの姿勢を話し合い受験生の仕事を見て頂く。最近は予約制にしてあるので、弟子の仕事の段取り変えもなく、受験準備が順調に進み試験に向けての技術も伸びている。午前は金沢君、午後は谷口君と積み沸かしも上手になる。


明日はスイスから見学者4名の予定。今月は世界3カ国から来訪、4月はすでにアメリカ、イギリスからも予約が入っている。外国人に日本の伝統技術を見せる古都も全てHP等による発信である。

ブログ発信

刀鍛冶の日々と題して5年10ヶ月もブログを書き続け、文章を鳴海君がインターネットに打ち込んでくれた。社会通念上もう武士は存在していないので、刀は必要ないし刀鍛冶なんて、現代の世の中に居ないと思っている若者は沢山いると思うし、年配の方でもそう思う方もいる。

刀鍛冶を知っている方でも刀鍛冶を専業とする者が、全国で50名程しか残っていない事を知る人は少なく、ましてや刀鍛冶の生活、毎日のくらしを知る人は全んどいない。

日本精神の上に立脚して、民族の魂を打っている自覚がないと、刀鍛冶を続けるのはむつかしいと思う。どうしても物質優先の社会に流されやすい。

刀鍛冶としての毎日の赤裸々な家庭生活や鍛冶場における、刀造りの日々を昭和、平成の御世に生きた証を刀に残し、発信手段の発達した現代に文章にして、私の刀鍛冶の生き方をを通して刀造りを知って頂くのも私の使命だと思い、ブログを書き続け刀鍛冶に成りたいと若者が門を叩き、弟子となり日本の伝統を守る後継者が出て来た。

伝習所設立八年で三名が刀鍛冶となり、残り五名が合格出来れば伝習所の初期の目的は達成される。
又最近はブログを見ていますと言って見学に訪れて頂く方々も増え、刀造りに感心を持って頂いてる。元気な内はブログを続けたい。

今日も受験生五名が必死に刀を打ち続けている姿を見て頂き、少しでも刀造りを理解して頂ければ幸いである。

体調悪し

今日は刀の心金を鍛える予定であったが、体調が悪く昼迄寝る。午後は受験生の事が気になり長船へ、まだ到らない面が多々あり減点対象となる。全員思う様に進まないが、これだけは自分が受ける試験なので頑張るしかない。個人の能力と努力だけはむつかしい問題である。

鳴海君の火造りは良かったので、反り付をして終わる。やはり刀工試験に合格した者と受験生の差は大きい。今回のかぜは治りが遅いので早めに帰宅。一日本格的な雨が続き寒し。

皮鉄完

やっと皮鉄を鍛え終わる。国東半島の鋼は炭素量が高く、随分と手間が入り全体の3割程の量となり、折角遠くより届けて頂いたのに申し訳なく思う。結局10キロの鋼が鍛えて1.2キロの皮鉄となる。

疲れ果て心鉄を鍛える気力もなくなり、気晴らしに包丁の地金を鍛える。随分と楽である。地金も刃文も関係なく、斬味が良ければ良いのだが、炭素量を下げないのと鋼の粘りを出すのがむつかしいが、包丁鍛冶にも市販の玉鋼を使う刀鍛冶もむつかしい技術が、自家製鋼では楽々と仕上げる事の出来る優越感が有るので、やりがいが有り楽しいものである。

特別公開

体調が勝れず微熱であるも、20名余りの予約が有ったので準備をして、午後の古式折り返し鍛錬に入る。横座は鳴海君。受験生の大高、谷口、菊池君が向槌で通す。

見学者も初めてであり、大変感動して頂き改めて日本の伝統技術が若い弟子達が受け継いでいる事を知って頂く。古式折り返し鍛錬は良いのだが、積み沸かしや火造りに問題のある弟子もいて心配である。

刀工試験を受ける弟子達の履歴書も全員揃ったので、必要書類を揃えて文化庁に提出するだけである。受験日も毎日近づいている。後悔のない事を願っている。

明日は代休とするが、受験生は休みなし、人生一回や二回本気になって頑張る時が有っても良いものである。

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