刀鍛冶の日々

昨日に続き折り返し鍛錬。しかし今日の鋼は先週と同じで、銑気で炭素量は1%を軽く超えているのでてこずる。昼過ぎにやっと6回折り返す。4回迄は空気の入ったふくれが出て困るが、6回折り返すと小さなふくれも納まる。先週と全く同じ工程をたどる。

先週は心配して地金を包丁にするが、包丁にすると斬味、鋼の粘りも良く刀にしても良かったと思うので、今回は刀の地金にする。合計8kgの鋼が6回折り返して3.5kgしか残らず、来週はあと2kgを鍛えて下鍛えは終わる予定。

これ程手間取るとは思わなかった。鋼の炭素量が高いのは砂鉄を吹く時の炭の火力が強いのか、それとも砂鉄の吸炭力が強かった為なるか。鋼も大きく減り毎日疲れる。
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午後休む

出来れば国東半島の砂鉄100%で刀を造りたかったが、材料不足で致し方なく、東北日本海側の砂鉄の鋼を鍛え始める。北陸より東北地方の花崗岩に含まれる砂鉄は、成分的には良く似て安定した鋼になる。

1昨年東北地方を旅行した方より頂いたものである。半日をかけて2kgの鋼をまとめて6回折り返すともう昼である。昼食をすまして昼寝をすると一気に疲れが出て来る。明日も鍛錬なので午後は体を休めて横たわる。目の痛みも続く。

包丁注文

国東半島の砂鉄が刀に成らず、包丁5本になった。私のブログを見ていた方より今朝電話が有り、注文が来たので残り1本となる。苦労した地金が包丁になり悲しい気分になったり、包丁が売れてうれしくなったり複雑な気分である。

しかしこれで弟子の使う炭代が出たので、うれしいのかな。

熊本県より

大雨の朝、県内の炭焼屋さんより180俵の炭が入荷、全員が雨に濡れながら降ろして炭を山と積む。この炭でなんとか3月中を凌がなければ、4月中旬迄炭が焼きあがらないので、県外から高い運送料を払って入荷しなければならない。

朝早くから東北の砂鉄を吹きながらI君、K君、T君等受験者5名が前日の作刀を続ける。Y君は刀の鍛錬、それを2名が手伝う。全員で11名が作業。全てに目が廻らなく、たたら製鉄を重点にする。途中熊本ナンバーの方が来客、2月始めに造って熊本県の方に買って頂いた包丁の注文者が遠くから伝習所を訪れる。

一度伝習所を訪れたいと思い、大雨の中を訪れ包丁の斬味に満足して、もう一本注文したい旨のありがたいうれしい話しであり、砂鉄よりの鋼造りや作刀工程の見本を説明して、たたら製鉄の途中を見て頂き、最後に記念撮影。帰路の安全を願う。

今日も寸法は違うが、新たな注文も県外より頂く。昨日焼入れをした包丁をN君が3本研ぎ上げて試斬。非常に斬味も良く満足。夕方には一月末に研ぎに出していた刀の下研ぎを研師宅に見に行き帰宅。研師宅は同じ団地内に在り、車で4~5分程である。

種々の事情もあり妻は現在の家を終の住家としたが、私は一人で暮している方が刀造りには自由であるので、別居していたが二年前に同居、刀鍛冶と研師は近くに居るのが便利であるので、私が折れたが二人にとってそれが正解であったかも知れない。

五日振り

久し振りに長船へ出て受験生の進行具合を見るが、順調に仕事が進んでいるのはK君のみで、他の受験生は試験に決められた工程時間内で脇差が造られていない。いくら上手な仕事であっても、時間内に出来なければ不合格である。

受験生6名中現在合格の可能性の有る者は1名か2名である。他の受験生は作業効率を上げないと合格出来無い。私がいなくても刀工のH君を指導に付けてある。これだけ受験生優先で鍛冶場を使用させ、脇差造りをしても出来無い。やはり刀鍛冶に不向きなのかと悩む。

先日刀用にと鍛えた鋼の地金を包丁にした所、注文が入ったので早速土置きをして焼入れをし、夕方迄に5本の荒研ぎを済ます。弟子にこの包丁全部が売れれば一ヶ月の炭代になる。俺は弟子の炭代稼ぎに包丁を造っている様なものだと零す。

この一、ニ年は刀工試験に合格しない者に時間を取られ、刀工試験に合格した者の刀造りの指導時間がなかったが、三月よりは週に一回刀工資格を持った弟子を集めて、刀造りの講習会を行いたい。刀工資格を持った卒業生は十名、来るものは拒まず。岩手県より炭入る。

積み沸かしについて

昨日鍛えた刀の地金は完全にふくれは抜けたが、この地金を刀にするには多少問題もあり、鍛錬途中なので思い切って包丁にする。刀と違って包丁は地肌等地金は問題なく、良く切斬れれば良いので、刀にして潰すよりは包丁にすれば材料代くらいにはなると思って自分を慰める。

室町時代後期より江戸期になると、たたら製鉄も全国的に大型になり、鋼も豊富になり鋼を薄くして焼入れをして割り、選鋼する水べし方法と積み沸かしが導入されて来たので、刀の地金はきれいになり、傷も少なくなり、鉱滓(スラグ)も少なく、鏡のような均一の地金となり面白くない。

おそらく古刀の地金は砂鉄を小型のたたら炉で製鋼して、小さな鋼であるので水べしをせずに炭素量が不揃いのまま鍛えてあるので、焼入れをしても地金の炭素量の違いにより、科学的変化が出るのであろう。

だから鉱滓(スラグ)も多いし鍛肌も良く出て面白い、リスクも多いが小型自家製鋼をして、水べしをしない方法で刀を造っている。

現在の日刀保玉鋼を使って刀を造ればふくれもあまり出ないし、刀に傷も出にくいし作業的には楽であるが、刀工全員が現代刀を造っても面白くない。

刀工試験で行う水べしや積み沸かしをしてもしなくても地金には変化がない、やはり砂鉄の種類を変えなければ地金は変わらないと思う。それと共に製鉄方法も研究しなければならないだろう。

悪戦苦闘

朝より国東半島の鍛えをするが、炭素量が高く銑(ずく)に近い部分が多い、強く沸かすと湯になり飛び散り、温度が弱いと鍛着しなく長時間苦闘。やっと4回折り返し鍛錬をしてまとまったと思ったが、今度は鋼の中に空気が入ったふくれが折り返す度に出て、タガネで切りながら沸かす。

大分県からわざ々持参して頂いた砂鉄をなんとか刀に仕上げたい。試作で包丁を1本造って状態を見ていたので、これなら行けると思っていたが甘かった。弟子が切った切炭もなくなったので、明日に備え長船に炭を取りに行くが疲れはてる。

火造り

朝、岩手県へ炭の注文をすると、夜には県内の炭屋さんから、3月の予定より炭が早く出来たので25日に持参との事。

M君が来て火造りを始めたので、刀の鍛えを止めてM君の仕事を見る。以前は注文もなくて練習も出来なかったが、最近は注文もあり、御客さんに御金を頂いて練習が出来るので、技術も上達して来たが、専業への道は遠い。

今は材料代、工作代を差し引くと手元には全んど残らない。苦しい今を乗り越えなければ専業の刀鍛冶になれない。頑張って欲しい。

国東半島砂鉄

鍛冶場-4℃と寒く、火を入れても炉の温度が上がらず、国東半島の砂鉄を吹いた鋼を刀用に鍛え始めるが、目減りの大きい鋼である。粘りはある鋼である。鍛え始めてやっと昼前に火床の温度は上がる。外に出ると光は春のような日差しである。

遠く大分県から持参して頂いた砂鉄であるので、なんとしても刀に変えたい。今日より4日間は赤坂鍛錬所で一人仕事の予定、受験生は4日間の工程表を造り、各自の仕事を進めている。

銘切

昨日に続き、受験生はH君から刀の火造りを2時間余り実習を受ける。Y君は中心仕立て、午後は銘切。この2、3年で随分と上手になる。「親方は目が悪いので代銘で切ります」と言うが、そのように新聞の活字のような銘では誰が切っても同じではないか。

現代刀は銘が上手だ、下手だとその様な事ばかり言っているが、数百年も経た古刀の銘は非常に雅味のある。作者本人でなければ切れなく、誰も真似の出来無い書体である。それが個性である。その個性のある銘と刀身が合うから本物である。

刀身の地金が出来無いから、せめて銘だけでもと言うのが若い刀である。銘は個性であり雅味がなければ面白くないと思う。

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