刀鍛冶の日々

鍛冶研完了

刀3口を鍛冶研ぎ(荒研ぎ)を済まして夕方研師宅へ下地押しに出して帰宅。これで一段落した。
三週間で炭175俵を使い切り、予備の岩手県産を使っていたが、明日地元産の炭180俵が入荷するとの電話があり、これも一段落。

国東半島の砂鉄で刀を造る前に2、3本の包丁を試作と思っていたが、今日も包丁の注文が入り、試作鋼の包丁も行き先が決まる。
2月も頑張って国東半島の刀一口を打ち上げたい。
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満足感

一日弟子の鍛錬を指導すると、自分が鍛錬をする何倍もの精神的疲れが発生する。しかし弟子が先日製作した出羽包丁の御客さんからメールが届いています。その内容は良く斬れますと御礼の伝言ですと告げられると、一日の疲れが全て吹き飛び満足感に浸る。

年末迄に手持ちの砂鉄4~5トン全ての配合実験は終わっているので、今迄以上に能率良く製作が出来る。この二ヶ月間は刀の製作も順調に進み、明日の鍛冶研ぎを終わればやっと完了する。

2月に入れば先日大分県の、国東半島の砂鉄で造った鋼で刀造りに入るが、刀の試作で数本の包丁を造ってみたい、私の使用した全国の砂鉄の中では、一番粒子も大きく面白い地金であるが、この砂鉄は入手が困難であり、最初にして最後の刀となる予定である。

かぜ

二週間近く菊池君がかぜを引き、やっと回復したと思ったが今日は寝こむ。金沢君もかぜで熱を出し昼で早退。
今岡山県にはインフルエンザ警報が出ているので心配である。

受験生3名が折り返し鍛錬と造り込みを練習するが、あまりに下手すぎる。火造りに至っては見たくない程で、いつ迄経っても上手にならないので悩む。

特訓効果

年末年始休日なしで受験準備をして、特に鍛伸性のない日刀保玉鋼を使用して、積み沸かしとまとめを正月2日より練習をさせた谷口君が、今日もたたら製鉄が終わった午後より横座に入り、向槌を指導して積み沸かして一枚の板としてまとめ、折り返し鍛錬をする。

この春で入門して4年になる私の最後の弟子。今年に入り受験生達は日刀保玉鋼の使用に慣れて上手になって来た。しかしながら各個人の技術差は大きく合格、不合格と別れるだろうと思う。

谷口君も沸かしや向槌は上手になるが、脇差の形にする火造りは今一歩も二歩も技術不足で練習中、受験迄あと4ヶ月を頑張ってなんとか合格して欲しい。

午前中は一人で砂鉄吹きをしながら、平田君の刀の火造りの指導、午後は受験生の折り返し鍛錬の指導をしながら、焼き入れ後に直した刀の刀身、中心仕立てをして一日を終わる。

プライド

長船鍛錬所を4日間も空けて、赤坂鍛錬所で刀を造っていたので、今日長船に出る。大高君には何十回となく判らない事は平田君に教えてもらって、仕事を進める事を言ってあるのに、平田君には全く指導を受けない。

後輩の平田君が刀工になり、先輩の大高君は何度受けても不合格であり、平田君に教えてもらう事をプライドが許さないようである。
刀工でない弟子は全員プライドは要らない。しかし下手であっても刀工の資格を取ればプライドを持って欲しい。

鳴海君は脇差用に自家製鋼で私が刀を造ると同量の鋼を使っても、鋼がもえて全んど材料が無くなっている。私の指導も受けず、勝手に自己流の仕事をしているからである。彼こそプライドが必要である。

昨日赤坂で焼入れをした刀を平田、鳴海、菊池君にそのままを見せて、曲がりを直し、姿を直し、途中々に手にとって見せて、説明をしながら昼迄かけて完成をさす。三人に今日の仕事が理解出来たであろうか。


刀工試験もあと4ヶ月となる。始めて受験する谷口君も、今日は脇差の焼入れを行うが、焼入れ温度が30~40℃高過ぎるようである。日中の焼入れは外が明るいので、慣れないとむつかしいが、夜のアルバイトがあるので致し方ない。

夜は研師宅に宗近君の造った脇差の途中経過を見に行く。

火事

朝、鍛錬所の手前で県道が一面真っ白になっている事に気付き、昨夜の雪が積もっているのかと思い、駐車場に車を停めてよく見ると、パチンコ玉位の結晶と泡が道路と側溝に埋め尽くしている。パトカーも2台いる。
よく見ると東隣の大家さん宅の離れの二階建てが全焼している。一階の天井から二階の屋根が抜け落ちている。

消防署と警察の合同調査、原因は確定していない様子である。早速長船鍛錬所へ電話をして、火の始末を告げる。弟子は火床の横に炭袋を置いたり、窓を閉めなく風が吹き抜け、火床の残火が飛ぶおそれもあり、度々注意しているが、よく忘れている。

身近で火事があると弟子を厳しく躾けないと、火を使う仕事だけに廻りに迷惑をかけて全てを失う事になる。火事の後だけに火を使う事をためらうが、昨日の刀に土置きをして焼入れをする。

明日長船に出て火の始末が出来ていなければ当分弟子には仕事をさせない事とする。火事を出してからでは遅い。

焼き入れ準備

明日の焼入れに備えて、火床の塗り直しと焼き入れ炭を切る。内面応力を抜いて多少曲がった刀を直し、荒研ぎを完了。セン、ヤスリがけをしていたが、朝よりの頭痛と目まいが止まず午後3時30分、早めに仕事を終える。
連日の不眠と仕事疲れが重なった為なるか。

赤坂鍛錬所は弟子は居なく、一人仕事なので、つい々仕事がオーバーになる。心では自制を求めながら仕事の楽しさに負けてしまい、夕方には疲れはてる毎日で、今日は早く寝る事とする。

火造り

昨日朝に荒素延べをした二尺三寸の刀を手槌で打ち、厚さ、幅を整えてから1.4kgの手槌で長方形に延ばされたフラットバー状の素延べ鉄を刀の形状に打つ。

最近は体力も落ち、目も見えにくく、焼入れ前迄の反り付けを終わるともう四時である。火造りは日中の明るい時間でなければ出来なくなって来た。

体力も気力も残っている今刀を打たねば、年々能力は落ちて来る。しかし後五年位は現役で有りたい。弟子も早く一人前にして故郷へ帰したいが、これだけは判らない。

専業刀工

一日卒業生の折り返し鍛錬を見る、本人の能力にもよるが、文化庁の刀工試験に合格しても、やはり5年位修行しなければ生活出来る技術になれないと思う。文化庁の試験は刀を造っても良いと言うだけの資格である。こんな試験を受けても生活は出来無いが、造っても良い資格だけは合格して欲しいものである。

修行して自信が出来れば伝習所の卒業試験を受けて欲しい。文化庁の試験に合格しただけで、一人前だと思ったら大間違いである。刀工として残るのは1割程である現実に目を向けなければならない。もっと々修行して、専業の刀工になって欲しい。

不用の弟子

昨日に続き、今日は石原君がたたら製鉄、歩留まり30%14kgの玉鋼が出来る。砂鉄中85%~90%のFe含有量だから当然かも知れない。
夜は眠れなく連日の早出、昼は何度言っても出来無い受験生の面倒を見なければならなく疲れ切る。

鍛錬所内には焼入れをした練習用の脇差を置く事を禁止してあるのに、今日も大高君と受験生の誰かが置いてある。脇差は武器である、もし不審者が盗み、犯罪に使用されると大変である。

何度言っても判らないので、脇差を切断し、脱ぎ捨てた作務衣2着を火の中に投げて焼く。ここ迄しなければ判らない弟子達はもう不用である。鍛冶場は命をかけた真剣勝負の場である。親方の言う事を聞けない弟子だから仕事が出来無いのだ。

昨日も朝礼で汚れた手袋は鍛冶場に置くなと言ったばかりだが、今日も脱ぎ捨ててある。よくもこんな不用の弟子達が集まったものである。

今春には65才であるので、身辺整理を始める、いつ迄経っても不合格の弟子は荷物をまとめて帰れと言ってあるが、どうも本気にはなれない様である。どこの世界でもこんな人間は居るものである。

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