刀鍛冶の日々

赤坂で

3週間ぶりに赤坂で、スプリングハンマーを使って包丁の鍛錬をする。赤白く湧いた鋼をタンタンタンとリズミカルに心地良い音を耳にしながら打つ。仕事量は長船の倍のスピードで進む。モーターの振動音は多少気になるが、慣れるであろう。

36年間打ち続け弟子を10人も卒業させたが、残り6名の弟子を出す迄は故障もなく打ち続けて欲しい。昨日造った玉鋼で鍛えるが、刀用に砂鉄を混合した、原価の高い鋼を使用するが、在庫の鋼もなく納期に間に合わせなければならないので、致し方ないが、最近は仕事に体が付いてゆかなく、体力の限界を感じる。

多少原価の高い鋼を使っても、鍛錬の楽な玉鋼を利用して体力の消耗を防がねばならない。目の手術の後は沸かしの強烈な白い光をさける為、ガス溶接用のサングラスをして鍛えていたので、温度が多少狂う事も有ったが、今日からは普通のサングラスにしたので、沸かしの温度も見やすくなったが、その分目が痛む。

今は包丁の鍛錬で体が楽であるが早く寒くなって欲しい。今日も鍛錬をしていると、室内は30度を超え、新品のモーターが熱くなるので、水で冷やしながら鍛錬を進める。
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小雨の一日

朝よりたたら炉の羽口取り替え、今日は全員で10名を超えるので、急遽にたたら製鉄を始め、受験生は積み沸かしの練習をさすが苦労している。同じく脇差の火造りもダメである。

午後は2年程前に私のNHK海外放送を見て、どうしても刀造りの現場を見たくて、イタリアからの来客の為に古式折り返し鍛錬を平田君が横座に入り、向槌を使って見せる。やはり外人にはこの場面が感動を与える様である。

折角だから、たたら製鉄を途中止めにして、炉を解体して玉鋼を取り出し、一向の皆様に見せる。その後も次々と来客があり、折り返し鍛錬で対応。感動して頂き、日本刀と同じ方法で造られた日本刀包丁を買って頂き、当方も感動。



久しぶりに一年余り前迄電柱に立て看板をして、大入りの満員の頃を思い出させる。インターネット販売よりも折り返し鍛錬の実演を見て頂く方が、より日本の伝統技術に興味を持ってもらえる。

弟子の練習を兼ねた無料公開であるが、仕事の出来る弟子と出来無い弟子に別れて来る、弟子自身の器用さと努力、工夫が問題であるが、持って生まれた器用さだけはどうしようもない部分もあり、選ばれた者だけが刀工となれる厳しい伝統工芸の世界であると思う。

県内産炭入荷始まる

山本君が砂鉄吹き、夕方には大きな玉鋼を水中に投入して、注文刀の材料造りを終える。朝より荒い仕事をする弟子に注意、来年の受験を心配。一工程々を丁寧に仕上げなければ、最終的に良い仕事が出来ない。直ぐに機械で研ぎ減す悪い習慣が身に着いた様である。

谷口君が日刀保玉鋼を残り少ない炭で皮鉄を鍛え終わる。夕方には予定より早く県内の炭屋さんより165俵の炭が入荷し、一安堵。

刀以外に弟子は休日に包丁造りの内職をして生活費を捻出しているので、予定していた以上に炭を消費する。弟子も毎夜のアルバイトがあるわけでなく、包丁造りの内職をしなければ刀工修行が出来なく、止むを得ない。

今日も包丁の注文が入る。注文が有る限りは地金の試作を兼ねて、弟子の使う炭代を稼いでおかねばならぬ。玉鋼の在庫も無くなったので、砂鉄吹きもしなければならないし忙しい。今日は米国より来客。明日はイタリアより6名の見学者の予定も有る。毎日々が過ぎるのが早く感じられる今日この頃。

モーター取替

午前中はせんかけ、午後は刺身包丁の研ぎ、夕方にやっと電気工事店より新品のモーターを持って取り替えに来る。

シャフトのピンが取れなくて、無理矢理叩き込んで付けるが、このモーターが次に取り替える頃は隠退しているだろう。来週は少し調整をして鍛錬開始、今日も2本の包丁注文が入るので、あと4、5日は包丁を造らねばならない。今日の午後は自家製玉鋼で造った刺身包丁を研ぐが、非常に粘りもあり斬味も良く、研ぎ易かった。

先日迄は日刀保玉鋼を捨てるのはもったいないと思い、自家製玉鋼に混ぜて使用していたが、刃の硬さが問題であったり、この際思い切って日刀保玉鋼の混入は止めとする。

連日の鍛えで炭も在庫7俵となり、明日は炭を減さない為に休日とする。弟子は炭を使わなくても出来る仕事があるので、実質的には私一人が休みとなり、赤坂鍛錬所でせんかけの仕事をする。

岩手県の炭もなくなり、岡山県産の炭が入荷する予定であったが、遅れているので、予備の炭を使ってしのがなければならない状態となる。

万一を考え赤坂に残していた炭も持参する。岩手県産の炭は上質であるが、運賃が高いので県内産の1.5倍の値段であるので、多量に使用するには差額が大きすぎる。

県内はほぼ農作業が終わったので来春にかけて、炭焼きが始まるので助かる。いつも炭には苦労するが、炭の質以前に炭焼さんがいなくなるのではと心配である。

点検

スプリングハンマーのモーター取替も近づいているので、モーターのとりはずし、毎年末に行う油落としを行うが、ハンマーは油とグリス、そして炭の粉が固まり、油落としのスプレー8缶、多量の古新聞、ウエスを使い大体の汚れを落とすと部品のナット4本が抜け落ちる寸前である。

最近ハンマーの調子が悪いのはボルトがゆるんでいたり、ナットが落ちている為であった。早めの点検が故障を事前に防いだ。取り外したモーターも十年使うと油と炭の粉が付着していたので、2、3年はよくモーターが発熱したわけである。


仕事も立て込み、十分な点検がなされていなかったと反省、スプリングハンマーが直れば新たな注文刀に鍛錬が始まる。それ迄に体験会に使用する包丁の火造りを終えなければならない。午後遅くには包丁3本を火造り、合計8本を打ち終える。あと4本打てば終了である。

来訪

赤坂で包丁の火造りを始めた所に電気工事店が来て、モーターの種類を見て発注準備をしてくれたので、10月末位にはモーターの取替が出来るのではないかと思い。Vベルト2本も新調する事とした。

その後数年前に来訪された、元々広島県で父親が野鍛冶をしていて、道具一式は有るので村おこしの為に、村の鍛冶屋を始めたい。

それも山を削り、かんな流しで砂鉄を集める事を、村内より了解して頂いているので、たたら製鉄より始めて包丁造り、体験学習会もしたく、早めに仕事を辞めたので、鍛冶屋の技術を習いたいとの事であるので、快く受ける。


江戸時代も刀工が刀以外の刃物を造っていた。平和になった江戸期は、刀の注文も刀工数も少なくなり、刀鍛冶から刃物鍛冶へ転向したり兼業をしたりで、生活を支えた事は歴史が証明している。

幕末迄は砂鉄を材料とした和鉄であったので、全ての鍛冶職は折り返し鍛錬を必要としたが、現代の近代製鉄は折り返し鍛錬をしなくても、地金は出来ているので、形にして焼入れを行えば刃物になる。

今の世の中に古式の鋼造り、折り返し鍛錬、刃物造りと日本の伝統技術を求める人がいる事はうれしい事である。今日は包丁1本の焼入れと5本の火造りで1日を終える。

目覚め

今日も帰宅後は昼間の疲れで眠り、夜半目覚めるが種々の事が脳裏に浮かび、ブログを書く。金沢君の砂鉄吹きに使った砂鉄の事、最近の日刀保玉鋼を混入した包丁の地金の事、材料を変更しようとか考え、又注文の刀の事等と全て仕事に関する事ばかりである。

心に余裕の無くなった為であるか、明日の為にもう一度寝なければ。

注文増

朝から自家製鉄と日刀保玉鋼の混合で包丁を鍛える。全く性質の異なる鋼で接着も悪く。午後2時でやっと鍛錬が終わるも疲れはて、包丁2本分の素延べは明日にして、弟子に土、日曜日に公開鍛錬に用いる鋼造りをさす。
やっと注文の包丁を鍛え終わり、来週の休みには火造りの予定であったが、今日は3本もの包丁注文があり、来週も鍛錬しなければならない。

30年余り使用した、赤坂鍛錬所の効率の良いスプリングハンマーと火床が使用出来なく、長船伝習所は倍の時間がかかり、包丁造りもままならぬ。夜は電気工事店に出向くが、明かりは消えたままである。

時間割当て

夏に比べて随分と涼しくなり、なんとか一日仕事が出来る様になり、今日も時間を見ながら焼入れ、火造り、研ぎ、最後は阿部君の鍛錬で終わる。弟子の人数が多い為に、一人当りの作業時間が少なく悩むが、見学も又修行である。

刀工試験落第の弟子が出た為に、次々と予定が繰延べとなり、刀造りも思うにならないが、あと2週間もすれば、包丁も終わるので、少し時間割り当ても楽になる。

赤坂鍛錬所はモーターの修理が出来ていないので、スプリングハンマーが使用出来ない。

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