刀鍛冶の日々

包丁完成

早朝より包丁の土置、焼入れ、平田、大高、菊池君が見学、弟子が朝食をとっている間に反り直しをして、荒研ぎをすます。

一番に谷口君が積み沸かし、折り返し鍛錬に入る。昨日は阿部君が一番に入る事にしていたが、寝すぎて遅れる。不合格であるのに気合が入っていない。10時を過ぎてからやっと2番には入る。仕事が遅い。

弟子の仕事を見ながら包丁を研ぐ。鳥取県で見つけた砂鉄で分析済みであるので、非常によく斬れる。午後は菊池君の水べし、大高君の積み沸かし鍛錬。全体に良くなって来た。受験生に火床を取られ他は見学、明日は雨が降るとの予報なので、たたら炉を塗り直して明日に備える。

毎日々早朝よりの仕事なので、疲れる。刀の研師、彫物師にも用事が有り、身の休まるのは寝ている時のみ。昨夜は今日の谷口君の日刀保玉鋼のくずを降し金にした物に、たたら製鉄を途中で止めて、2kg程出来た自家製玉鋼の混合比率を考えている間に眠ってしまったが、混合具合も良くグラインダーによる火花試験でも高炭素鋼の火花が出て、粘りも良く出ている。

昔は硬い日刀保玉鋼に、江戸時代の古鉄を混合して柔らかさを出していたが、もう江戸時代の古鉄もほとんど手に入らないので、若い刀鍛冶は刀の焼入れ時に刀が割れる刃切れに苦労しているようである。自分で小型砂鉄吹きを研究しなければ解決出来ないと思う。
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暑し

砂鉄吹きを始めるが、鍛冶場は朝9時なのに既に40度を越えている。熱中症になるのを心配してたたら製鉄を中止する。

イスに腰かけて弟子の鍛錬を見学するが、あまりにも暑いので手打ちの折り返し鍛錬をベルトハンマーで打ち、ふいごは中止で送風機を使用するも、弟子達は汗まみれになっていて、少しかわいそうであるが来年の合格を目指す以上は休む事も出来ず一、二時間を限度に続行。

刀工試験が終わったので夏迄に積み沸かし、折り返し鍛錬を終える予定であったが、一気に夏になり、予定は大きくずれる。

入荷した炭も一週間で約半分となり、炭不足も予定外である。不合格となった弟子は材料代の日刀保玉鋼と炭代は自己負担となり、出来るだけ安い炭を買いたいがこれも限度があり厳しい。

地金造り

今日も包丁の注文、朝から昼迄赤坂鍛錬所で包丁の地金を造る。炭も玉鋼もなくなったので、長船鍛錬所へ行くと秋山君が刀の皮鉄をU型に曲げるのに温度が低い為に割れていた。

昨日の宗近君に続いて2人共に、折角鍛えた皮鉄を割っている。秋山君は私が手直し出来る範囲である。

連日の猛暑で梅雨明けも間近であり予定を変えてたたら炉を塗り、明日砂鉄吹きをする。梅雨に入っても岡山県南部はほとんど雨が降らなく、温度が高くて砂鉄吹きが出来なく、秋迄の玉鋼の在庫が造れない。

暑いのを承知で大高君が補助をしてくれたので、包丁の地金を鍛える。もう倒れるのではないかと思いつつ、夕方迄鍛える。目が痛み、かすみ、気力だけで鍛錬をした一日である。

包丁注文の日

弟子の休日に先日の玉鋼を使って、朝の涼しい時間に刺身包丁の地金を1本鍛えて見るが、火花試験でそれほど炭素量が高くないのに、焼入れ感度は非常によいので、この地鉄は次の刀の材料にする事とする。

夕方迄2週間前に焼入れをした刀の姿修正と荒研ぎを済まして、午後に注文のあった文化包丁を造る為の炭を取りに長船鍛錬所へ。
宗近君が脇差を造っているので、見なければと思ったが、皮鉄が割れて失敗したので帰宅したとの事。

弟子全員は夜のアルバイトがなかったので、作刀工程の注意事項等を話して帰宅。明日は久し振りの休日にしようかと思っていたが、包丁の注文が入った。

午前中位はくもり空で気温も34度位の予報なので、包丁の鍛えと火造り迄進めそうである。うまく進むと焼入れが出来るかもしれない。
明日の包丁造りに備えて今日は早く休む事とする。

今日も暑し

朝より3日続きの猛暑でたたら製鉄は中止して弟子の作業。高い日刀保玉鋼と炭を失ってゆく。空には入道雲が浮かび、大型扇風機3台が廻るが、火床の火は消えず6時迄フル回転。

只一人自家製鋼を使用した谷口君のみが調子良く、5回の折り返し鍛錬を終わり6、7回と私が仕上げチェックの沸かしをして、包丁用に素延べをして谷口君の上手になった火造りで終わる。今日は8人の作業で最後に大高君の再度の積み沸かしをして終了する。

秋山君も200kgの砂鉄を集めたと報告あり。台風5号も近づき明日は少し雨も降るかもしれないので、たたらと弟子の作業を並行したいと思っている。

毎日忙しく疲れが溜まる。梅雨なので少しは雨も欲しい、大地は乾き切った一週間であり、弟子達も疲れが出て来た。

時間割

足の痛みも引き、杖も不用となったので、今朝は6時より8時迄刀の上鍛8回を終わり、あと3回程折り返すと皮鉄が出来上がる。

大高、平田、谷口、菊池君の4人が見学、引き続き谷口君の折り返し、大高君、阿部君のテコ台造り、積み沸かし。自家製鋼の鍛接温度の幅広さに比べて、日刀保玉鋼は鍛接温度の幅が狭く、慣れていない弟子はてこずっている。一人々の持ち時間を交代で火床を使用しているので、仕事がはかどらない。

秋山君は自分の刀用の炭切りを終えているので、明日の砂鉄集めの準備、弟子が交代でたたら製鉄用の炭切りや炉の塗り替えをするが、天気予報は大きくずれて、晴れの暑い天気なので明日のたたら製鉄は無理のようである。

又今造っている刀も昨年末の注文刀であるが、大きく遅れている。昨年の春より受験生に時間をとられて予定が立てづらく、思うにまかせない毎日である。

カルシウム不足

昨日に続き5時30分出勤して、たたら炉組立て砂鉄吹き、昨日に続き同じ比率で砂鉄をブレンドして吹くも、昨日より3割も少ない玉鋼の量である。落胆する。スラグの抜けも好調であったが、原因を考えると砂鉄の中に貝殻の量が昨日よりも少なかったと思う。

炉内の上部にカルシウムが少ないと、鉄になりにくい事は科学で証明されている。思い返せば大きな原因である。もう一度分析表を見て計算すると間違いない。それともう一つ砂鉄の落下速度が速かった。炭の大きさが少し大きかったので、完全に還元化されていなかった。

しかし出来た玉鋼はスラグを含まず白く光り、最高の出来である。室内温度も40度を超えて、非常に暑かったが弟子は玉鋼を砕きテコ台にのせて積み沸かしの練習に大汗を流す。刀工試験不合格の弟子にとって暑い夏が始まる。岩手県より松炭が届く。

明日はアイルランドより見学があるので、暑いたたら製鉄は中止して古式折り返し鍛錬をして見せる事にして、来客がある迄は弟子に刀の鍛錬で下鍛えが終わった鋼を上鍛えをして見せる予定を告げる。

たたら製鉄

昨夜は足の痛みで朝迄寝る事が出来ず、今朝も2本の杖をたよりに仕事に出るが、鍛錬は出来ず、昨日持ち帰った砂鉄を弟子が吹く。スラグ抜きだけはなんとか出来た。

砂鉄の分析表を昨夜見ていたので、ブレンドは問題なく、日刀保並みの硬い玉鋼が出来るが、粘りがあるので品質は上出来である。

昨日砂鉄集めに行ってる間に、県内の炭屋さんが松炭70俵とたたら用炭100俵を納入していたので、足の具合が良くなる迄はたたら製鉄をして、玉鋼のストックを梅雨明け迄にしておきたい。鍛冶場は炭の山である。明日は岩手県からも炭が到着する。置き場所に困る。

弟子は日刀保玉鋼の水べしをして、明日の積み沸かしの用意をしている。一年前迄単独では非常に使いづらい砂鉄であったが、各砂鉄の分析表を見てブレンドの組み合わせを変えて、今ではなくてはならない砂鉄になって来た。

科学の力は本当にすばらしいと思う。与えられた玉鋼を全刀工が使って、同じ刀を造っても評価はされにくい。「折れず、曲がらず、良く切れる」刀は現代のたたら製法では無理があるとおもう。刀を求める方はその刀工がどんな鋼を使用しているのか、たずねてみないのだろうかと思う。

砂鉄集め

朝5時30分発、7時30分着、朝早く出たので、通常より30分早く着く、砂鉄25kgを4袋運んだら左足が痛み出す。痛い足をひきずり、杖をついて残り200kgを運ぶ。足はひきずりながらもうダメだと思うが、有る砂鉄を目の前にすれば運ぶのを止められない。

肩に背負った30kgのリュックが肩にくい込む。動けなくなったので砂浜に腰を下ろして貝殻を2時間拾う。たたら製鉄でカルシウムとして利用しなければ、この砂鉄はスラグが出ないので、鋼になりにくい、夜9時帰宅。

今年春迄に鍛えた最後の刀に先週焼入れをしていたので、今日は朝より刃文を見る為に研ぐ。先週は火床が湿ってしたので、焼入れに手間取り刀身も大きく曲がっていたが、研いで硝酸を着けて見ると、土置きとは少し違う刃文であったが気に入る。早速曲がり、反り直しの修正、姿直しを行う。

午前中は雨も降り鍛冶場は暗く、その上目も痛み苦労をする。昼迄少し時間も有ったので、日頃溜めて置いた小粒の玉鋼を降し金にして包丁の地金を造る。

連日天気は悪く、県内産の炭入荷に目処が立たないので岩手県産の松炭250kgを注文する。4日後入荷決定。
帰りに病院で糖尿病の薬をもらい、明日の神社参拝と砂鉄集めの為車のオイル交換、軽油を満タンにする。帰宅後は砂鉄集めの磁石、ジョレン、土のう袋、リュック、長靴、雨合羽等を用意して早朝出発に備える。

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