刀鍛冶の日々

刀鍛冶とは

予定より早く上鍛が終わり、2号刀の皮鉄が仕上がる。昼前に急ぎて長船鍛錬所へ出向き、心鉄を鍛える炭10俵を切る。
休日にもかかわらず受験生2名と宗近君が作業をしている。4ヶ月後には刀工試験が有るのに、今だ基礎的な仕事が出来ない。全く弟子の怠慢である。

4年も5年もそれ以上に修行をして来たのに、一体なにを学んで来たのかと思う。仕事も満足に出来ないのに控えもとっていない。質問も殆どないので判っているものと思っていた。弟子の数も多く一人々に時間をかけて教える事が出来ない。

親方の仕事を見て盗むものである。こんな事だから刀工試験に合格しても刀が出来ないのである。
日本の文化伝統。日本刀の精神が理解できないから本気になれないのである。一週間に一日や二日の仕事では片手間仕事で趣味の範囲である。生活が苦しくとも歯をくいしばり、明けても暮れても打ち続けなければならない。

そこ迄しても中々刀は出来ない。この31年間に随分と多くの刀工を育てたが、刀工を専業と出来る者は今の所皆無であるが、少しながら刀工を専業としようとする者が出てきた。これらの弟子が折れず、曲がらず、良く斬れ、尚美しく、今は廃れた武士の魂を打ち続け日本の精神を守って欲しい。

刀鍛冶は刀剣作家でも美術家でもない、日本の道を守る修行者でありたい。日本人としての思想なくして、日本刀は造れない。日本刀は常に日本人の思想と共に生きて来た。
それは常に命をかけていた。

その思想で刀を造るから、外国人が日本の文化伝統に立脚した日本刀に興味を持つのである。又日本人も忘れていた日本精神に目覚めるのである。

刀鍛冶は常に愛国者でなければならず、神国日本への祈りがなければならない。それがないから単に刀鍛冶と言う職業のみに終わるのである。
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一月最後のたたら

受験生が火造りの終わった脇差に、せんヤスリを使って整形している間に、たたら製鉄と昨日の造った玉鋼で包丁を鍛える。
一月はたたら製鉄を8回実地、玉鋼56kgを造る。体がしんどく、目も痛むので一回当りの砂鉄を少なく操業して回数を増やす、一ヶ月8回もの砂鉄吹きとは過去最高である。使った砂鉄も250kgとこれ又多し。

朝弟子がたたら炉を解体、炉の塗り直しをしている間に昨日の玉鋼を鍛え、状態を見て平田君に鍛えの続きをさせる。この包丁はフランスに輸出するので、日本国祐定作と銘を切るので、入念に鍛えさす。久し振りに20名程の来客有り、注文も受ける。

炭入荷

朝7時トラックに175俵を積んで炭入荷、住込の弟子全員で山の如く炭を積み上げる。ここ2・3日炭が無くて思う様に仕事が出来なかったので、早速平田君が刀の火造りに入る。午後は谷口君も来年の受験目指して脇差の火造りに入る。
大高、菊池君は脇差のせん、やすりかけ、秋山君は脇差の鍛冶研ぎ。

私は一人で30kgの砂鉄吹き、午後には6kgの玉鋼が出来たので、明日は外国へ輸出する包丁を鍛えようかと思っている。
全員水を得た魚の如く鍛冶場は一気ににぎやかになる。

昨日夕方には低血糖で倒れ、1時間も動けなかったので体の疲れも大きく残る。

受験生

長船鍛錬所では、受験生が火造り、せんかけをして本物の脇差を造っているが、遅々として進まない、とても試験時間内には終わらない。

何年も一体何をしていたのか。これも「努力と工夫」が抜けているからである。5人受験して一体何人が合格するだろうかと思う。

能力のない者が刀工になって独立しても、刀で生計を立てる事はむつかしいと思う。「努力と工夫」がなければ。

二号刀中鍛

下鍛えの済んだ鋼4kgを火花試験をして、炭素量を平均して1kgを4個にして5回鍛えで合計20回折り返すと鋼は4kgから2.4kgと減る。

2日間で40回もの折り返し鍛錬を一人でするとさすが疲れる。年齢を超えた仕事量である。夕方には来週に備えて火床を塗り直す。

二号刀下鍛

2kgの玉鋼を4個8kgを合計20回折り返し鍛錬を行う。先週の玉鋼は炭素量が少し高すぎたので、今週は炭素量8%程の鋼を県内産から岩手県松炭に切り替え、少し脱炭を早める。

火力が強く鋼も良く沸くが、一人仕事で忙し。

本物の脇差造

朝から石原君が心鉄鍛、皮鉄との組み合わせ、荒素延べ迄を受験生の向槌を使って作業。昼からは二ヶ所の火床を時間制交代で脇差の火造り、日頃から厳しく言ってあったので、全員上手に出来ている。この調子で行けば全員合格も夢ではないがどうだか?

受験生は5年から6年も当伝習所で多量の炭と鋼を消費して来たので、今年は是非とも合格して欲しい。これ以上に長引くと経済的にもう持ち耐える事は出来なくなる。

手切り

ベルトハンマーが破損して修理の見通しが立たないので、明日受験生が使用する鋼を造るのに35kgの砂鉄を吹いて7.6kgの鋼が出来る。思ったよりも鋼が大きく、向槌で若い谷口君と鳴海君が手切り。昼迄受験生が脇差の火つくりをするも明日の石原君の炭を残して中止、炭の山50俵が一週間でなくなる。

手打ち

ベルトハンマーが破損して当分使用出来ないので脇差の造込み、荒素延べ全てを交代で向槌を使っての古式鍛錬に切り替え、全行程を人力で仕上げる事となり、江戸時代に還ったようである。しかし基本は手造りである。

能率を考えずに一振々をゆっくり、丁寧に仕上げて受験に臨みたい。

テレビ取材

地元テレビ局より宗近君の鍛錬撮影が有り、全員向槌で協力、1月26日夕方イブニングニュースで放映の予定。

送風機が故障して火床の調子が悪かったが新品が届き、これで仕事もはかどる。月末迄予定もなく、明日よりは受験者の仕事も進む。この一週間鍛錬所内はカゼが流行し全員体調悪し、自身も今だ熱が少しあり、ふら付き気味。今日は早く寝る事として体を休め明日に備える。

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