刀鍛冶の日々

専門の見学者

午後は大学の先生を中心に、6人の方が訪れ古式の折り返し鍛錬、そして最後にはたたら製鉄の解体を見せる。

鉄の研究を大学でしている方々なので、鉄造りの最も基本であるたたら製鉄の見学、そして質問、日本製鉄の原点を見て頂き、満足の2時間30分であった。
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刀用玉鋼完成

日刀保玉鋼(日本美術刀剣保存協会たたら課)を買えば五万円位の材料代で済むものを、古刀の地金を目指し、砂鉄120kg3日間をかけて15kgのケラを造り、2日間をかけケラの切断。降し金をして8kgの刀用の皮鉄を造る。随分と高価な鋼であるが、他の刀工にまねの出来ない作品が出来る。
そうでなければ御客さんも納得できないであろう。

4日間おなじおかずと、一度炊いたごはんをやっと片付け、5日ぶりに風呂の湯を入れ替える。疲れているので早く寝ようと思うが、階上の住人の物音が大きく頭に響く、やはり移転した方がよいのかも知れない。

久しぶりの刀用の降し金で興奮して今夜は眠れないかも。平田君がテストピースの包丁全てを研ぎ上げて一区切りがついた。

降し金

分業

菊池君と大高君が、合計15kgのケラを小まかく切断して、夕方迄かけて降し金の準備を終える。
同時進行で土、日曜日の公開鍛錬用に、たたら製鉄を朝5時30より開始、夕方には7kgの鋼が出来る。

11月3日の山陽新聞に、市製5周年の広告に当伝習所も掲載するので、見学者も多いだろうと焼入れをしていたテストピースの包丁を平田君が研ぐ。

たたら製鉄は5分毎に炭・砂鉄を投入し、砂鉄の還元状態を見なければならず。離れる事が出来ないので疲れる。今日も12時間鍛冶場に居た。楽しい一日であった。

一人暮らしの良さ

この数日テストピースで造った包丁が次々と売れて行く。
公開鍛錬日に販売する為の包丁の研ぎを進めながら、先週に米国行きの刀を造る為に砂鉄吹きをして造ったケラを、菊池君が薄く小さく切断してゆく、3俵程の炭を使って3kg程の降し金の用意をして、残りは明日に廻す。

平行して弟子3人が火造りした脇差に反りを付けてせんかけ、やすりかけを始める。毎日7人から10人が仕事をするので、150俵の炭も10日間で残り60俵となる。早く包丁を研ぎ上げて炭代を用意せねばならない。

スーパーで白菜、豚肉、きのこを買ってみそで味付、今夜はタマゴを落して冷たいご飯にかけて食す。
風呂も今沸いた。入浴してあとは寝るだけ、目覚めれば早朝出勤でたたら製鉄を始める。

こうして目が覚めれば仕事、疲れると寝る。たえず一日一年中刀造りに取り組める日々が楽しい、刀鍛冶に独身が多いのも判る。一人暮らしが気楽でいい。
移転せずにこのまま過ごすのも一方法かと考えもする。

紅葉をたずねて

弟子の2日間連休に紅葉を求めて中国山地へ。
木々も色付き青、赤、黄色と山々もにぎわい、空行く雲もすぐ間近に手が届きそうである。色付いた山いも(じねんじょ)の根元を掘り子供の頃を思い出す。

一服して谷川を見ると砂鉄が流れている。この川の上流県境にはたたら製鉄跡があり、そこの砂鉄によく似ている赤目蹉跌の層と、真砂砂鉄が入り混じっているようだ。

折角の休日、ゆっくり自然に接しようと思っても、山、川を見ると職業が前に出る。完全に職業病である。
頭の中から仕事が離れない。おそらく死ぬ迄続く事であろう。日暮れて帰り一人夕食に、ラーメンライスで済ましふとんに入る。

包丁販売

テストピース16本の包丁を研ぎ上げたので、インターネット販売しようかと思っていたら、今日2本包丁が売れる。

1週間たたら製鉄と、朝から一日弟子が火造りをするので、70俵程も炭を使っているので、炭代の足しになるので大助かりである。

どこらかも援助を得ず刀に対する自分の思いを行動に移す事は大変であるが、使命感も情熱もある。それを下支えするのが、自家玉鋼製の包丁である。
他人の包丁造りの批判は一向に気にならない、一生懸命に造った包丁を御客さんに喜んで使って頂き、その利益が弟子育成の炭代になるのなら。

地金の研究を終えて

毎日たたら製鉄から折り返し鍛錬をして、鋼造りを繰り返し、古刀の地金再現を目指して、一応の区切りをつけた。
その間にテストピースとして、半年間に30本程の包丁を造る。弟子が交代で研ぎ上げ、16本全てを研ぎ上げ、地金と焼刃を確認、刀を造ると多量の炭と鋼が入るが、短時間と安い費用で、試作を包丁でする。

しかし炭も鋼も、半年間試作を重ねれば、大変な負担であったが、弟子の将来と伝統文化の継承を考えれば、備前長船日本刀伝習所の使命もいくらかはたせたと思う。

しかし当伝習所を卒業した者で、誰一人も独立して刀工として、生活をしていないのが残念である。
現在入門中の若い10代から20代の専業刀工になろうとしている弟子の為に、あと少し頑張らねばと思っている。

東北砂鉄刀研上る

研師さんより電話有り、東北の砂鉄を以って春先に始めて造った刀が出来る。
ナトリウムが残在していて、下鍛えの時にふくれが多く出て悩んだ地金であり、多少のゆるみは有るものの、匂口は今迄の1.5倍と広く、小沸も付き地金は室町時代のような作である。

ナトリウムの処理もわかり、砂鉄の配合割合も昨日のたたらで造った鋼を鍛錬して地金の粘り、鍛着の良さ脱炭の少なさ等もわかったので、東北の地金も一定の方向に自分の作品として行けそうである。当分数年間は今の地金で作品を残したい。

組合せ完了

数種類の砂鉄が合計3トンあり、一番多くの砂鉄が1.5トン。その組み合わせが今日のたたら製鉄により、全て配合試験が終わり。
今日出来た鋼を明日包丁に鍛えて、焼入れをして鋼の状態を確認すれば、向う三年間は今の配合で、今の材料で十分乗り切れる。
又海外からの砂鉄のルートも見つける事も出来た。手持ちの砂鉄がなくなっても、外部からのルートもあり、なんとか見通しも立つ。

来週からは刀造りの為、たたらで造った鋼を降し金にして、米国人の注文の刀に着手の予定。外国へ鋼を送った事はあるが、日本刀を外国に送るのは刀工になって以来始めての事である。平常心で日本の精神文化を伝えたい。

たたら準備

昨日の砂鉄集めで疲れたので、たたら炉を塗り、あとは弟子の短刀、脇差の火造りを見ながらのんびりと過ごして一休みとする。
弟子の使った火床の残り火で、水洗いをした砂鉄を置いて乾かし、明日の砂鉄吹きに備える。

頭の中は砂鉄の配合、還元温度と明日の砂鉄吹きの事で一杯である。刀を造るよりも、地金造りの方が楽しくなって来る。

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