刀鍛冶の日々

やっと雨降る

岡山県南も雨になり梅雨らしくなる。昨日迄暑い日差しもなく、体も随分と楽になる。弟子も月曜火曜は連休でゆっくりと寝ている。

目が早く覚めたので、たたら製鉄を始める。先週は歩留まり10%の鋼しか取れなかったが、種々工夫をして操業。一人で砂鉄、炭入れ、ノロ出しを5分間隔にするので、休む間もなく食事も満足に出来なかったが、最後に炉を解体すると大きな玉鋼、目方は約9kg、歩留まり18%と大きく飛躍した。

雨の降る日は秋迄の鋼の在庫を増やしておかなければ、梅雨が明け本格的な夏になると鋼造りは出来なくなる。
去年の秋から春迄は少し暇であったが、最近は注文も増えて来たので、御客様の注文に答える事が出来る準備をすると共に、弟子の受験勉強用の炭代も用意しておかなければならない。

来春は六6名の受験者、おそらく日本最高は間違いがない、文化庁の美術日本刀刀匠の様なGHQをごまかした刀剣作家ではなく、折れず、曲がらず、良く斬れ尚美しい地金を造る美術工芸である真の日本刀造りの職人を育てなければ、日本の文化伝統もなくなる。
明日も雨の予報なので炉を塗り、砂鉄に混ぜる貝がらを割りブレンド、炉に火を入れ炭2俵を入れて余熱をかけて、今日の仕事を終わる。
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刀の地金鍛錬

早朝より昼迄刀の地金の鍛錬をする。昨日東北地方の鋼を弟子が鍛え、テストピースの包丁を見て、地金に自信を持つ。

指の爪がはがれそうで、タガネで鋼を切断する事が困難なので、中止をして午後からは長船鍛錬所に出かけたたら炉を塗り、明日のたたら製鉄の準備をする。東北地方の砂鉄は非常に古刀の地金に近いものが出来るので楽しい。

化学変化

昨夜は大高君と二人で降ろし金をした後に、頂いた瀬戸内海の砂鉄を火床にかけて、乾燥させていた時に、異常なにおいに胸の苦しさを感じ、鍛冶場の窓を開け、大型扇風機をかけて空気を入れ替える。

原因は砂鉄とヘドロの中に、鉄を食べる微生物が、硫化水素ガスに変わったものである。砂鉄が乾くと、最初真っ黒であった砂が真っ赤に酸化が進んでいる。そのせいか今日は非常にしんどくて、一日弟子の火造りを見ていた。

たたらクラブ包丁焼入

先週迄たたらクラブで火造りを終えた包丁3本に、初めて土置きの体験をしてもらい、午後より焼入れを御客様の目前でする。

3本共に上手に焼入れが出来たので、来週は研ぎに入る予定。原価計算1本に付き、材料代だけでも一万五千円になる。
販売出来ても日当は出ないが、材料のテストピースと思えば安いものである。

今東北の鋼単独のものを積み沸かしを済ませているので、明日は鍛錬、又東北、山陰の鋼を混合したものが準備されているが、これも包丁にしてテストピースにしたい、本日も瀬戸内海の砂鉄を頂く、これも使ってみたい。したい試作品もたくさんあるが、今弟子が毎日交代で火造り練習をしているので、試作の時間がない。

注文の刀も弟子が休みの日に鍛錬をしなければならない。本当に体が二つ欲しい、今夜の8時これから一人で降し金をしなければならない。

積み沸かし

早朝涼しい時間に梃台に玉鋼を積んで沸かし、一つの鋼の塊とする。強く温度をかけ1500度位迄で叩いて又沸かし、叩いて伸ばし、それを三枚に切断して別ける。これで一回分の折り返し鍛錬の材料となる。

送風機のモーターも、ベルトハンマーのモーターも熱を持って来る。一区切りが付いたので打ち止め、朝礼後は各自2時間の持時間で、順次火造りに入る。岡山県南部は梅雨入り後も雨は無く、全国的に梅雨の中休みと言われるが、暑くて仕事にならないので2、3日雨が降って欲しい。天気が良いので砂鉄は良く乾く。

降し金、たたら

昨日ケラを切断して置いたので、今日は降し金をして吸炭さし、純度の高い刀用の鋼を造る。
しばらく降し金をしていなかったので、心高鳴りながら操業する。本日も平行して山陰の砂鉄と東北の砂鉄を混してたたら製鉄をする。三日間連続操業なので少し疲れる。
鍛冶場の中の炭の粉で真っ黒になるが、一応鋼の準備も出来た。

明日よりは朝刀の折り返し鍛錬を見学さし、来春刀工受験の弟子が本格的に素伸べ、火造りに入るので、指導に廻り弟子の休日に自分の仕事をする事にする。やはり大事な部分は一人でなければ、心が落ち着かないので、良い作品が出来ない。

玉へし、砂鉄吹き

今迄山陰地方の砂鉄で、造った玉鋼の在庫を弟子が交代で、鋼の塊を赤く熱して、ベルトハンマーで6~7ミリ程度に薄くつぶして切断して、降し金(溶かす)が出来るように準備をする。

今日は比較的涼しかったので、並行して東北地方から送られて来た砂鉄を吹く、鋼は粘り炉底にくっ付いて離れず苦労をする。
還元率は10%、50kgの砂鉄を吹いて5kgの玉鋼しか取れない。山陰の25%に比べると。非常に原価が高くつく、日刀保の玉鋼は国からの補助もあるので、1kg7800円であるが、個人ですると1kgが二万円にもなる。

刀一振の鋼代だけで二十万円の鉄代、五万円の炭代と、計二十五万円の材料代と割高になるが、日刀保の玉鋼を使用した刀では、自家製鋼の刀に遠く及ばない。
後世の人は原価、値段を言わない、出来た刀の斬味と地金で評価する。評価をして頂ける現代刀でありたい。全てを捨てて、魂のこもった日本刀製作に、残った人生を捧げたい。

戦闘開始

正月より弟子の受験準備に手をとられ、空いた時間を見つけて砂鉄でたたら製鋼の試作、包丁を使っての焼入れ研究が全て終わり、向こう二、三年間の作刀方法が決まり、本日より注文刀の製作に入る。

自家製玉鋼で折り返し鍛錬、鋼との格闘の始まりである。弟子の休日であり早朝より雨であったので、砂鉄を吹くたたらの隣では、宗近君が短刀の折り返し鍛錬をしているので、室内は40度を越える熱気となり、扇風機をかけても熱風が吹く、太陽も出て青空となり、体がもたないので早めにたたら製鉄を止める。
今迄たたら製鉄で造った鋼を切断して降し金にして炭素を吸炭させ、鋼の純度を上げて、いよ々鋼と熱風との戦闘開始である。尚武の心は高鳴る。

製鉄試験

先日砂鉄と、磁石に付かない非砂鉄に別け、比重も粒子も全く同じ非砂鉄20kgを某物質を使って、たたら製鉄を試みる。

のぞき窓から見ると、わずかに砂鉄が溶けた状態を時折見るが、砂鉄のように全体的に白く丸い粒子は見えにくい、始めての試作なので最後迄不安は続いた。3時間後、炉を解体してみるが、普段のたたら製鉄のように、大きくまとまった玉鋼ではなく、大小様々な鉄が散乱していて、磁石で集めると1.8kgの鉄であった。

少しがっかりするが、それでも無から有を生み出す事に成功した、もう少し降ろす量を砂鉄の時と同じ位吹けば、大きな鋼で出来るのではないかと思う。何事も始めるときは大変であるが、努力と研究なしでは道は開けないものと思う。もう少し経済的余裕が出ればもっと々試作を続けたい。

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たたら製鉄

右手のツメがはがれそうなので、槌が握れないので、今日は大高君、秋山君と玉鋼造、暑いのでモーターも熱を持ち、氷で冷やしながら操業、8kgの鋼が出来る。

本日東北地方より、砂鉄が送られて来た。酸化が進んでいるのか、磁石に反応なしだが比重も砂鉄と同じである。見た目にも砂鉄と全く同じである。
明日はこれに科学的応用の試験を兼ねて、たたら製鉄を試みる。おそらく日本で始めての実験になる事だろう。

6月16日、17日、18日は美術刀剣保存協会主催の刀身、中心仕立の講習会に、五名の弟子が出席して本日終了。暑くて雨が欲しい毎日である。

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