刀鍛冶の日々

試験六日目

刀剣製作方法は、各一門によっての違いが有るので、一門である。
そうでなく、全刀工が同じ素材の鋼を使って、同じ造り方をしていたのでは、一門も又個人の特徴もなくなってしまう。
それを刀工試験によって規格化して、違った造り方を否定し、同一化してしまったのでは、現代刀で終わる。

日本刀の花の時代は鎌倉期、その時代の製鉄方法、刀剣の地金の鍛錬方法等については、文献資料がないので、現代の最先端技術によって組織写真、成分分析をしなければ、古刀復活に繋がらない。
古刀、新刀、新々刀、現代刀の大きな違いは素材である地金である。地金の研究なく、与えられた同一の玉鋼を使って刃文のみを追っても、所詮は現代刀で終わる。

地金を自ら造る事が出来ないので、刃文の美しさのみを強調するのが現代刀の大半を占めている。
姿、地金、刃文の三拍子が揃わなければならない。今日その最も大事な姿を造る火造りが終わる。明日は焼入れの予定。残った五名、今日も不合格者なし、明日が最後の山場である。
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試験五日目

たたらクラブ出席二名で、山本君が「たたら製鉄」を受け持ち、来年の刀工受験者は早速、玉鋼の水べし、積み沸かし、折り返し鍛錬の練習をする。

今回の採点方法が、文化庁の基準も公開されず、又審査員の選任方法も、全国の刀工には示されなく、大きく変わった採点方法に弟子を刀工試験に送った師匠、そして全国の刀工に、大きく危惧の念を抱かし始めている。

日本の伝統工芸の育成を図る文化庁も、今一度文化行政の点検時ではなかろうか。
残った五名も合格、不合格の線上を彷徨っている様である。残り三日間頑張れ。

試験四日目

島根県奥出雲町(旧横田町)には、日本美術刀剣保存協会(日刀保)たたら場が有り、玉鋼を造っている。
そして併設して、鍛錬道場が有り、火床もふいごも四箇所も五箇所も、きっちりと整備され、仕事が出来る鍛冶場で、研修刀工試験が平成十九年迄行われていた。

しかしながら、保存協会が文化庁の意のままにならず、文化庁は平成二十年から、瀬戸内市長船町の刀剣博物館内に有る、三刀工の使用する鍛冶場を、文化庁の刀工試験会場として使用している。

文化庁独自の鍛冶場試験場はない。日刀保のように整備されず、火床も刀工個人によって随分と形態も違っている。使用しにくい場所である。
保存協会の傘下にあった全日本刀匠会は、別組織を造って離れ、全国の刀匠の半分近くと推定される人数を集めて、全日本刀匠会を名乗り、残った刀匠は日刀保内で作刀委員会の名の下に活動し、今や全国の刀匠は大きく二つの団体に別れる。

こんな事では日本刀の文化伝統もお先真っ暗である。今日の試験でも一名散り、残すは五名で後半の闘いに入る。全員の合格を祈る。

三日目散る

石原君不合格となる。長船刀剣博物館の試験場では、全日本刀匠会所属の受験者は、試験会場を使用して研修していたので、場慣れしていたのに対して、作刀委員会に属する受験者は、初めて使用する会場なので、火床を使用するのも当日初めてなので、非常に不利な状態で受験した。

当の本人も、少しの失敗で頭の中が真っ白になり、ルール違反に気づかなかった。残念である。内弟子一人、外弟子一人、計二名が残る。

十名の受験者中4名がすでに不合格、今の状態では合格者は、4名位になるのではないかと思われる。

試験二日目桜散る

全国より十名の受験者、実技テストの前に、玉鋼選別テストにおいて二名が落ちる。
良い玉鋼を選ぶ事が出来なくては、良い刀が出来ない。だから不合格と言われる。

当方では日刀保の玉鋼(試験用)は、成分分析、組織検査で自家製玉鋼が優れているので、日刀保玉鋼は使用していない。
全国受験者の平等の為、日刀保玉鋼で試験をさせている。

備前長船伝習所から、三名受験させて、実技なしで大高君が不合格となる。四年余り多量の炭、鋼、を使って、実技を受ける事が出来ないとは、親方としても不本意である。

今日も午前中に一名が不合格となる。全身の力が抜ける思いであるが、残った二名はなんとか合格を祈る。

刀工試験

今迄に六名の刀工を送り出した。そして備前長船日本刀伝習所を設立して、今回3名の受験者を出す。昨日から県外の受験者も泊り込む、今非常に複雑な気持ちである。一回の試験で人生の生き方が別れる事に。

科学の目を通して

刀工試験最後の古式鍛錬を夕方迄続け、平成21年度の受験準備は終わる。
午後には、先日分析を依頼していた、鋼の成分表、電子顕微鏡による三千倍の組織写真が出来上がる。

それを参考に今後砂鉄、そして出来た玉鋼の処理をどの様にして名刀として後世に残していくのか、平成22年度刀工受験者は、指導に手間がいらないので、十分に自分の時間が取れるので、砂鉄と鋼の研究に力を入れたい。
そしてその成果を、巣立っていく若き刀工に教え、少しでも良い刀が出来る本当の日本刀文化を守ってもらいたい。

頭痛

残す所あと2日となる。今日も早出、大高君が脇差に焼入れ、姿直し、同じく秋山君も。
今日はたたらクラブ初参加の方も来られ鋼造り、出来た鋼を梃付け、折り返しの練習に使用。

砂鉄もあと50kg程しか在庫がなくなり心細い。昨夜は仕事の夢を見て何度も目覚め、一日頭痛がする。

酒盛

明日のたたらの用意も出来た。珍しく大高君の火造り、反り付けも上手に出来る。

弟子達も不況のせいか、夜のアルバイトもないので、小遣い1万円でビールを買って、住込みの弟子と7人で仕事の事を話ながら話しに花が咲く。

連日早起きなので、大高君は少し疲れ気味、私は毎日4時には目がさめるので、コンビニで朝食を済まして、5時位には鍛冶場に出る。
その後に試験を控えた大高君が出る。やっと8時前に他の弟子は顔を出して朝礼になる。もう少し本気で仕事をしていれば、違ったのにと思う。

来年以後3年間に渡り、毎年刀工試験を受ける弟子が居るが、早く卒業させたいものである。

今日は阿部さんが、脇差の心鉄と皮鉄を組み合わせての、造込みの練習をしていたので、する仕事がないので「たたら製鉄」を昼過ぎ迄して、鋼9kgを造る。
砂鉄もあと二回の操業分しかなく心細い。

昨日疲れたので、午後2時30分に仕事を終えて帰る。今朝大高君の仕事が進んでいないので、他の弟子に聞くと、仕事も出来ていないのに、4時30分位には仕事を止めたとの事。
試験前に残業をしてでも仕上げねばならないのに、今日も途中の仕事を見せず、自分勝手に進め、もう手直しがきかなくなっている。
困った弟子である。

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