刀鍛冶の日々

5月も終わりぬ

朝から山本、菊池君たたら、大高君火造、平田、谷口君鍛錬、秋山君包丁柄付け、私は来客説明兼販売係りと1日忙しかった。
そして今月も家庭内の妻子の事、悩みは大きく全てを捨て去り、鍛刀道に生きる決心も着き一人暮しにも慣れて来、朝早くから夜遅く迄鍛刀に明け暮れている。

別居した妻も一人になったので、家事もしなくて良いのでマンガ本、小説読みの中毒状態であろう。私も仕事の中毒状態である。

お互いの人生がマンガ本、小説によって引き裂かれるとは夢にも思っていなかった。妻が家事をいい加減にして、マンガ本に熱中する事にどうしても許す事が出来なかったし、妻もマンガ本を読むのを離婚しても止める事が出来ない以上平行線であり、妻もそして今日迄育てた親の恩を忘れ、親に意見をする子供も親子の絆も断った。

全てを捨て去り、今月5月も終わる。明日よりは又新しい気持ちで鍛刀道に励みたい。家庭内騒動も今日で終わる。
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失敗

3日連続のたたら製鉄、1日目13kg、2日目11kgと好調、3日目の今日は羽口がノロと海綿鉄で詰まり、途中止めとなり残念ながら6kgとなる。
弟子の鍛えた包丁も弟子のミスでつぶしとなり鉄25kg、炭30kgが煙と消える。

一生懸命に努力して尚いたらないのなら致し方ないが、横着で台無しとなり大赤字となる。
弟子を前にして言った。俺は全てを捨て刀一筋に生きている。俺が頼んできてもらったのではない、やる気がなければ帰れ、俺はやる気のないお前達も捨てると。

「沸えたぎる 俺の気持ちが 判るのか 鋼造りし 砂鉄集めを」

焼入れ

昨夜焼入れした刀を研いで見ると、仲々気に入った出来である。
正月に注文を受けて以来、四ヶ月四口を製作、なんとか二口出来た感である。
来週ゆっくりと荒研ぎをしてみたい、弟子を育成しながらの製作、思う様に進まなかったが出来ると疲れも何もかも忘れ去る。

朝4時起床と思えども体中が痛みて6時迄寝る。パンと野菜ジュースで朝食をとる。

朝から砂鉄の整理、これで秋位迄なんとかもつであろう。弟子の練習量も増え、炭・鉄は湯水の如き消え去る。

しかし弟子が技術を身に付け全国で折れず・曲がらず・よく斬れ・そして美しい、本当の日本刀を作る刀鍛冶の維新を行い、日本の文化伝統を守って欲しい事を思えば残った人生弟子の育成と、一振りでもよい刀を残しもえ尽きたい。

「垂れ落ちる 雨音聞きて 横たわり 焼入れあとの 体やすむる」

「なにもかも 全て捨て去る この俺に 残さるものは もえる荒魂」

「いつの世も 別れは悲し なおさらに かけたる妹の 苦労思えば」

今日も行く

朝4時寒さで目がさむる、急ぎてストーブを出す。朝昼の温度差が最近はげしく思ふ。

昼迄に火造りを終わるが、焼入れの気持ちにならず、どうしても昨日の砂鉄の残りが気になり、午後砂鉄を取りに急ぐ、午後400kmの道のりを帰り意識も遠のく、一人になってから仕事が増えたせいであろう。

「目にしむる 青葉は風に ゆれにけり 砂鉄をもとめ 今日も行きなん」

砂鉄

朝5時出発、400kmの道のりを砂鉄集めに幾山を越える。帰りて疲れはて、風呂もなく眠る。起きては仕事、疲れては寝る。充実した一日である。

「吹き渡たる 谷間の風は 涼しくて 水の寒さに 足はしびれる」

砂鉄

昨夜より400kmを走り、今朝7時30分砂鉄を持ち帰る。これで当分鋼の心配はなくなる。
今日は京都より御客さんが訪ずれ、柳刃の注文を頂く、宗近君も受験を控えやっと焼入れ迄進む、合格すれば良いのだが?

連日鍛冶場に寝て朝早くから夜遅く迄刀にあけ、刀に暮れる毎日である。

バスツアー

朝7時炉に火を入れ、たたら製鉄を始める。
先日の掃除が全く出来ていないので、全員昼迄時間をかけてそうじのやり直しをさせる。
鍛冶場は我々刀鍛冶が命をかけた戦場である。

戦にのぞみてはきれいな鍛冶場で「無」の気持ちで向かわなければならない、そうじも満足に出来ていない所で、御客様の前で立派な古式鍛錬は出来ない。

午後刀剣博物館で刀の説明をした後、当伝習所で古式鍛錬折り返しを実演し、クライマックスにたたらの炉を解体して、炉底から真っ赤に砂鉄が溶け固まった鋼を取り出し、3人掛かりで切断して見学して頂き感銘を受けて頂く。

又夜は炉が冷えるのを待って炉の塗り替え、砂鉄のより分けをして九時四十分やっと一日が終わる。
今日も充実、満足した一日であった。自分の全てを捨て去り残るは生命のみ、一日々全霊を打ち込み刀を造りたい。

「日は落ちて 全てを終わる この後は 深き闇夜が 吾れを休むる」

自由課題

大高君と二人で今日も赤坂鍛錬所へ行く、残った弟子は何をしても自由としてあった。

少し早く帰ると、谷口君以外は全員包丁をしている。明日東京から観光バスで見学に来るので販売するつもりなのか、皆必死で包丁を造っていた。

時間が有ったので、鳴海君の火造りをした包丁を手直しをして、土置き・焼入れ・研ぎ迄済ます。明日は包丁が4・5本売れて欲しい、月末も近く支払日も近くなった。

「研ぎ上げて 光り輝く 包丁を ながめて思う 明日の我が身を」

上鍛、造込

昨日に続き今日も4時30分に起床、大高君も来年の受験に備えて刀の心鉄と皮鉄を組み合わす造込みの見学となる。

火床の中は約1600℃の高温となる為、もう日中は仕事がしずらく、どうしても早朝の仕事となる。昨夜は宗近君も含めて宿舎で弟子達7人と一緒に鍋を囲み、ビールを喰む。

今日は先週に続き炭90俵が入る、包丁を売った御金が全部炭代となり、弟子の勉強費用に消える。しかし本当の日本刀造りを守る為には、私一人の小さな力ではどうもならず、皆様に御買上頂いた包丁代が日本の文化と伝統を守る小さな灯となります。炭の山を目の前にして感謝とうれしさで一杯です。


「ゆれ動く 心のひだを 見抜かれて 炎は狂い 鉄は飛び散る」

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